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逃げの吸収と同時に、ステージの表情はがらりと変わる。なにしろ突如としてチームスカイがプロトン最前線へ競り上がると、とてつもない加速を切ったのだ!
それまで東を目指して走ってきた集団が、北へと進路を変えるタイミングだった。集団内は軽いパニックに陥った。極めて運の悪いことに、小さな曲がり角を抜けた先で、集団落車も発生した。そのせいで、すでに後方は、ばらばらと集団の結び目は解けかけていた。……その直後だ。幅広の大通りへと進み出ると、右斜め前から強烈な海風が吹いてきた。あっという間にプロトンはいくつにも分断した。
先頭集団に踏みとどまれたのは60人程度。大多数のスプリンターと総合強者が好位置を守り、マイヨ・ロホのリュディ・モラールも必死に前へとしがみついた一方で、チームメイトにして総合エースのティボー・ピノは後方へと吹き飛ばされた。
「どうしてこうなってしまったのかよく分からない。チームのみんなは僕の後ろに着いてきていると思っていた。でも、しばらくして、無線で、ティボーが遅れていると聞かされた」(モラール)
ウィルコ・ケルデルマンは分断の喧騒の中で、パンクの犠牲となった。すぐに自転車交換して走り出すも、時すでに遅し。チームメートが次々と援護に駆けつけ、ピノとも協力して前を追いかけたが、ただひたすら遅れは広がっていくばかりだった。
なにしろ前方では総合ライバルたちが交互にスピードアップを繰り返したのだ。スカイはもちろん、前方に7人も留まったEFエデュケーションファーストも、珍しくリーダーが罠にはまらなかったモヴィスターも、邪魔者を1人でも多く突き放そうと前を引いた。ポートの健闘に刺激されたか、やはりツールでの落車負傷が響き、すでに総合は断念したはずのヴィンチェンツォ・ニバリさえ、力強い牽引を見せた。
総合勢たちが必死に働いてくれたせいで、しばらく風の当たらぬ場所に潜んでいたスプリンターたちも、ラスト2kmからは熾烈なポジション争いを繰り広げた。当然のようにクイックステップが好位置を勝ち取り、最終ストレートに入ると発射台が最前列を突っ走った。
ところが、肝心のスプリントエース、エリア・ヴィヴィアーニのイタリアチャンピオンジャージは、はるか後方にチラチラと姿が見えるだけ。むしろ発射台の後輪から飛び出したのは欧州チャンピオンのマッテオ・トレンティンだ。しかし昨大会区間4勝の強者さえも、少々伸びが足りなかった。
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