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1年前にチームタイムトライアル制覇で2日間マリア・ローザを着たリトアニア人と、トラックの団体追抜でジュニア・U23、エリートの全世代で国内チャンピオンに輝いてきたイタリア人は、まるでタンデムのように走り続けた。過去いくつものプロローグを制してきたドイツ人グレッチュは、なんとか2人に張り付いたが、最終峠の始まりと共に先頭から姿を消していった。またルーラー勢に先を越されたヒルクライマーたちは、山に入ると急ぎ後を追い始めたが、2人はすでにはるか彼方へと行ってしまった後だった。
その2人も、最終的には袂を分かつことになる。頂上まで5km。それはほんの軽いジョブから始まった。1度、2度、そして3度。ナヴァルダスカスはついに大きな一撃を下した。
「オスがいい選手だとは分かっていた。でも、山で彼がどれくらい行けるのかは、分からなかったんだ。だから彼が前を引いている時には、彼の調子を読み取ろうと観察した。相手がどんな風に応酬してくるのかを探るために、何度か加速もしてみた。そして、自分の調子の方が上だ、と判断したんだ。だから1度アタックをかけて、それからもう少し強めのアタックを仕掛けて、ついに、ボクは1人になった。あとは自分のペースを保つことだけを努力したよ」(ナヴァルダスカス)
50年前の1963年、大量の水が多くの命を奪った悲劇の山で、2013年、ナヴァルダスカスはゴール前に大きな十字を切った。それから個人としては生まれて初めての、グランツール勝利を手に入れた。優しい笑顔で「きっとヘシェダルも、ボクの勝利を祝ってくれるに違いない。彼は本物のチャンピオンだから」と語った直後に、遅れてゴールしたヘシェダルから大きな祝福を受けた。
ナヴァルダスカスほどの成功は収められなかったが、ピラッジィは3位にゴールして、大切な山岳ジャージをさらに確かなものにした。また26人にまで小さくなったマリア・ローザ集団は、極めて静かにレースを終えた。最終盤に飛び出したベナト・インサウスティだけが例外で、総合ライバルたちから18秒稼ぎ、総合11位から1つ順位を上げた。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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