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サイクル ロードレース コラム 2019年7月21日

【ツール・ド・フランス 2019 第14ステージ / レースレポート】ティボー・ピノ「僕にとってツールは今から始まったんだ」

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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アラフィリップ

山頂まで9km、2年前の山岳賞ワレン・バルギルが、大胆にアタックを仕掛けた直後だった。エースのピノを背後に引き連れて、ダヴィド・ゴデュが強烈なペースアップを図る。まさにこの22歳の若者の働きで、イネオスの隊列に乱れが生じる。しかもリッチー・ポートとエンリク・マスが後方へと押しやられた。特に24歳マスは個人タイムトライアルの結果、8秒差で新人賞ジャージをエガン・ベルナルから奪い取ったばかりだったというのに..両者の立場は再び入れ替わった。それどころか山頂で新人賞首位に返り咲いた22歳ベルナルとマスとの間には、ローレンス・デプルスとゴデユが割り込んだ。

23歳デプルスもまた、チームリーダーのために驚異的な任務を果たしたひとり。なにより2019年ツールを初日から席巻しているユンボ・ヴィスマは(区間勝利4、マイヨ・ジョーヌ2日間)、最終盤で数的有利に立った。イネオス2に対して..ユンボ3!もちろんエースのステフェン・クライスヴァイクのため、デプルスとジョージ・ベネットが奮闘し、邪魔なリゴベルト・ウランやヤコブ・フルグサングを振り払った。

追い打ちをかけたのはエマヌエル・ブッフマンだった。沿道に詰めかけた無数のファンをかき分けながら、毅然とスピードを上げた。すると、残り1kmを意味するフラムルージュのアーチの下で、ゲラント・トーマスがずるずると後退していったのだ。「正直に言うと朝から調子が悪かった」とフィニッシュ後に告白したディフェンディングチャンピオンは、無理にアタックに反応し力尽きるよりも、自らのテンポで上る方を選んだ。

次々とビッグネームたちが脱落していく中で、ラスト1km、先頭集団に生き残った強者は6人。ピノ、アラフィリップ、ランダ、ブッフマン、クライスヴァイク、そしてベルナルが、ツール史上3度目のトゥルマレ山頂フィニッシュを争った。勝負を決めたのは残り400mのヘアピンカーブ。ここで加速を切ったピノは、急勾配を利用して一気に抜け出すと、歓喜の区間勝利を引き寄せた。2位にはアラフィリップが、3位にはクライスヴァイクが滑り込んだ。

ピノが第10ステージの横風分断で失った1分40秒は、いまだ完全に取り戻せたわけではない。しかし総合3位から11位まで陥落し、この日の終わりには、3分12秒差の6位へと再浮上した。「僕にとってツールは今から始まったんだ」と語るピノは、「次の目標はパリの表彰台に乗ること」ときっぱり宣言する。

もちろん山頂に詰めかけたフランスのファンたちは、ピノの見事な優勝に大きくわいた。ただ「ア・パリ!ア・パリ!」(パリで!パリで!)と観客たちが連呼した先には、むしろアラフィリップの姿があった。「有力選手たちが自分より前に脱落していくのを見て、モチベーションがわいた」と語る通り、何度か遅れそうになりながらも..ジャージ保守への強いモチベーションに支えられて脚を回し続けた。マイヨ・ジョーヌ表彰台はついに10回目に達し、総合2位トーマスには新たに36秒差を押し付けた。総合タイム差は2分02秒。3位クライスヴァイクは2分14秒差に迫る。

未だアラフィリップ本人は「パリの表彰台のてっぺん」については考えていない。ただしこうも告白する。「パリに近づけば近づくほど、自分がマイヨ・ジョーヌを守れるかどうか、そんな自問自答が増えるだろうね」

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