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サイクル ロードレース コラム 2022年9月26日

【Cycle*2022 UCI世界選手権大会 女子エリート ロードレース:レビュー】右肘骨折のファンフルーテンが《地獄》のような1日を乗り越えて前人未到の大偉業達成「おそらく人生最高の勝利です」

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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「この肘ではスプリントができないことは分かっていました。だから私がすべき唯一のことは、正しいタイミングを待って、最後尾からのアタックだと感じました。それが私に残された、たった1つのチャンスだったんです」(ファンフルーテン)

奇襲を前に動けなかったのか。他を警戒して動かなかったのか。ライバルたちは誰もすぐには反応しなかった。39歳の大ベテランは無我夢中で加速を続けた。残り300mで、我に返ったかのように、取り残された12人もスプリントを始めた。痛む右肘をかばいながらも、ファンフルーテンを最後はサドルから立ち上がり、鬼気迫る表情でペダルを踏み続けた。

「とにかく粘って、粘って、粘って。スプリンターたちに追い抜かれるだろうと思ってましたが、彼女たちは私をとらえられなかったんです。まるで違う計画を立てて大会に乗り込んできたのに、最終1kmでレースを制すことになるとは!」(ファンフルーテン)

今季すでに2度、ファンフルーテンをスプリントで蹴散らしてきたコッペッキーは、この日は2位でハンドルを叩き、ファンフルーテンと同じように追走集団内で力を温存していたはずのペルシコは、3位で満足するしかなかった。

同じく無線のない東京五輪で、2位でフィニッシュしながらも、前方に逃げ切り選手がいることを知らぬまま両手を挙げたファンフルーテンは、この日はライン上ではウィニングポーズを見せなかった。自らの13秒後にレースを終えたフォスやファンダイクと、フィニッシュエリアで再開すると、ようやく天に両手を思いっきり突き上げた。オランダ女子エリートにとっては2年ぶり史上最多14回目の世界選制覇であり、史上5度目の個人TT&ロードレース同時制覇だった。しかも同時制覇は過去10年間で成し遂げた偉業であり、ファンフルーテン、ファンダイク、フォスの3人がそれぞれ栄光の歴史に貢献してきたことは言うまでもない。

ところで男子自転車界では、ステファン・ロッシュが1987年に史上で唯一成し遂げた「同一年ジロ&ツール&世界選制覇」のことを、「トリプルクラウン」と呼ぶが、2022年のファンフルーテンの「同一年ジロ&ツール&ブエルタ&世界選制覇」は「グランドスラム」とでも言うべきか。とにかく、2023年末で引退を決めている39歳の大ベテランは、現役最後のシーズンを、美しいマイヨ・アルカンシェル姿で走ることになる。

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