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サイクル ロードレース コラム 2018年8月31日

ブエルタ・ア・エスパーニャ2018 第6ステージ レースレポート

サイクルロードレースレポート by 宮本 あさか
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シャンパンファイトで勝利を祝うナセル・ブアニ

シャンパンファイトで勝利を祝うナセル・ブアニ

その隙間から、ブアニが、するりと抜け出した。ダニー・ファンポッペルの進路を上手く塞ぎ、トレンティンに軽く接触を仕掛けつつ、さらにはヴィヴィアーニの追い上げも振り切ると……2014年にジロ区間3勝、ブエルタ区間2勝と大暴れして以来となる、実に4年ぶりのグランツール勝利をもぎ取った。

「最終盤のプロトンはひどくナーバスで、しかもスピードは極めて速かった。でもアシスト2人が、常に僕を好位置で守ってくれた。追い風だと分かっていたから、最終直線にはできる限り前で入らなきゃならなかったんだ。おかげでトレンティンの後輪に上手く入れた。それから残り200mで加速した。あとは追い風に押されて、最後までスピードを保てた」(ブアニ)

リベンジであり、解放でもあった。去年のヨークシャー一周でひどい落車を経験し、しばらく視力低下に悩まされた。今季はチームとの軋轢や、自らにまつわる悪評に苦しんできた。絶対的エースの座を奪われ、ツールへの出場を果たせず、すでに来季に向けて他チームとの交渉に入ったことさえ隠そうとはしなかった。

「チーム全体から支えてもらっている感覚を持てないと、スプリンターというのは、難しいものなんだ。だから今季はきつかった。時には侮辱された気持ちになった。でも今大会前にチームオーナーから電話をもらって、チームが全力で僕をサポートすると断言してくれた。だからチームのためにも、今日は勝つことが出来て本当に嬉しい」(ブアニ)

つまりは2015年に鳴り物入りで移籍したコフィディスに、なにより2014年ブエルタ以来グランツール勝利から遠ざかっていたコフィディスに、待望の歓喜をもたらした。

それにしても、この24時間だけでも、あまりにたくさんのことが起こりすぎた。第5ステージは熱中症に苦しみ、集団から滑り落ちると、ラスト75kmをたったひとりで走った。25分以上遅れてようやくフィニッシュにたどり着いたが、審判から30秒のペナルティを課された。理由は「他からの(反発を利用した)押し上げ」と「自転車選手として相応しくない行為」だった。

つまりはボトルの受渡し時間が長すぎた……というよくあるルール違反なのだが、なぜか一部のスペインメディアから「ブアニが監督と口論を起こし、チームカーを叩いた」と曲解報道をされた。「どうして僕を悪い奴に仕立てようとするんだろう???」というブアニ本人のツイートを皮切りに、監督陣やチームオーナーが次々と反論の声を上げ、コフィディスもチームとして公式な抗議文書を発表した。

「昨日あんなことがあった後だけに、今日は絶対に勝ちたかった。偽の情報を流されて、本当に腹が立ったんだ」(ブアニ)

ブアニ怒りの勝利が炸裂した1分44秒後、ケルデルマンとピノを含む集団がフィニッシュラインに雪崩込んだ。前者は総合6位・1分06秒差から17位・2分50秒差へと一気に陥落。ピノも1分24秒差から3分08秒差へと遅れを大幅に拡大し、マイヨ・ロホを守った「アシスト」モラールは複雑な表情を浮かべるしかなかった。

宮本あさか

宮本 あさか

みやもとあさか。パリ在住のスポーツライター・翻訳者。相撲、プロレス、サッカー、テニス、フィギュアスケート、アルペンスキーなど幼いときからのスポーツ好きが高じ、現在は自転車ロードレースの取材を中心に行っている。

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