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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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スタートから60kmにも渡って、激しいアタック合戦が続いた。地形もタイミングも、逃げ切りにはおあつらえ向きだったから。
なにしろ前夜の白熱した頂上バトルを終えて、少々疲れた総合本命たちは、典型的な「移動ステージ=休養」を望んでいた。「山頂からの長距離移動で、ホテルに到着するのはひどく遅かった。だから、ゆっくりした1日が必要だったんだ」と、ヴィンチェンツォ・ニーバリもゴール後に告白したように。しかも大会はようやく折り返し地点に来たばかりだというのに、残すステージは平地か難関山頂フィニッシュばかり。この日を逃したら、ロングエスケープを成功させられる機会は、もはや多くはないのだ!
だから多くの選手たちが、前への飛び出しを挑んだ。時速53.5kmの高速追いかけっこの末に、20人が、まんまと先頭集団を作り上げた。
ダニーロ・ディルーカやステファノ・ピラッジィのように、すでに何度もレースを活気付けてきた選手がいた。ジャクソン・ロドリゲスやヤロスラフ・ポポヴィッチのように、2日連続の逃げに挑む選手もいた。マリア・ローザ経験者(サルヴァトーレ・プッチォ)もいたし、この第11ステージの朝に大会から立ち去ったシルヴァン・ジョルジュのチームメート(ギヨーム・ボナフォン)もいた。
……今ジロ第4ステージでは長い逃げに乗ったジョルジュだが、第7ステージ後の尿サンプルA検体から、ヘプタミノール陽性反応が検出された。チームは即刻レースから当該選手を除外。その際に選手本人から「脚が重かったから、無害だと思っていた薬を飲んだ」と説明されたそうだ。レース直前だったこともあり、チームのほかの選手たちには、ジョルジュ帰宅の理由は伏せられていた。つまりボナフォンはチームの名誉を守るため……というわけではなく、何も知らされぬまま戦いへと飛び込んでいた。
沈みがちだったチームのために、奮闘していた選手もいた。ガーミン・シャープの一員として、ディフェンディングチャンピオンのライダー・ヘシェダルをここまで守ってきた、ラムナス・ナヴァルダスカスだ。前夜第10ステージで、チームリーダーの総合争いは完全に終わった。ちなみにこの第11ステージも、グルペットで1日を終えている。
「この数日、ボクらは本当にチャンスがなかった。だから今日の目標は、前に飛び出して、結果を上げること。ボクらの真価を見せつけることだった」(ナヴァルダスカス)
はるか背後では、20人を見送った後は、静かな時が流れていた。ピンク色のニーバリ率いる空色のアスタナは、常に5分〜6分のタイム差を保ちつつ、ひたすら淡々とコントロールに務めた。一方のエスケープ集団は、青色ジャージのピラッジィが山岳ポイント収集のための加速を仕掛けた頃から、徐々に騒がしくなっていく。ゴール前64kmに待ち構えた2級峠の山頂では、ロドリゲスがピラッジィを出し抜いた。さらに下りでは、パトリック・グレッチュが矢のように飛び出して行ってしまった!
上りゴールに向かって、タイムトライアル得意の強健ルーラーは、先手を打つことにした。先頭集団には上り巧者が多く、山道での直接対決では敵いっこなかったからだった。しかし、どうやら、少々仕掛けるのが早すぎた。ライバル19人を一時は1分半ほど引き離したものの、ゴールまで20kmを切った頃、別のルーラー2人が猛スピードで追いかけてきた。ディルーカの加速と、ボナフォンの攻撃に、強烈なカウンターアタックで応えたナヴァルダスカスとダニエル・オスだった。
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