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写真:逃げ続ける3名の選手
急カーブこそ存在しなかったけれど、ラスト2kmからの道は、うねうねと蛇行していた。クイックステップフロアーズのアシストが、全ての難所を先頭で切り抜けた。残り600mからは、エドヴァルド・ボアッソンハーゲンが強烈なロングスパートを試みた。カヴェンディッシュの抜けたディメンションデータを救うため、あらゆる「ピュア」スプリンターを千切りにかかった。しかし最後の200mで、あらゆる俊足自慢が一斉に加速を切ると……、ノルウェーの天才はあえなく後方へと沈んでいった。
右フェンス脇からすり抜けるようにして駆け上がったデマールと、堂々と中央を真っ直ぐ突き進んだアンドレ・グライペルの、一騎打ちであるかのように見えた。緑色のジャージがわずかに先行し、ドイツのゴリラはハンドルを投げた。
「でも僕がすり抜けた場所は、すごく、すごく、狭かった。だから100%の力が出せなかったし、なによりスプリントラインを上手く調整できなかった。でも、スプリントできない可能性さえあったのに、それでも最後は勝負に加わることができたんだ」(デマール、ミックスゾーンインタビューより)
ところがライン上でガッツポーズを突き上げたのは、第3の男だった。2人が加速を始めた時、前から10番手ほどに隠れていたキッテルが、外側から大きく追い上げた。第2ステージでは嬉し泣きした感激屋さんは、自身にとって通算ツール区間11勝目を挙げた直後、チームメイトやスタッフと抱き合いながら、流れ落ちる汗と涙が入り混じった液体を拭ったのだった。
「まず何よりも、チームメイトの仕事を誇らしく思う。みんなで素晴らしい仕事を成し遂げてくれた。第2ステージの時とは、かなり状況は違ったんだ。今日はみんな常に前線に留まって、重要な時間帯には必ず側にいてくれた。スプリント時に脚さえ残っていれば、自分には抜け道を見つけることが可能だと確信していた。そして、まさしく、僕には脚が残っていた。全員で勝ち取った勝利だよ」(キッテル、公式会見より)
デマールは2位に、グライペルは首をひねりながら3位に終わった。フレンチスプリンターが3日連続で緑ジャージ表彰式に臨んだが、ポイント賞2位キッテルとのポイント差は、40pt→27ptに大きく縮まった。
実際の事故こそ起こらなかったけれど、実はプロトン内はがやがやとうるさかった。アレクサンドル・クリストフのリードアウト役マルコ・ハラーは、デマールのアクロバチックな動きのせいで足止めを食らい、腹を立てた。デマールのリードアウト約ジャコポ・グアルニエーリは、ナセル・ブアニに肘打ち&幅寄せされたと、イタリアのTVに告発した。……まあ、デマールとブアニの確執は、今に始まったことではないけれど。2012年に現フランスチャンピオンがエフデジでプロ入りして以来、両者のいざこざのエピソードは掃いて捨てるほどある。そもそも第4ステージ後は、ブアニ本人が、テレビ生中継でデマールを糾弾しているのだ。
すると翌日第7ステージも、色々な意味で、熱狂的なスプリントが繰り広げられることになりそうだ。総合ライダーにとっては、本格的な山入り前の、最後の静かな1日となる。
写真:記念撮影に応じるフルーム
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宮本 あさか
みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。
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