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【Cycle*2022 ブエルタ・ア・エスパーニャ レースレポート:第12ステージ】東京五輪金メダリストのリチャル・カラパスが歓喜のブエルタ区間初勝利「僕には勝てるはずだと分かっていた」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか逃げから遅れること10分。ようやく山へ登り始めたメイン集団では、総合上位勢もチーム単位でエヴェネプールを揺さぶりにかかった。総合2位プリモシュ・ログリッチは、ローハン・デニスやクリス・ハーパーに高速牽引を命じた。山道の中盤では、総合3位エンリク・マスが、カルロス・ヴェローナや、逃げていた2人の「前待ち組」に前を引かせた。
これまで最終峠を先導してきたジュリアン・アラフィリップは、たしかに前日の落車で帰宅を余儀なくされた。ただしウルフパックに死角はなかった。「ドリス・デヴェナインスが完璧なポジションで山に導いてくれた」し、フェルヴァーケは山で護衛を続けた。さらにはエースたちによる激戦が勃発するその瞬間まで、イラン・ファンウィルデルがレムコの側についていた。
そう、これまで3度の山頂フィニッシュはエヴェネプールの加速一発であっさり戦いは終了してきたけれど、この日のライバルたちは先制攻撃さえ試みた。残り6km前後ではマスが加速を切った。2日前の個人タイムトライアルで好調さを証明した総合7位ミゲルアンヘル・ロペスも、時に先頭を突っ走り、「地元っ子」の総合4位カルロス・ロドリゲスもアタックを打った。
マイヨ・ロホはまるで動じなかった。むしろ総合ライバルたちのあらゆる加速に、誰よりも早く反応した。落車の影響など一切感じさせなかった。
そして残り1.5km。とうとうライバルたちの攻撃の脚が止まると……エヴェネプールは毅然と先頭を引き始めた。2位ログリッチ、3位マス、4位ロドリゲス、5位フアン・アユソ、7位ロペスを後方に従えて、まさに真の王者として、山頂へとたどり着いた。
「最後の山は単についていくだけでいいのだと分かっていた。そしてラスト100mで全力を出した。まだ余力が残っていたからなんだ。調子の良さを感じられたことが、一番大切なこと」(エヴェネプール)
第6、8、9ステージに続き、4度目の難関山頂フィニッシュでも、エヴェネプールより先にラインを越えた直接的ライバルは存在しなかった。最後に爆発的なスプリントを仕掛けたレムコの背後で、マス、ログリッチ、アユソはかろうじて同タイムフィニッシュを成功させたが、ロペスは6秒、ロドリゲスは11秒を失った。
7枚目のマイヨ・ロホを手にしたレムコはもちろん、2位ログリッチ2分41秒差、3位マス3分03秒差は順位もタイム差も一切変動はなかった。また最後までエヴェネプールについていった4位ロドリゲス、5位アユソ、7位ロペスも、総合順位自体に変わりはない。ただ前日までの6位ジョアン・アルメイダが8位へと陥落し、代わりに大逃げ区間2位のケルデルマンが一気に6分28秒差の総合6位へと割り込んでいる。
文:宮本あさか
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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