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ちなみに前半2つの山は、デニフルの背後で、いずれもクネゴが山頂スプリントを成功させた。後半2つの山は、すでに優勝へ向けて独走を始めていたニエベの後ろで、ヴィスコンティが2位通過。今ステージだけで計35pt収集したクネゴが、1日の終わりに改めて青ジャージを身にまとった。全部で44ptかき集めたヴィスコンティは、5位→2位にジャンプアップし、首位まで30ptに迫る。
区間への争いは、つまり3つ目の山で決した。エティクス・クイックステップが制御を続けるメイン集団から、3分近くリードを奪い、総合で2分47秒差につけていたウリッシが「暫定」マリア・ローザとなった直後だった。10%近い勾配が延々と続く難しい1級峠で、しかし、ランプレ最後のアシストは力尽きた。キャノンデールからはモレノ・モゼールが思い切って加速を切った。
そして、これが、どうやらニエベを刺激したようだ。バスク生まれのヒルクライマーは、事も無げにスピードを上げると、そのまま全てを振り払って前方へと突き進み始めた。ただキャノンデールのジョセフ・ドンブロウスキーだけが、かろうじてついていくが……。山頂まで約2km、最も勾配のキツイ16%ゾーンで、若きアメリカ人も置き去りにされた。
苦しむドンブロウスキーに代わって、まずはマッテオ・モンタグーティが、最後にはヴィスコンティが必死の追走を行ったが、全ての努力は無駄に終わった。なにしろ、このスペインの山男、2011年ジロ伝説のガルデッチャステージの勝者である。229km+大雨+寒さ+強風+5峠+山頂フィニッシュ+7時間半という悪夢のようなステージで、ラスト100kmを独走したのだ。こんなタフガイにとって、汗ばむような陽気の中の、4時間半の凝縮したレースで、たった30kmの独走を成功させることなど……それほど難しい試練ではなかったはずだ。それでも、フィニッシュラインにたった1人先頭でたどり着いたニエベは、まるで全ての重圧から開放されたように、両手を空へと大きく広げた。
「もしもミケル・ランダが大会に残っていたら、もちろん、今日は自分で勝ちに行くレースはできなかっただろう。だって彼の総合争いを助けるために、僕はジロに招集されたんだから。でもランダが途中リタイアした今、僕らにできる唯一のことは、ただステージ勝利目掛けてアタックを打つこと。だから僕は全力で飛び出したのさ」(ニエベ、公式記者会見)
昨大会総合3位ランダが抜けても、いまだ総合争いは混雑したまま。こんな状況を打破すべく、ヴィンチェンツォ・ニーバリ擁するアスタナが動いた。やはり3つ目の山だった。ボブ・ユンゲルスのために健気に牽引を続けるエティックス隊列を、強烈なテンポで蹴散らした。一気に集団を15人ほどにまで絞り込んだ。
4つ目の最終峠に差し掛かると、アスタナはさらなる高リズムを強いた。ここで首位ユンゲルスはついに後退を始め、ついには完全に脱落した。後方へと遠ざかっていくピンク色を尻目に、ニーバリは自らアタックを繰り出した。アレハンドロ・バルベルデも加速した。エステバン・チャベスも鋭い突きを披露した。激しい本命たちの激突も、しかし結局は、ユンゲルスを振り払うことにしか役に立たなかった。
たしかに総合7位イヌール・ザカリンは、苦しみ、何度も遅れそうになった。ただ5日前の個人タイムトライアルでの2度の落車で、小さな負傷を抱える26歳は、いつも必ずライバルたちのもとに舞い戻ってきた。本来はバルベルデのアシスト役であるはずの総合2位アマドールも、上りで一旦は、完全に姿を消した。
「最終峠では、少しエネルギーが足りなくなった。山頂まで2kmを残して、集団から脱落した。でも自分に何ができるか、僕はよく分かっていた。下りで集団に戻れるだろうことは、分かっていたんだよ」(アマドール、チーム公式HP)
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