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ブエルタ初登場の山は、そこから2km以上も、延々と15%以上の急勾配が続く。アングリルは確かに20%超えゾーンも存在するけれど、ほんの100m単位で勾配が変わるため、きつい部分もあり、実は休める部分もある。しかし、この2kmは、一切休む場所が存在しないのだ。誰もが、じりじりと、一寸ずりで上がるしかなかった。残り2km地点で、2012年ジロ総合覇者ヘシェダルが仕掛けた。2011年ジロ・デ・ロンバルディア勝者のザウグは、ここで自らカウンターアタックを打った。
「あらゆる力を振り絞って、ザウグに決定的なリードを与えないよう努力した。前を行く彼がずっと見えていた。彼に追いつけると分かっていた。決して望みを、失いはしなかった」(ヘシェダル、大会公式リリースより)
ラスト数百メートルで、急激に勾配が緩やかになる、そこがラストスパートの狙い目だった。しぶとくしがみついたカナダ人は、こうして、ゴール前200mでスイス人を捕らえた。総合争いに加わる夢は、第5ステージで早くも失った。第7ステージでは、大逃げ中の落車で、勝利をつかみそこねた。もう1度、チャンスが欲しかった。数日前から、ひたすら今日のために、準備を重ねてきた。
「僕もチームも、もはや総合争いの野望は抱いていなかったけれど、チームとしては区間勝利のチャンスを取りにいきたいと考えていた。だって、まだブエルタは、終わっていなかったのだから。僕にとっての初めてのグランツール区間勝利は2009年ブエルタで、またしてもスペインで勝つことが出来た。すごく嬉しいよ」(ヘシェダル、大会公式リリースより)
ザウグは2番目の位置で、長い奮闘を終えた。区間勝利こそ叶わなかったけれど、コンタドールの望んだ「ボーナスタイム潰し」は自らの体を張って成功させた。そもそも区間の上位9番目までは、エスケープ選手の名前が並んだ。2日連続でロングエスケープに乗ったLLサンチェスは、チームメートのリュイス・マスから、白地に青玉の山岳賞ジャージを引き継いだ。
さて、ヘシェダルが人生初のグランツール勝利を上げた2009年ブエルタの、総合はバルベルデが勝ち取っている。2014年大会のこの日は、総合2位につけるバルベルデが、最終峠で真っ先に仕掛けた。
激坂ゾーンに入った直後だった。「エル・インバティド=無敵」が、おなじみの鋭い加速を切った。すぐに首位コンタドールと、総合5位ホアキン・ロドリゲス&ジャンパオロ・カルーゾは張り付いた。ファビオ・アルも、じりじりと、追いついてきた。バルベルデは幾度も、執拗に、スピードアップを繰り返した。ところが、ラスト1.9km、そこまで様子見に終始していた「エル・ピストレロ=拳銃男」が弾かれたように飛び出すと、バルベルデは玉切れ状態に陥ってしまう。
「正直に言うと、最終峠のことは、良く知らなかったんだ。麓でアタックを仕掛けたけれど、僕にはちょっと厳しすぎたよ。舗装状態も悪く、自転車がアスファルトにめり込むような感覚だった」(バルベルデ、チーム公式HPより)
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