人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

サイクル ロードレース コラム 2023年4月24日

【Cycle*2023 リエージュ〜バストーニュ〜リエージュ:レビュー】“呪い”知らずのワンダーボーイ、レムコ・エヴェネプールが驚異の独走で2連覇 ポガチャルは落車で左手首を手術

サイクルロードレースレポート by 福光 俊介
  • Line
荒天のリエージュ〜バストーニュ〜リエージュ

雨が降る時間帯もあったが沿道には熱狂的な観客が詰めかけていた

「チームとともに特別なことを成し遂げたかったから」と選んだ上下純白のアルカンシエル姿は、雨に濡れながらでもひときわ輝いた。残り2kmで背後を走るチームカーと喜びを共有し、最後の1kmは沿道のファンを鼓舞。フィニッシュを前に雨が上がった空に虹を架けるかのごとく、高く拳を掲げて2連覇の瞬間を迎えた。

「出場した2回とも優勝だなんて自分でも驚いているよ。アルカンシエルを着てこのレースに勝つことは特別だ。優勝シーンの写真を額に入れて飾りたいくらいだよ」(エヴェネプール)

今季はジロ・デ・イタリアを最大目標に据えると宣言し、1月のシーズンイン以降はステージレース3戦に出走をとどめていた。春のクラシックはリエージュに集中。それもあくまで「ジロ前の最終テスト」の意味合いが濃く、レース3日前に高地でのトレーニングを切り上げたばかりだった。

「ジロに向けて大きな自信になったよ。高地トレーニングが成功していることは分かっていたけど、それを今日のレースで確信できた。この大きな勝利を祝うとともに、しっかり回復して次の目標に向かっていきたいね」(エヴェネプール)

そして何より、お家芸のクラシックで不発が続いていたスーダル・クイックステップを救う大勝利にもなった。思えば、昨年もチームは同様のピンチに陥っていた。そんなとき、チームマネージャーのパトリック・ルフェヴェルの発言が話題になるのがお約束だが、今年もレムコが苦境を打破し、ご機嫌は直っていることだろう。

これだけの強さを見せつけながら、まだコンディションがピークに達していないのであれば……。ジロの走りは、観る者の想像のはるか上を行くものとなるに違いない。もしリエージュとジロの連勝となれば、2007年のダニーロ・ディルーカ以来の記録でもある。

そんなレムコの、スーダル・クイックステップの歓喜から1分6秒後、ピドコックが2位争いに先着。3位にはブイトラゴが続き、前半区間のレース構築を担った新城幸也の働きに報いた。

この春、天国と地獄を味わったポガチャルは、リタイア後に病院へ直行。左手首の舟状骨と月状骨の骨折が認められた。舟状骨は緊急手術となり、しばらくは回復とリハビリの日々となる見通し。全治や今後のスケジュールについては明かされておらず、復権を目指すツール・ド・フランスへの影響の有無はゆくゆく分かることになりそうだ。

ドラマに満ちた春のクラシックが終わり、シーンはグランツールへ。われわれも3週間の長旅へ心の準備をしつつ、もう少しだけクラシックの余韻に浸っていたいところである。

文:福光 俊介

福光 俊介

ふくみつしゅんすけ。サイクルライター、コラムニスト。幼少期に目にしたサイクルロードレースに魅せられ、2012年から執筆を開始。ロードのほか、シクロクロス、トラック、MTB、競輪など国内外のレースを幅広く取材する。ブログ「suke's cycling world」では、世界各国のレースやイベントを独自の視点で解説・分析を行う

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
サイクル ロードレースを応援しよう!

サイクル ロードレースの放送・配信ページへ