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それはまた、自らのチームが攻撃に転じるという、はっきりとした宣言でもあった。3週間前に9人で走り出したアスタナは、ヴィンチェンツォ・ニーバリの第2ステージ失格、パオロ・ティラロンゴの第3ステージ負傷による途中棄権、アレッサンドロ・ヴァノッティの第19ステージ落車(「今日は歩くことさえきつかったのに」byアル、公式記者会見より)により、実質6人体制だった。そんな数的不利を跳ね飛ばして、3番目の山の麓で、今大会最後の大作戦へと走り出した。
ダリオ・カタルドとディエゴ・ローザの刻んだテンポは強烈だった。集団はあっという間に小さく絞り込まれていった。ジャイアントのアシストたちも、それまでの努力むなしく、揃って後方へと押しやられた。ミケル・ランダの加速がうなった。デュムランは苦しんだ。いや、あらゆる総合トップ10選手が、苦しんだ。前夜の奮闘がたたり、アレハンドロ・バルベルデは完全に脱落した。
「アルベルト・コンタドールが、僕のアイドルなんだ。そして彼は、いつだって、今だって、とてつもなく遠くからアタックを打ってきた」(アル、公式記者会見より)
ゴールまで50kmあまり。アル本人がアタックに転じた。前日のような小さなアタックを、繰り返したのではない。渾身の、大きなアタックを、ただ一発だけ打ち込んだ。
「最初の加速で、すでに、ギャップを縮めるのが苦しくなっていた。限界ぎりぎりだった。そして、アルが飛び出した。終わりだった」(デュムラン、チーム公式HPより)
大きな体躯の赤ジャージが、ついに、陥落した。そこまで後輪にじっと張り付いていたライバルたちも、転覆する船から逃げ出す小動物のように、単体で次々と前方へと逃れていった。デュムランの隣に残ったのは、ミケル・ニエベただ1人だけ。山頂では、すでに20秒の差をつけられていた。
3つ目の山の上りで、デュムランが脱落したのだとしたら、下りで、完全に止めを刺された。24歳のルーラーは、それでも、落ち着いて、追走を始めた。すぐにタイム差は、9秒にまで縮んだ。あと、ほんの少しで、アルやその他ライバルたちの尻尾を捕らえられるはずだった。
「あまりテクニカルな下りではなかったのが残念だ。もっと技術的なダウンヒルだったら、きっと前に戻れたのに。それに、谷間に入ると、アスタナのアシスト3人が、牽引を始めた。終わりだ、と悟った」(デュムラン、チーム公式HPより)
逃げ集団に滑り込んでいたルイスレオン・サンチェスとアンドレイ・ゼイツが、最高のタイミングで――デュムランにとっては最悪のタイミングで――、アルの一団を待っていた。下り巧者の「LL」が引き始めると、瞬く間に差は押し広げられた。わずか5kmほど走っただけで、9秒差は、1分差にまで拡大した。6秒差で守ってきたマイヨ・ロホは、完全に、アルにむしりとられた。
「もしも、前に1人、アシストを送り込んでいたら、もしも、1人でもアシストが残っていたら……、彼は救われたかもしれないのにね」(ロドリゲス、公式記者会見より)
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