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サイクル ロードレース コラム 2014年7月6日

ツール・ド・フランス2014 第1ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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油断大敵。このことを痛いほど思い知ったのは、エスケープの若者2人だけではない。なにしろヨークシャーの道は、多くの選手たちが地図を眺めながら想像していたよりも、ずっと難解だったから。細くて曲りくねっている上に、小さな起伏が繰りかえし現れる路上では、幾度も渋滞が発生した。小さな分断がところどころで生まれた。総合争いや区間優勝の有力候補が、幾人も置き去りにされた。ホアキン・ロドリゲス、クリス・ホーナー、ティボー・ピノ、ダニ・ナバロ。スカイのアシスト勢も3人。「地面に足を付いてしまって」という新城幸也も一時は遅れを喫した。横風のせいで、ほころびは簡単には繕えなかった。当然ほかのチームが待ってくれるわけもない。結局は40kmほども必死に追走を行って、ようやく前を行くメイン集団への復帰を成功させたのだった。

そのメイン集団のコントロールは、ステージ前半は、ドイツ人スプリンターのマルセル・キッテル擁するジャイアント・シマノが引き受けた。後半はドイツ人のスプリントリーダー、アンドレ・グライペルを保護するロット・ベリソルが主導権を握った。中間ポイント争いだけは、ブライアン・コカールが4位通過(=メインプロトンで首位通過)を決めて、フランスの名誉をほんの少し救った。ラスト4kmに差し掛かると、いよいよ英国人スプリンター、マーク・カヴェンディッシュ擁するオメガファルマ・クイックステップが猛然と仕事に取り掛かった。フィニッシュ地に押しかけたファンたちの歓声は、隊列が接近するにしたがって、どんどんとボリュームを上げていった。

ゴール前1kmを示すフラムルージュの直前で、それは悲鳴に変わった。2007年ロンドン開幕では、初日にマイヨ・ジョーヌを身にまとったファビアン・カンチェッラーラが、得意のロングスプリントに打って出たのだ!

「ステージの最終盤には、いつだって、何かする可能性が残されているのさ。そしてボクは、その可能性を追い求めた。だってボクは第5ステージ(石畳ステージ)のためだけに、ツールに来ているわけじゃない。自らの力を見せ付けるために、区間を勝つために、ここに来ているんだから!」(カンチェッラーラ、ゴール後コメント)

ただしコンピエーニュの再現とはいかなかった。マイヨ・ジョーヌ姿で、同じように最終ストレートで特攻を仕掛け、追い上げるスプリンター勢をまとめて振り切った2007年第3ステージのような衝撃はおこせなかった。軽い登りゴールで、ラスト500m、猛然と追い上げてきた一団に呑み込まれた。オメガファルマとジャイアントのアシスト勢が、とりわけ、あらん限りの力を振り絞った。それぞれのリーダー、カヴェンディッシュとキッテルを前方へと引き戻すために。そして、ゴール地に、大きな絶叫が鳴り響いた。それは興奮と絶望の入り混じった声――。

興奮は、キッテルがサガンを蹴散らして、ひどく力強くスプリント勝利を勝ち取ったから。ドイツ人スプリンターは2年連続の開幕ステージ勝利を手にし、2年連続で初日マイヨ・ジョーヌを身にまとった。1年前とは違って、大本命スプリンターとして、堂々たる勝利だった。

「プレッシャーは大きかった。特にここ数日はね。多くの人が、ボクの勝利を予測していた。昨大会で4勝上げただけじゃなく、コース地形もボク向きだったから。だから区間を制して、マイヨ・ジョーヌを取るというのは、ひどく難しい課題だった。ただボク自身の調子は最高に良かった。好天だったのも、ボクにとってはパーフェクトだったね。おかげで上りでも苦労しなかった。4月にコース下見に来たんだけど、その時とは随分と感触が違ったんだ。観客は当然いなかったし、お天気もずっと悪かったから。」(キッテル、公式記者会見)

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