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【Cycle*2022 UCI世界選手権大会 男子エリート 個人タイムトライアル:レビュー】ノルウェー国内TTチャンピオンが自身も驚きのアルカンシェル獲得!トビアス・フォス「すべてが終わるまで、信じてなんかいなかった」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか「フィニッシュラインを越えてすぐに、人生最高のタイムトライアルが出来たと確信した。純粋にパフォーマンスの面だけで見れば、喜ばしいこと。でも……もう僕らに、健闘して次点、なんてもの必要ない。ベルギーはそれ以上のものを求めてる。国のためにも、僕のためにも、次は本当にジャージが欲しい」(エヴェネプール)
ちなみにエヴェネプールは、3分前を走るキュングを、つまり2度の中間計測でトップタイムを記録したスイス人を自らの「基準」にして走ったという。これはキュングの側も同じだった。
「スタートリストを見て、こう考えたんだ。『もしもレムコ、ガンナ、ポガチャル、ビッセガーより速ければ、僕の勝ちだ』とね。彼らのタイムを基準に計算して走った」(キュング)
しかもキュングは序盤から飛ばした。同僚ビッセガーが序盤を控えめに走りすぎ、最後に追い上げが足りなかった失敗を、教訓にしたのかもしれない。いや、むしろ、自らが序盤をあまりに抑えすぎて……勝利にたった0.53秒足りなかった欧州選手権のミスを、2度と繰り返したくなかったのかもしれない。最大勾配10%にも至る坂道を、ダンシングスタイルで果敢に攻めた。登りきった先の第1中間地点では、上記のライバルたちをすべて抑えて先頭通過を果たした。エヴェネプールには0.61秒、ガンナには2.38秒ものリードを押し付けた。
「あらゆるリスクを冒した。スタートから全力を尽くしたんだ。もしもうまく行けば万々歳で、うまくいかなきゃしかたない。そんな考えだった。ああすればよかった、こうすればよかった、と後から言うのは難しいね」(キュング)
第2中間計測だってぶっちぎりのトップだった。エヴェネプールに対する余裕は15.50秒に広がった。最終走者ガンナはすでに40秒近くの遅れを喫しており、もはや脅威の対象ではなかった。フィニッシュまで残すは9.7km。……フォスが11.53秒差の2位につけていたけれど、誰もがキュングがほぼ勝ちを入手したと考えた。
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