人気ランキング

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

コラム&ブログ一覧

サイクル ロードレース コラム 2020年9月11日

【宮本あさかのツール2020 レースレポート】ヒルシが悲願のプロ初勝利&ツールのステージ優勝「ついに僕はやった。信じられない」 /  第12ステージ

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
  • Line

「今日の予定は誰かが逃げに乗ること。でもボーラが厳しく集団制御を始めたから、作戦を変えたんだ。まずは3級峠でティシュとセーランが前に出る。そして僕は誰か強豪が動くのを待って、そこに反応する。たくさんの飛び出しが相次いだけど、冷静に状況を見定めたよ。そしてユンゲルスの動きに乗ったんだ」(ヒルシ)

前に追いついたヒルシを、2人のチームメートは全力で支援した。おかげで息を整え、体制を立て直す時間が持てた。そして続く2級シュク・オ・メイで、ソレルが思い切って独走を試みた直後に、ヒルシは決定的な加速を切る。フィニッシュまで約29km。今度こそは、間違いなく、「勝利へと続く」アタックだった。

ヒルシは自らのスタイルに、あくまでも忠実だ。第2ステージも第9ステージでも示したように、上りで攻め、下りではさらに攻める。今回も2級峠の山頂から、とてつもない高速ダウンヒルを披露した。もう2度と小集団スプリントは戦いたくない。ひとりでフィニッシュラインにたどり着くために、ぎりぎりのラインを攻め続けた。

「3度とも勝てずに表彰台で終わるなんて、絶対に嫌だった。それでも自分にやり遂げられるかどうかは分からなかったし、とてつもなく苦しいものだった。最後の数キロになってもまだ疑ってた。でもようやく、残り1kmになって、勝利を確信できたんだ」(ヒルシ)

第9ステージでタデイ・ポガチャルに「21世紀における最年少ツールステージ勝者」の座は譲り渡したけれど、22歳になって17日目のヒルシは、つまり今世紀で2番目に若い勝者となった。さらには今大会2度目の敢闘賞もご褒美にもらった。1度目の時はまったく嬉しそうではなかったけれど、今回は心からの笑顔で、勇気の印「赤ゼッケン」を受け取った。

激しくどんぱちを繰り広げたアタッカーたちの背後で、ステージ最終盤のメイン集団はユンボ・ヴィスマがきっちりとまとめ上げた。当然マイヨ・ジョーヌのプリモシュ・ログリッチも、44秒以内にひしめく6人のライバルたちも、危なげなく今大会最長ステージを走り終えた。また、果たして「作戦成功」と言えるのかどうかは定かではないが、サガンは同集団の先頭でフィニッシュラインに滑り込んだ。つまり区間13位で、4ptを収集。ただ中間でベネットに2pt余計に獲られているから、結局のところ遅れを2pt取り戻しただけだった。いまだマイヨ・ヴェールまでは、66ptも離れている。

文:宮本あさか

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

  • Line

あわせて読みたい

J SPORTS IDを登録すれば、
すべての記事が読み放題

J SPORTS IDの登録(無料)はこちら

ジャンル一覧

J SPORTSで
サイクル ロードレースを応援しよう!

サイクル ロードレースの放送・配信ページへ