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総合首位リゴベルト・ウランは後方に取り残された。他の総合ライバルたちもまた、いまだ霧の中。ステルヴィオを下り切った時点で、6人はマリア・ローザ集団に早くも2分差をつけていた。総合5位(2分40秒遅れ)キンタナと総合8位(4分47秒遅れ)ローランの利害は、つまり完全に一致した。後方とのタイム差をもっと開こうと、それぞれのアシストを思い切り働かせた。ガヴィアから逃げ出していた選手たちに追いつき、追い越した。ドメニコ・ポッツォヴィーボの「もしも」に備えて長い逃げを打っていたAG2R・ラ・モンディアルの2人組を飲み込み、ついにゴール前18km、カタルドの独走にも終止符を打った。
キンタナ、ローラン、そして総合11位ヘシェダルが、最終峠を黙々と上り続けた。牽引の大部分は昨ツール総合2位のコロンビア人が務めた。2011年ツール新人賞のフランス人はときどき前を引いた。2年前にジロ総合優勝に輝いたカナダ人は、大きな体を小さく丸めて、必死に2人についていった。はるか後ろの「マリア・ローザ集団」は、協調体制が取れぬまま、じわじわとタイムを失っていくばかり。ゴール前8km、ついにキンタナが「暫定マリア・ローザ」の位置に立った。
「下りより、むしろ最終峠で差を開いたんだよ。ローランも協力してくれた。ボク自身は自分のリズムで上ったけれど、それでも、最大限を尽くしたよ」(キンタナ)
総合首位の座に立っただけでなく、王者にふさわしい山頂フィニッシュ勝利も、キンタナは積極的に探しに行った。ゴール前5kmの勾配12.4%ゾーンでは、ローランを置き去りにした。ラスト1kmの勾配14%ゾーンでは、ついにヘシェダルも突き放した。ゼイゼイと肩で息をしながら執念でついてくる大男を、軽やかなダンシングスタイルで、ひらりと振り払った。初めてのツール参加で、山頂フィニッシュ1勝&総合2位&山岳賞&新人賞をさらい獲った24歳は、初めてのジロ参加で山頂フィニッシュ1勝とマリア・ローザ着用権を手に入れた。
「今シーズン最初から、去年のツール総合2位が単なる偶然ではないことを、ボクは証明し続けてきた。それに3週間のステージレースを戦う実力をつけるために、さらにハードなトレーニングを続けてきた。このジロには、表彰台に上るために、やって来た。そして今、こうしてマリア・ローザを身にまとった」(キンタナ)
ウランは4分11秒遅れで、フィニッシュラインにたどり着いた。ウィルコ・ケルデルマン(3分32秒遅れ)やドメニコ・ポッツォヴィーボ(3分37秒遅れ)、ファビオ・アール(3分40秒遅れ)、ラファル・マイカ(4分08秒)は、ピンク色のジャージを着た男を捨てて次々と飛び立って行った。一緒に最後まで走ったのは、昨年までチームメートだったセルジオの弟、セバスティアン・エナオだけだった。またウランより前にピンクジャージを着ていたカデル・エヴァンスは、4分48秒遅れで辛い1日を終えた。
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