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【Cycle*2024 フレーシュ・ワロンヌ:プレビュー】唯一絶対の勝負地「ユイの壁」を4回、誰が真っ先に上り詰めるのか
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タランスキーを32秒差で振り切ったゲシェケは、ジャイアント・アルペシンに、待望の2015年大会初勝利をもたらした。マルセル・キッテルのおかげで、過去2大会は初日であっさり大会1勝目をさらってきたチームは、今年は17日目まで祝杯を待たねばならなかった。
キンタナ&バルベルデが50km地点で、コンタドールが90km地点でまさかのアタックに転じるも、メイン集団の本格的な戦いは、やはりアロス峠で勃発した。まずはトレックが猛烈な牽引を行った。続いてアスタナが高速列車を組み上げた。予想通りにヴィンチェンツォ・ニーバリが、得意の下りを視野に入れつつ、上りアタックを打った。直後にはナイロ・キンタナも鋭い加速を切った。
いずれも、ひたすら穴を埋めに行ったのは、マイヨ・ジョーヌだった。その他のライバル達を背中に引き連れて、フルームが、たった1人で追いかけ役に回った。……と、ちょうどそのタイミングだ。前方からゆっくりと降りてきたポートが、マイヨ・ジョーヌ集団と合流を果たしたのだ!当然のように、すぐにキンタナの前に入り込み、スピードコントロール役に努めた。
「リッチーがエスケープから戻ってきてくれて、総合ライバルたちの制御を担ってくれたのは、すごく助けになった。それにしてもライバル達は、やけっぱちになっているのかな。なんとなく、どんどんリスクを冒すようになってきた。ひどく遠くからアタックを仕掛けたり、今日の下りでも危険を顧みず加速したり」(フルーム、公式記者会見より)
果たして、コンタドールはどれほどのリスクを冒したのだろうか?下りに転じると共に、始まったニーバリの高速攻撃に、フルーム、キンタナ、バルベルデ、コンタドールはきっちり反応した。しかし、数キロほど下った先の、でこぼこが多いカーブで、今年のジロ覇者だけが落車した。さらに不運は重なった。衝撃でメカトラブルが発生し、すぐには再出発できなかった。アロス峠の山頂でロジャースやサガンと合流したはいいけれど、自転車の不具合は誰も解決できなかった。つまるところ、サガンの自転車を拝借して、コンタドールはひとりで下っていった。本来ならば下りはサガンがアシストする予定だったのに……。最終峠の麓では改めて自転車を交換する必要があった。前に1人残っていたマイカは「無線の故障」のため一切の情報を得ておらず、上りアシストを務める術がなかった。破れたジャージ姿で、コンタドールはフィニッシュエリアにやってきた。マイヨ・ジョーヌから改めて2分17秒を失っていた。
「自転車レースというのは、こういうものさ。時には上手くいき、時には上手くいかない。でも、今現在で最も大切なのは、リカバリーすること」(コンタドール、チーム公式リリースより)
今から40年前、マイヨ・ジョーヌ姿のエディ・メルクスが、若きベルナール・テヴネに総合リーダーの座を奪い取られた。伝説的「敗北の地」、最終峠プラ・ルーで、若きキンタナは加速を繰り返した。しかし、2015年のマイヨ・ジョーヌは、一切の弱点を見せなかった。ニーバリが落ち、バルベルデがついていけないのを尻目に、黄色いジャージはますます強烈に前方へと突進した。相変わらずフィニッシュラインでは、スプリントさえ切った!
「ナイロは僕に圧力をかけ、僕の調子を試してきた。特に最後の1kmで、こんなことを強く感じた。僕が反応できるかどうかを見るために、僕に揺さぶりをかけにきた。でも今ステージの僕は、調子が良かったんだ。だから、すべてに応えることができた」(フルーム、チーム公式HPより)
ただし、スプリントだけは、残念ながらキンタナに負けた。もちろんゴールタイム自体は同じで、つまりは両者の総合3分10秒差も変わらなかった。ヴァンガーデレンの抜けた総合3位の位置には、キンタナのチームメート、バルベルデが格上げとなった(4分09秒差)。フルームのチームメート、ゲラント・トーマスは、自動的に総合4位へと昇格した(6分34秒)。コンタドールは総合5位のまま変わらず、しかしタイム差は6分40秒と大きく後退した。また大逃げに乗ったフランクが、総合8位まで一気にランクアップを成功させている。総合順位のシャッフルのチャンスは、後3回残っている。
宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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