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後方メイン集団では、マイヨ・ロホのローハン・デニス擁するBMCレーシングが、手堅いコントロールを続けていた。逃げには最大4分ほどのリードしか許さなかった。しかも2つ目の山を終えると、果たして世界選へ向けヒルクライマー化計画を推し進めるペーター・サガンのためだろうか、ボーラ・ハンスグローエも牽引作業に加わった。タイム差はじわじわと減っていく。
すると数日限りの山岳賞よりも、むしろステージ優勝が欲しいデヘントは、3つ目の山に入る前にあっさり逃げからイチ抜けした。逆にローランは、3つ目の山の先で、逃げ切りの最後の可能性に打って出た。まずは同じフランス人のアレクシ―・グジャールと協力し、最後には単独で、なんとかして追っ手を振り切ろうと力を尽くした。
しかし、無情にも、スカイ列車に止めを刺された。近年のグランツールで恐るべき統制力を発揮し続けてきた英国精鋭軍が、この日は、開幕タイムトライアルを6秒差の区間2位で終えたクヴィアトコウスキーのために高速テンポを刻んだ。フィニッシュまで19kmを残して、ローランは前方から引きずり降ろされた。
スカイに息の根を止められたのは、なにも逃げの7人だけではない。急激な加速に耐え切れず、サガンが力尽き、デニスは赤い衣のまま後退した。さらに「スタート直後から今日は素晴らしい1日にはならないだろうことを悟っていた」というリッチー・ポートもまた、脱落していった。最終的にこの3人は、区間勝者から13分31秒遅れでフィニッシュラインを越えた。わずか2日目にして、ポートの総合優勝の可能性は、完全に消え去った。
「がっかりしているかどうかと問われたら、答えはノーだ。このレースに総合を狙いに来たなんて、僕は決して言ってない。ただ1日1日を戦っていくだけ」(ポート、チーム公式リリースより)
残り10kmを切ると、ヴィンチェンツォ・ニバリも前線から姿を消した。ポートと同じく、ツールで落車リタイアし、胸椎を痛めた大チャンピオンは、8月上旬にトレーニングを再開したばかり。「史上6人目の3大ツール全覇者」の本来のポテンシャルを、いまだ取り戻せてはいなかった。4分04秒遅れで走り終え、チームのバーレーン・メリダ側からは、早くも総合争い終了宣言が出された。この先は山岳ステージ勝利を積極的に狙いに行くつもりだ。
ちなみにステージ前半で落車したイルヌール・ザカリンも、1日の終わりに1分近い遅れを喫した。ステージ後に精密検査を受けた結果、幸いにも骨折等は見つからなかったが、左手首と膝に痛みを抱えている。
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