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【Cycle*2022 UCI世界選手権大会 女子エリート ロードレース:レビュー】右肘骨折のファンフルーテンが《地獄》のような1日を乗り越えて前人未到の大偉業達成「おそらく人生最高の勝利です」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかそれでも、もしもの事態を恐れて、ケイラ山では集団内に緊迫感が充満した。ディフェンディングチャンピオンのスプリンター、エリーザ・バルサモ擁するイタリア代表は隊列を組み上げた。スタート地ヘレンズバラからのライン区間で、グラディス・フェルフルストを単独前方に送り出していたフランス代表からは、下りに転じると同時にマリー・ルネットがブリッジを試みた。
ただ、全長8.7km、最大勾配15%の難所が、勝負を左右することはなかった。下りきった先でエリノア・バックステッド(イギリス)とジュリー・ファンデヴェルデ(ベルギー)、キャロライン・アンデルソン(スウェーデン)が逃げ出すと、メイン集団内にしばし静かな時間が訪れた。午前中の女子ジュニアロードで、2連覇を達成したゾーイ・バックシュテッドの姉を含む3人は、最大1分40秒のリードが許された。
積極策を繰り返すフランスだけは、オード・ビアニックを単独追走に差し向けたが、他の強豪国は後方でのコントロールを好んだ。無数のコーナーと細かいアップダウンが続くウロンゴンの市街地サーキットに入ると、特にイタリアとオーストラリアが先頭で隊列を組んだ。周回の真ん中にそびえ立つ急坂プレザント山では、ドイツやスイス、デンマークも前方で存在感を示した。
オランダも決して要所を外さなかった。3度のプレザント登山を経て、リードを大幅に減らした逃げへ向け、残り58km、エレーナ・チェッキーニ(イタリア)が飛び出すと……エレン・ファンダイクが凄まじい勢いですべてを回収した。6日前の個人タイムトライアルで自身3枚目のアルカンシェルをつかんだ強脚は、ここから先も、幾多の飛び出しを握り潰すことになる。
競合たちが睨み合い、レースには長らく閂がかけられた。その後も単発のアタックがいくつか見られたが、あるときはイタリアが隊列を組んで飲み込み、またあるときはファンダイクが吸収に動いた。それでもプレザント登坂を重ねるたびに、後方から弱者が少しずつ脱落していく。フィニッシュまで残り2周、すでに集団は約50人にまで小さくなっていた。
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