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その点、2015年ツアー・ダウンアンダーの総合覇者は、この日のために昨年の11月から入念に準備を積んできただけでなく、なにより暑さ対策をきっちりと積んできた。初めてのツール区間勝利と初めてのマイヨ・ジョーヌは、決して偶然にデニスの手に入ったものではない。
「そもそも僕はオージーだし、それにツアー・ダウンアンダーに来たことのある選手なら知っていると思うけど、あのレースはかなりの暑さの中で1週間を走るんだからね。それに特別練習を積んできた。2時から5時まで、トレーニングに出かけるというもの。35度とか40度の中でトレーニングを続けたおかげで、こういった状況には慣れていたんだ」(デニス、公式記者会見より)
タイムトライアルスペシャリストたちによる区間&大会初のマイヨ・ジョーヌ争いの一方で、大会21日目のマイヨ・ジョーヌを巡る争いも大いに加熱した。「ファンタスティック・フォー」と呼ばれる4強の中では、ディフェンディングチャンピオン(つまり最終走者)のヴィンチェンツォ・ニーバリが15分39秒(デニスから43秒遅れ)でトップに立った。クリス・フルームを7秒、アルベルト・コンタドールを15秒、ナイロ・キンタナを18秒上回った。
ちなみに4強を脅かす「アウトサイダー」として期待されるティボー・ピノはデニスから41秒遅れ(ニーバリから2秒リード)、ティージェイ・ヴァンガーデレンが42秒遅れと、いずれも4強を上回った。
「確かにキンタナより20秒速かったけど、こんなもの、ほんの些細な差だよ。それよりも自分自身を安心させたかった。僕はしっかり仕上がっていると確認したかったんだ。だから、遅れずに終えられたことのほうに、むしろ満足してる。20秒なんて、パリまでの道のりを考えれば、たいしたことない。むしろ明日のほうが……、あっさり2分ほど失ってしまう可能性があるよ!」(ピノ、ゴール後インタビューより)
暑さの次は、強風がプロトンを大いに苦しめる予定だ。天気予報によれば、北海上の大堤防の上には……、雨雲も張り出すらしい。暑さを和らげてくれる恵みの雨となるか。それともピノの恐れるカオスと分断を、引き起こすのか。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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