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サイクル ロードレース コラム 2015年7月23日

ツール・ド・フランス2015 第17ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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「もし集団内に留まっていたら、アロスの長い峠で、脱落してしまっただろうね。だから、早めに、単独で飛び出すことに決めたのさ。もしも上手くいかなかったら、後方にいるワレン・バルギルの支援に回るつもりだったし」(ゲシェケ、公式記者会見より)

賭けは上手くいった。逃げの仲間たちはすぐには追いかけてこなかった。ようやく追走に本腰を入れだしたのは、差が2分近くまで広がってから。逃げ集団内で総合最上位(13位)のマティアス・フランクや、アンドリュー・タランスキーが積極的に加速した。なにより、ほんの3週間前にはヴァンガーデレン以上の「表彰台候補」として期待されてきたティボー・ピノが、度重なる悪運を振り払うようにアタックを仕掛けた。1度、2度、そして3度。ついにフランス屈指のヒルクライマーは1人になった。アロス山頂では、ゲシェケとの差を1分にまで詰めていた。

ただ、ピノは、プロトン屈指のダウンヒラーではない。むしろ、その逆だ。2013年にピレネーのパイエール峠で落車して以来、怖くて、どうしても思いっきり下れなくなった。オフ中に「スピードに慣れる」ためのメンタルトレーニングを積み、昨ツールでは、恐怖は完全に克服されたかのように見えた。ところが……。

「6つ目のカーブを抜け出すところで落車した。どうして転んだのかは分からない。ただアスファルトの上に、転がり落ちてしまったんだ」(ピノ、ゴール後インタビューより)

怪我や骨折がなかったのは不幸中の幸いだった。すぐに自転車に飛び乗って、先を続けた。しかし、落車の衝撃でハンドルがゆがんだ。勇気を、再び奮い立たせることも、できなかった。本人曰く、そこから先は、本人のセリフを借りれば「壊滅的」だった。的確な軌道を描き続けるゲシェケに追いつけないどころか、タランスキーに抜かれ、矢のように追いついてきたリゴベルト・ウランにも抜かれた。結局は区間4位で1日を終えた。

「まだアルプスは3ステージ残ってる。つまりチャンスは3回ある。明日からすぐに、アタックするさ」(ピノ、ゴール後インタビューより)

ヒルクライマーでもなければ、スプリンターでもなく、ゲシェケは「全地形型ルーラー」だと自らを称した。アロス峠の上りを見事なテクニックで攻略し終えた時点で、追走タランスキーとのタイム差は1分45秒。生まれて初めてのステージ優勝へ向かって、最終峠プラ・ルーの6.2kmの山道で、ルーラーは最後の力を振り絞った。

「ひどく脚が痛かった。どんどん走行速度が落ちていくのが分かった。タランスキーとの差がそれほど多くないのは知っていたけれど、正確にはどれくらいなのかは把握していなかった。幸いなことに、十分だった!ツール・ド・フランスで区間勝利が手に入れられるなんて、信じられないよ。自転車競技を始めた頃から、ずっと抱き続けてきた夢が、ついに現実のものとなったんだ」(ゲシェケ、公式記者会見より)

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