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【Cycle*2021 アークティックレース・オブ・ノルウェー:レビュー】6年前の後悔を晴らして北極圏の王となったヘルマンス「仲間たちのハードワークが無駄にならなくて、本当に良かった」
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかむしろ2日目の幸せな男は、ノルウェー第3の男フレドリック・デヴァースネスだろう。3つの山岳をすべて先頭で乗り越えると、狙い通りに山岳ジャージを肩に羽織った。もちろん最終的な目標は……500kgの鮭。「アイ・ラヴ・サーモン!」と世界中に鮭への愛を表明しつつ、続く3日目も逃げ集団へと飛び乗り、最終峠を除くあらゆる山で1位通過ポイントをかき集めた。
その第3ステージの最終峠マルセルヴで総合争いは大きく動いた。2015年、この山で勝利をつかんだヘルマンスは、イスラエル・スタートアップネーションのチームメートたちに開幕前から告げていた。同じ場所で勝ちたい、自分のために集団制御をして欲しい、と。
ノルウェーの雄大な自然の中をプロトンは走り抜けた
「最終峠へ向けて、僕はチームの5人全員を補佐役として残していた。だから彼らに全力で牽引し、集団を疲弊させるよう指示を出したんだ。その間、僕自身は、自分のテンポを保ち続けた。みんなは完璧な仕事を成し遂げてくれた」(ヘルマンス)
残り2km、アタックを潰すために同僚セバスチャン・バーウィックが飛び出して行った直後に、「少しヒヤリとさせられた」ことも。昨大会2位ワレン・バルギル、同山岳賞オドクリスティアン・エイキング、さらには2年前のU23世界王者サムエーレ・バティステッラに今ジロ山頂区間勝利ヴィクトル・ラフェ……と、あらゆる危険人物がバーウィックについていってしまったからだ。ただしヘルマンスは「パニックにはならなかった」。しかも結果的には、この動きこそが、「ライバルたちの力を殺いでくれた」と振り返る。
ヘルマンスはマイペースでライバルたちに追いつくと、あとは自らの脚でライバルたちを圧倒した。エイキングの加速にすかさず反応し、ロングアタックのラフェは力強い追走でとらえた。締めくくりに、山頂へ向けてスプリントを切るだけで良かった。
クイーンステージを制し、黄色いジャージを手にしても、ヘルマンスの戦いはいまだ終わりではなかった。6年前の苦い思い出を忘れられるはずがない。13年間のプロ人生で、生まれて初めてリーダージャージを身にまとったのは、まさに2015年のこの山だった。しかし総合7秒リードで最終ステージに乗り込みながら、最終的に1分33秒遅れの総合9位で大会を終えることになる。最終盤の自身のメカトラ、さらには集団追走中にBMCのチームメートが落車に巻き込まれたせいだった。
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