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【ジロ・デ・イタリア:レビュー(第10~15ステージ)】サイモン・イェーツが圧巻のステージ3勝目!総合2位トム・デュムランの差は、2分11秒
サイクルロードレースレポート by 宮本 あさかしかし本音を言うなら「もっとタイムを稼ぎたかった」。なにしろ第16ステージには個人タイムトライアルが待ち受ける。同種目の現役世界チャンピオンから、タイムを大幅に損失することは間違いない。「デュムランに対して最低でも2分はリードが欲しい」とフィニッシュ後に語ったイェーツは、この後も決して守りには入らなかった。
たとえスプリンター向けステージだろうが、ジロではいつだって何かが起こる。第12ステージ終盤、激しい通り雨が集団を分断すると、とんでもないカオスがプロトンを覆い包んだ。特に区間2勝のエリア・ヴィヴィアーニが大きく脱落してしまったものだから、スプリンターチームの制御力が効かなくなった。イモラ・サーキットの小さな裏山ではめくるめくアタック合戦が勃発し、濡れた下りではハラハラするような高速チェイスが繰り広げられた。ただし最後に勝利を決めたのは、スプリンターのサム・ベネットだった。ぎりぎりまで逃げ続けた2選手を、ラスト350mからの強烈な加速一発で抜き去った。
第7ステージでそのベネットにライン間際で抜き去られ、今週に入ってから2度も失態を晒したヴィヴィアーニは、翌第13ステージでリベンジを成功させた。メディアやファンからの批判に3つ目の勝利で応えると共に、マリア・チクラミーノ争いのリードを改めて広げた。
クリス・フルームもまた苦しんできた。そもそも昨年末から薬物問題の渦中にある。自転車内外からはレース活動続行を連日のように批判されてきた。さらにはジロ開幕当日の落車以来、すっかり調子を落としていた。第14ステージの朝、総合の遅れはすでに3分20秒。ツール→ブエルタ→ジロのグランツール3大会連続総合優勝を狙うどころか、表彰台さえも危うい状況だ。しかしフルームもまた、大きな勝利で、自らの強さを再証明する。
ヨーロッパ屈指の難峠モンテ・ゾンコランの、山頂まで残り約4.5kmで、フルームはアタックに転じた。3度目の加速で全てを振り払い、独走へと持ち込んだ。それでも平均勾配10%を超える恐ろしき坂道では、劇的な差をつけることなど不可能だった。振り返ればすぐそこに敵が見える。そんな緊迫感みなぎる状態は延々と続いた。
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