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サイクル ロードレース コラム 2012年8月22日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2012 第4ステージ

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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当然のように逃げ集団との距離も、みるみるうちに縮まって行く。ほんの少し前までは余裕で逃げ切り可能だと思われていたのに、全長13.5kmの最終峠に入る頃には、5人のリードはわずか4分にまで縮まっていた。その峠の入り口で、すぐに先頭集団は加速合戦へと移行した。するとマイヨ・ロホに一番近いはずのマテマルドネスがあっさりと脱落した。さらに個人タイムトライアル世界チャンピオンのマルティンが畳み掛けるように幾度か力強くペダルを踏み込むと、しがみ付くことができたのは元団体追い抜きジュニア世界チャンピオン(マシュー・ゴスと共に)のクラークだけだった。

2人になったマルティンとクラークは、背後から追いかけてくる強豪たちを振り払うために、協力し合って先を続けた。それこそ最後の1kmのアーチをくぐる直前まで。ラスト1kmに入るとスプリント力のないマルティンが、加速したり、減速したり、後ろを振り返ったり、蛇行したり……と様々な努力を繰り返した。ゴール前300mで真っ先にロングスプリントを切ったのもマルティンだった。

「ここ2ヶ月はスプリントゴールに重点をおいた練習を積んできたんだ。だからマルティンが先頭でラストコーナーに入るよう、上手く画策することができた。それから300mでマルティンが加速を切ったけれど、ちょっと長かったよね。ボクはギリギリまで待って、そして彼を追い抜いたんだ」

26歳にして初めてのグランツールを戦うクラークが、初めてのグランツール区間勝利を手に入れた。ちなみに2008年に豪コンチネンタルチームの一員としてツアー・オブ・ジャパンに出場し、区間1勝を上げているが、本人の言によれば「4年前にプロ入りして以来、初めてのプロ勝利!」。もちろん今季誕生した祖国オーストラリアチームのオリカ グリーンエッジにとっても、嬉しいブエルタ初勝利となった。

クラークが山頂で両手を天につき上げてからわずか55秒後。つい数十キロ前までは13分も後ろにいたメイン集団の、最初の一団がフィニッシュラインへとたどり着いた。マルコス・ガルシア(カハルラル)が勝利を信じて歓喜のジェスチャー……を見せたのはお愛嬌として、共にゴールした選手の中にはニコラス・ロッシュ(アージェードゥゼール・ラ・モンディアル)の姿があった。そしてこのロッシュこそ、ゴールの10km手前で、コンタドールがアタックを仕掛けたときに、上手く波に乗った1人だ。

一時は1分15秒ほどもライバルたちから遅れを取ったバルベルデは、山に入ると、自力で驚異的な追い上げをおこなった。脱落選手をどんどん追い越し、ついにはメイン集団のお尻が見え始めた。あと17秒にまで、迫ったその時だった。数選手と共に、ダニエル・ナバーロ(チーム サクソバンク・ティンコフバンク)が飛び出した。コンタドールの山岳アシストの攻撃に、当然、集団スピードは上昇する。さらにはゴール前10kmを示すアーチの手前で、今度はコンタドールがアタックをかけた。「ロドリゲスが苦しそうだ」と感じたからだった。こうしてバルベルデは、合流のチャンスを完全に失ってしまうことになる。

このコンタドールのイニシアチヴに、付いてこれたのが前述のロッシュと、クリス・フルーム(スカイ プロサイクリング)。そしてナバーロを合わせて4人の集団は、ロドリゲスのいる集団を突き放そうと試みた。しかし前日の最終峠とは違って、この日の峠は「勾配が緩すぎたし、風もきつかった(コンタドール)」。だから前日は繰りかえしアタックを仕掛けたコンタドールだったが、今回は3kmほどでトライを放棄した。「たった数秒を稼ぐために、力を使いすぎてはならない」と。

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