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サイクル ロードレース コラム 2014年7月18日

ツール・ド・フランス2014 第12ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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「昨日ロードブックを見て、ペーリと2人で、ちょっとしたアイディアを温めていたんだ。だからチームメートにも引いてくれるように頼んだ。そして、プロトンの隙をついて、上手く飛び出した」(ゴチエ、ゴール後インタビューより)

前方はすでに1人になっていた。2012年ブエルタで逃げ切り勝利をつかみとり、山岳ジャージも持ち帰ったクラークが、最後の力を振り絞っていた。そこにゴール前27km地点からタンデム走法で突き進んできた2人が、20km地点で追いついた。しかし……。

「クラークと合流してからは、もう全力はださなかったんだ。だって、クラークを、どうにかして千切りたかったからね。クラークをゴールまで絶対に連れて行きたくなかった。彼とゴール勝負をしたくなかったんだ」(ゴチエ、ゴール後インタビューより)

しかしスタート直後からすでに150kmも逃げていたクラークは、当然のようにユーロップカー組の背中にひたすら張りついて、決してリレー交替を担当しようとはしなかった。ゴチエが「引けよ」と合図しても、頑なに、後ろの位置を守り続けた。背後からはスプリンターチームがスピードレベルを一段上げて、とてつもない勢いで迫ってきていたというのに。

「ゴチエとケムヌールの2人に、もしも、あと数人協力してくれたら、逃げ切りを成功させられたかもしれないのに。スプリント勝利を期待できないチームが、もっと選手を前に送り出してくれたら……。でも、残念ながら、受身のチームが多すぎた」(ジャンルネ・ベルノドー、ゴール後インタビューより)

5kmを残して、果敢な試みは強制終了させられた。スプリント強者たちが、どっとフィニッシュラインへと詰め掛けた。

ここでもやはり、緑は成功しなかった。1日中おとなしくしていたマイヨ・ヴェールのペーター・サガンは、軽く上り気味のロングストレートで全力を爆発させたが、またしても2番目の位置でステージを終えた。今大会4度目の2位だった。

「まるで、脚が、残っていなかったんだ。もしかしたら、今ツールは2位止まり、っていうのがボクの運命なのかも。それほどがっかりもしていない。この結果を受け入れて、前を向いていかなきゃ。今大会は開幕以降、自分に向いている全てのステージで全力を尽くしてきた。そのせいで、ほかの選手たちに比べて、疲労も大きかったんだと思う」(サガン、チームリリースより)

ちなみに1970年代に「アンジュ・ヴェール(緑の天使)」と呼ばれたASサンテティエンヌのゴールキーパー、ドミニク・ロシュトーから緑のジャージを授与された。1990年生まれの若者にとって、しかもフランス人でもなんでもないサガンにとっては、「まるで知らない人」だったらしい。

最後に笑ったのは紅白ジャージの男だった。アレクサンドル・クリストフ、27歳。この春のミラノ〜サンレモ優勝で一躍トップライダーの仲間入りを果たしたノルウェー人が、初めてのツール区間勝利でその名声を確かなものとした。3月のイタリアでは37歳ルーカ・パオリーニの後輪にぴたりと付いて行けばよかったのだけど、7月のフランスではゴール前1kmで見失ってしまった。それでも、三両編成オメガファルマ・クイックステップ列車の、最終車両マッテオ・トレンティンの背後にまんまと飛び乗った。「あそこが一番確実な列車に見えたから」と。

「今日のステージは、前々から、ボクにチャンスがあると分かっていた。だから昨日は、わざとなにもしなかった。あらゆるアタックの動きになにも反応せず、後方で休んでいた。おかげで今日の上りでは、足の調子はもの凄く良かった。でも最終盤はものすごくストレスを感じたよ。チームメートとはぐれてしまうし、前後左右をふさがれてしまうし……。でも脚が残っていたからこそ、ひとりで上手く切り抜けることが出来たのさ」(クリストフ、公式記者会見より)

ステージ序盤から黙々と働いてきたジャイアント・シマノは、デゲンコルブの13位で1日を終えた。積極策が再び不発に終わったユーロップカーは、コカールの7位が最高順位だった。第9ステージに大逃げでマイヨ・ジョーヌ、第11ステージには最終盤のアタックで区間勝利と、フランス自転車界を大興奮させたトニー・ギャロパンは、さすがに疲労には勝てず5分45秒遅れでゴール。総合5位から20位へと大きく後退した。それ以外の総合トップ20選手は、全員クリストフと同じ先頭集団でフィニッシュラインを越えた。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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