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吉田正尚(レッドソックス)
メジャー3年目を迎えるレッドソックスの吉田正尚(31)はまさに逆境にいる。昨オフ、右肩の手術を受け、現状ではスローイングは約27m(塁間)のキャッチボールができるまでになっているが、開幕までに全力で投げることは、リハビリプランに組み込まれていない。
さらに三塁手のデバースが、新加入したブレグマンの影響でDHと一塁を務めることがチーム方針としてある。そうなれば、DHの吉田は出場機会が少なくなってしまう。米メディアの報道などによれば、開幕は負傷者リスト(IL)で迎える可能性が高そうだ。
それでもDHとして、オープン戦には例年通り出場を続けている。3月16日には敵地でのツインズ戦に「3番・DH」でスタメン出場し、3打数1安打。先発投手は、ツインズのエース右腕で昨季15勝10敗のロペスだった。
「ここ数日は自分の思い描いているスイング、そのスイングプレーン(スイングの軌道)、ストライクゾーンをしっかり把握して、練習の段階ではできている。ステップアップして、実戦が最終のところですけど、そこにしっかり、また課題が出たら(練習に)戻ってまた積み重ねていける。段階としては悪くない」.
右肩のリハビリを継続しながらも、外野手としてのゴロ捕球、フライ捕球の練習は他の外野手陣と行っている。打撃でも美しいスイングと力強さは健在だ。ツインズ戦の1回1死一塁では、95.6マイル(154キロ)のツーシームを捉え、センターやや右寄りのフェンスを直撃するヒット。
ホームランと確信して一塁止まりとなったが、上空の強風が影響してのもの。吉田は苦笑いで、トレーニングするジェスチャーを塁上で見せたが、相手のエースからの一打は、打撃の調整が順調に進んでいることを伺わせた。第3打席では、投手を強襲する内野安打を放った。
「リラックスして、やっぱりいかにインパクトに100(%の力)を持っていくかを考えていますね。無駄をなるべく省きながら、自然体でしっかり(スイング動作に)入れるように、ボールをしっかり自分の身体で呼び込むように、目だけで追うのではなく、しっかり身体で、自然体でボールに対して打ちにいけるように心がけているようにアプローチしています」。
左打席に入ると、構える前に両手の力を抜くように右打席側にバットを倒す。コンパクトな動きから、最大限に各関節の可動域を最大限に生かす。
吉田正尚は逆境を跳ね除ける
「無駄を省きながらっていうところですかね。マックスの可動域を100(%)出して、しっかりその中を、まあ初動を小さくしながら、そこにインパクトで100に持っていけるようにですかね」。
昨季の7月は打率.333で8月は同.326、強打者の指標であるOPS(長打率+出塁率)は2ケ月通じて.900に迫った。右肩が不調だった中でメジャーへの適応が進化し、何か感覚をつかみかけたのかもしれない。
吉田のメジャー3年目を取り巻く環境は、現状ではやや厳しいかもしれない。だが、卓越した打撃技術を発揮する場面は、必ずあるはずだ。
文/写真:山田結軌(MLBジャーナリスト)
山田 結軌
1983年3月生まれ、新潟県出身。立教大時代にJ SPORTSの野球班でプロ野球中継の現場でスコアブックを書くアルバイトを経験した。サンケイスポーツに2007年4月入社、阪神、広島、楽天などを担当し、2016年2月より大学時代から夢みたMLB取材を続けている。2025年2月に18年間務めたサンケイスポーツを退社しフリーに転身。
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@YamadaMLB
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