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サイクル ロードレース コラム 2021年7月7日

【ツール・ド・フランス2021 レースレポート:第10ステージ】エディ・メルクスの誇る34勝まで後1つ。今大会3勝目のカヴェンディッシュ「チームがすべてお膳立てしてくれた」

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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メイン集団は約半分に数を減らしたが、結局のところ、重大な犠牲者はいなかった。有力スプリンターも、総合を狙う選手たちもほぼ全員が前線に留まった。

最後までウルフパックの威力は弱まらなかった。残り4km、満を持して再び最前列に競り上がる。アラフィリップ、カスパー・アスグリーン、ダヴィデ・バッレリーニ、ミケル・モルコフ……すなわちカヴの解説によると「世界王者、ツール・デ・フランドル王者、オムループ・ヘット・ニュースブラット王者、そして東京五輪マジソン優勝候補」が、緑ジャージのカヴのために最高のリードアウト列車を走らせた。

特にラスト1kmは圧巻だった。フラムルージュを潜り抜けても、いまだ3人のアシストが強烈に仕事を続けていた。ほかの誰にも1度も先頭を譲ることさえなかった。カヴェンディッシュをさらにその先へと送り出した。

レース後に笑顔を覗かせたカヴェンディッシュ

レース後に笑顔を覗かせたカヴェンディッシュ

「昔ながらの、慣習に則った、まさに自転車雑誌に載っているような、教科書通りのリードアウトだった」(カヴェンディッシュ)

もちろん最後はカヴがきっちり勝利で締めくくった。ファンアールトとヤスパー・フィリプセンの追い上げを悠々と交わし、今大会ステージ3勝目を手に入れた。1勝目フジェール、2勝目シャトールーとは違って、ここヴァランスでは初勝利。ちなみに2015年大会は区間151位に沈んだし、2018年大会は数日前のタイムアウトでたどり着くことさえ出来なかった。

「このフィニッシュは知っていたんだ。2015年は脱落し、泣きべそをかいて、勝ったのはグライペルだった。でもそこで学んだんだ。最終コーナーを大きく曲がれば、スピードをそのまま保てるということをね」(カヴェンディッシュ)

そして2008年大会第5ステージから積み上げてきたカヴェンディッシュのツール区間勝利数が、ついに33勝に達した。つまり史上最強の自転車選手エディ・メルクスの誇る34勝に肩を並べるまで、あと1勝。また山の2日間で38pt差に詰められたマイヨ・ヴェールを巡る争いも、再び59ptへと広がった。

黄色いジャージを巡る争いにも一切の変動はなかった。ポガチャルは「長くて、暑くて、タフな」モン・ヴァントゥ越えの前日を、特に問題もなく乗り切った。

「たった1度だけモン・ヴァントゥに行ったことがある。今ツールの直前だよ。平日なのにたくさん人がいた。だから明日はどれだけの観衆が集まるのか想像もつかない。あの場で走るのを楽しみにしているよ」(ポガチャル)

ちなみに第10ステージのフィニッシュ直後、辺り一帯は土砂降りの雨に襲われた。一方モン・ヴァントゥ山頂では日中に瞬間風速22m(秒速)を記録。どうやら「人家にわずかの損害がおこる」程度の風だったらしい。気になる11日目は雷雨の予報だ。

文:宮本あさか

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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