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サイクル ロードレース コラム 2017年9月8日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2017 第18ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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本当かどうかは分からない。前日にも逃げに乗ったアラフィリップ自身は、体がきつかった、とチームリリースで述べているけれど。とにかく、アルメは、危険人物をラスト4kmの加速で振り払った。まんまとルツェンコとの一騎打ちに持ち込んだ。

今大会すでに2回、山岳ステージで逃げを打っていた。第11ステージは、上りでは圧倒的な強さを見せながらも、雨の下りで脱落してしまった。第15ステージでは、後方から飛び出してきたコンタドール等々に抜き去られ、敢闘賞で満足するしかなかった。……でも、もはや、好走だけで終わりたくなかった。2度あることは3度ある、なんてことは絶対に避けたかった。

「絶対にスプリントはしたくなかった。これまで、長く待ちすぎて、後悔することが多かった。だから今日は駆け引きなどせず、早めに自分から仕掛けて、全力で突っ走ろうと決めていた。自ら攻めたら、もしまた負けても、きっと後悔しないはずだと思ったから」(アルメ、TVインタビューより)

ラスト850m、急勾配ゾーンに入った瞬間だった。ツール・ド・ロマンディで2年連続山岳賞を持ち帰った自慢の脚で、力強くダンシングを始めた。ラインまで加速を続ける覚悟は決めていた。100m先でルツェンコとの距離が少し離れた。残り500mで、「彼は落ちた、落ちたぞ!」というチームからの無線が聞こえてきた。ライン手前200mで勝利を確信したけれど、1秒でも早くラインにたどり着きたかった。だからギリギリ50m手前までダンシングを続けると、ようやく、勝利の感激を味わった。

「プロ初勝利だから、当然、僕にとって最も大きな勝利さ!最高だね。今日のようなフィニッシュ地形なら、逃げに乗れば、僕にも勝機があると分かっていた。そして今日、実際にレースを勝つ能力があることを、証明することが出来た。本当に幸せだ」(アルメ、フィニッシュ後インタビューより)

ロット・ソウダルが今大会3勝目を手にし、アスタナが4勝目を逃したはるか後方では、総合上位勢たちが、2つ目の上りでついに戦闘を開始した。イルヌール・ザカリンの表彰台乗りを企むチーム カチューシャ・アルペシンが、6人で隊列を組み上げると、そのまま全員で飛び出した。これが合図だった。

意表を突く攻撃に、スカイ隊列は一瞬動きかけるも、約2分半差の総合4位を「あえて」追わなかった。慌てて総合2位バーレーン・メリダが回収に向かった。妙な騒ぎに乗じて、数選手が前に走り出した。ファビオ・アルも加速し、弾かれたようにコンタドールも飛び出した。約3分半差の総合5位を、今度はスカイ自らが潰しにかかった。フエンテ・デの再現を食い止めるべく、グランツール総合7勝の大チャンピオンを引きずり落とした。ただアルだけが、魔の手を逃れて、先へと抜け出した。

「飛び出そうとは考えてなかった。でも数人が動きを見せて、やる気になった。アルの動きに反応したけれど、でも、彼が再度加速した時に、思ったんだ。2人で逃げてもどうにもならないだろう、って」(コンタドール、大会公式リリースより)




アルが選んだのは、フィニッシュまで約45kmにも渡る、孤独な闘争だった。憧れの選手はコンタドールで、師匠はパオロ・ティラロンゴーーフエンテ・デではチームの枠を超えてコンタドールをアシストし、彼もまた、今季限りで自転車を下りるーーというアルが、イタリアチャンピオンの誇りを示した。目標だったジロは怪我で出場できず、ツールはチームメイトたちが次々と負傷し孤軍奮闘を強いられ(5位)、今ブエルタでは後輩ミゲル・アンヘル・ロペスモレーノの影に隠れ、6分45秒遅れの9位に甘んじていた。だから少しでも何かを成し遂げようと、必死に努力を続けた。一時はマイヨ・ロホ集団に1分半ものリードを奪い、暫定7位にも上がった。

「残念ながら、最終的には大して秒数を稼げなかった。でも、今日の動きは、気持ちの上で非常に大切だった」(アル、チームリリースより)

3つ目の上りで、……つまり5年前に飛び出しを成功させた思い出の山で、改めてコンタドールがアタックに転じた。待ってましたとばかりに、ロペスモレーノも後輪に飛び乗った。5人いたアシストを3人に減らす勢いで、スカイは潰しにかかった。4日後にキャリアを終えるコンタドールは、執拗に攻撃を試みた。スカイのアシストが後方に下がっている隙に、急加速を切ってみたりもした。しかし、総合10位ダヴィデ・デラクルスの抜け出しは見逃しても、フルーム親衛隊は決して、コンタドールの先行を許さなかった。

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