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【Cycle*2023 ラ・ブエルタ フェメニーナ:レビュー】アネミエク・ファンフルーテンが女性版グランツール5大会連続個人総合優勝! 今季最強のデミ・フォレリングとの激闘はわずか9秒差で決着
サイクルロードレースレポート by 福光 俊介第6ステージでファンフルーテンの牽引についていけたのはレアリーニのみ
流れがフォレリングに傾いたかに思われたが、第6ステージで事態は一変する。3日前と同様に、風がプロトンを襲ったのだ。ここで、レースの舞台となったスペイン北部・カンタブリア州の土地勘をフルに生かしたのが、地元チームのモビスター チーム・ウィメンだった。
チームはコース近くに住む第2監督のユルゲン・ルーランツ(ミラノ~サンレモやロンド・ファン・フラーンデレンで表彰台経験を持つ)に、同地に吹く風の特徴を分析させ、選手たちに共有。ペースアップのタイミングも詳細に詰めて、レースに臨んでいた。
それが奏功しプロトン分断に成功。よりによって、レースリーダーのフォレリングはこのタイミングでネイチャーブレイク(トイレ休憩)。モビスター チーム・ウィメンにトレック・セガフレードやユンボ・ヴィスマが加勢したことで、後方に取り残された選手たちの前線復帰が難しくなってしまった。
「私たちはこのエリアをよく知っています。ベストなタイミングで攻撃ができました。何人かがネイチャーブレイクでバイクを止めたことには気づいていましたが、向かい風や横風が吹く状況下で止まるのはリスクが高すぎます」(ファンフルーテン)
コース後半の2級山岳でファンフルーテンが集団牽引を始めると、それから約45kmにわたって先頭固定。次々と脱落者が出て、最後まで残ったのはガイア・レアリーニ(トレック・セガフレード)ただひとり。2度にわたって写真判定が修正されたマッチスプリントは、レアリーニがステージ優勝、ファンフルーテンがマイヨ・ロホ奪取と、それぞれに最大目的を達成。かたや、フォレリングは猛追及ばず1分以上の遅れを喫し、リーダージャージを明け渡すことになった。
逆転優勝を狙うデミ・フォレリング
「こんな形でジャージを失うのは残念でしかありません。しかし、モビスター チーム・ウィメンがあの場所でペースを上げようとしていたことは確かなのでしょう。すべては偶然が重なった結果です」(フォレリング)
最後の1日にフォレリングは賭けた。ファンフルーテンとの総合タイム差は1分11秒。逆転の可能性は決して高いとは言えないが、トライしない手はなかった。
チーム SDワークスのアシスト陣も、スーパーエースのリーダージャージ奪取のために前半からレースをコントロール。中盤の2級山岳で、一度はモビスター チーム・ウィメンのアシスト選手を後方へと追いやった。しかし、ここはファンフルーテンが落ち着いて立ち回ると、遅れていた選手たちも下りで合流。集団の統率権まで奪って、コバドンガを前に逃げていた選手たちもきっちりとキャッチした。
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