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チャリンギは祖国のステージを成功で締めくくったが、メイン集団は、簡単にオランダを抜け出せたわけではなかった。初日2日間とは違い、幾度かの難しい時間帯を潜り抜ける必要に迫られた。
たとえばステージの折り返し地点に突入する直前、スタートから80km地点で小さな落車が発生する。チャリンギと同じく、「人生最後の」シーズンを戦っていたはずの38歳ジャンクリストフ・ペローが、アスファルトに顔面から叩きつけられた。2014年ツール総合2位は「引退する前にジロも経験したい……」と意気込んでいたのだが、イタリアに入る前に、イタリア一周から永遠に立ち去ることになった。
「ペローは頭部と顔面に外傷を負い、一時は意識を失った。ただしオランダの救急病院で検査を行った結果、骨折や脳の異変は一切見られないことが判明した」(アージェードゥゼール・ラ・モンディアル リリースより)
ゴール前80kmでは、オランダ名物、風による分断の試みも見られた。アルノー・デマール属するエフデジが、まとめて罠にはまった。ブチブチッ……と切れ切れになり、30秒ほどの距離を一気に開けられた。隊列となって追走を行い、なんとか前方集団を捕らえたエフデジの悪夢は、これだけに留まらなかった。4級峠の上りでは、デマールがまさかのメカトラブル。またしてもアシスト数人がかりで、リーダーを必死になって引き上げた。
しかもゴール前12kmで発生した落車が、四葉のクローバーを完全に散らす。「ああ、なんて、オランダらしい!」と会場全体がため息をついたように、オランダ特有の小さな交通島が引き起こした事故だった。総合首位から0.01秒差のプリモシュ・ログリッチェも地面に転がり落ちた。なにより「チームの半数以上が巻き込まれた」とエフデジの公式ツイッターが嘆いたように、ゴール前12km、デマールの列車要員はことごとくアスファルトになぎ倒された。
エスケープが想像以上に粘ったことも、メイン集団の「弱者」……、たとえば体調不良のファビアン・カンチェラーラ等々にとっては痛手だった。しかも市街地の難解な周回コースに突入し、2度目のフィニッシュラインを通過した直後に、ファンジルが単独で前方へ打って出た。最大8分あったタイム差は、ゴール前12km地点で、すでに1分近くにまで縮まっていた。それでも孤独な逃避行は、10km近くも延々と続いた。
エフデジ以外のあらゆるチームが追走に力を尽くした。思うようにタイム差が縮まらず、焦りの色が濃くなっていく中で、最後の止めを刺したのはエティクス・クイックステップだった。ゴールまで1.7km、ようやく吸収が完了する。
「タフな1日だった。前半はほぼ平坦だったのに、風のせいで簡単ではなかった。プロトン全体が緊張感に満ちていた。後半は横風を利用しようとするチームも多かった。でも僕らチームは、常に落ち着いていた。しっかり制御を続けた。なにより逃げをきっちりと吸収した。こんなチームの作業が、今日の僕の成功要員の大部分を占める」(キッテル、公式記者会見より)
赤いジャージ姿のキッテルは、チーム全体の仕事を完璧な方法で締めくくった。圧倒的な加速力で、全てを一瞬で置き去りにした。フィニッシュラインを越えた後には、ピンク色の喜びが待っていた。
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