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サイクル ロードレース コラム 2013年5月9日

ジロ・デ・イタリア2013 第5ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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しかし、カヴのいないメイン集団は、勢い付いたライバルスプリンターが手綱を決して緩めなかった。前述チームはもちろん、複数のチームが前方へとなだれ込み、全てを飲み込んだ。そのまま、つい1時間前まで大雨が降っていたゴールへと、突進して行った。

ゴール前1km。左へと曲がる直角で、それは起こった。前から2番目でカーブに入ったデゲンコルブ先導役のルカ・メゲッツが、上手く曲がりきれずに地面に滑り落ちた。背後では、思わずブレーキをかけた数選手が、やはり濡れた路面へ次々とダイブする羽目になった。

つまり先頭を走っていたマルコ・キャノーラが、突如として、前にも後ろにも誰もいないたった1人……という立場に押し出された。昨年ツール・ド・ランカウイで大逃げの果てに優勝をつかんだ24歳は、ためらいながらゴールへと突き進む。しかし、1kmという距離は長すぎた。背後からデゲンコルブが、ものすごい勢いで追い上げてきたからだ。

「ものすごくプレッシャーを感じていたんだ。このステージはボク向きだと分かっていた。チームが1日中ボクのために仕事をしてくれた。だから、ボクの両肩には大きな責任がのしかかっていた。勝たなきゃならなかったんだ」

2012年通算12勝を上げながらも、今年に入ってからいまだ勝ち星のない(やはり)24歳は、必死に追い上げ、そしてゴール前200mでついにキャノーラを捕らえた。昨年のブエルタでは軽々区間5勝を達成したものだが、この日は全力を使い果たし、ゴール後に地面に倒れ込んだ。本人にとってもチームにとっても、初めて出場したジロで、初めての区間勝利を勝ち取った。

「ちょっと特殊な勝利だし、ほんの少し、幸運に恵まれた勝ち方だったね。ボクは落車のすぐ後ろにつけていた。路面はかなり滑りやすかった。ちょっとスピードを出しすぎていたのかもしれないね。ラッキーなことに、分断が起こって、後方との距離が開いた。ただしボクもペダルから足を踏み外してしまったから、足をペダルにかけなおして、加速する必要があったんだよ。前方にはバルディアーニの選手がいた。周りを見回して、気がついた。全てを手にするか、全てを失うか、どちらかしかない状況なのだと。全力のスプリントは1km続いたよ!すごくハードだった。本当に苦しかった」

前日のステージでは、「3km救済ルール」が大きく問題になった(結局、2km地点で落車した選手たちはタイムが救済された。ブラドレー・ウィギンスは3kmに入る前に遅れていたと判断され、17秒遅れのまま記録は処理された)。この日は、その点に関して不明瞭な点は一切なかった。落車発生時点までメイン集団にいた選手全員に、デゲンコルブと同タイムが与えられた。総合本命たちはヒヤリとさせながらも、タイムの面では問題なく1日を終えた。総合順位に大きな変化はなく、ルーカ・パオリーニが3回目のマリア・ローザ表彰式を祝った。小さな峠を越えられなかったカヴは、6分37秒遅れでゴールにたどり着いた。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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