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【WBC観戦ガイド】AKI猪瀬が語る3つの着眼点。「1次ラウンドの注目カード」「大谷翔平の起用方法」「ラーズ・ヌートバー」
野球好きコラム by J SPORTS 編集部AKI猪瀬が語る、WBC3つの着眼点
まもなく開幕する「2023 WORLD BASEBALL CLASSIC」(以下WBC)。今回はMLB解説でおなじみのMLBアナリスト・AKI猪瀬さんにお話を伺い、3つの視点「1次ラウンド注目カード」「大谷翔平の起用方法」「ラーズ・ヌートバー」について語って頂いた。
WBC大会フォーマット
◆オランダvs.キューバは世界の野球事情を占う注目カード
―― WBCが開幕します。日本の活躍が期待されますが、ここでは日本戦以外で1次ラウンド注目のカードを3つあげていただけますか?
まず、WBC開幕戦となる「オランダvs.キューバ(3月8日水曜午後1:00)」戦です。MLB所属選手と混合チームを作ったキューバがどのぐらいのパフォーマンスを見せるのか。前回、前々回3位のオランダに勝てれば、キューバが日本と準々決勝で戦ってもおかしくない感じです。
初期のWBCを牽引してくれたキューバが、初めてハイブリッドなチームになって野球大国の復権を懸けた戦いです。うまく勝ち上がってくれれば、恐らく次のWBCでは、もっと本当のドリームチームを作ろうという動きが出てくる可能性もあります。
そのキューバが下降線になった中で、カリブ海のキュラソー島出身のMLB選手で台頭してきたのがオランダ。ただ、キュラソー出身のMLB選手が減ってきており、今がピークの状態。いいオランダを見られる最後の大会になる可能性があります。そういった意味で、オランダとキューバの開幕戦は今のWBCと、近未来のWBC、さらに世界の野球事情を占う意味では非常に面白いカードになると思います。
次に、生粋のWBCファンは「アメリカvs.メキシコ(3月13日月曜午前11:00)」戦は注目するでしょう。2006年の第1回大会で日本が初優勝できたのは、メキシコが下馬評を覆してアメリカに勝って、日本はルール上で救われて準決勝に出れたから。そのメキシコが奇跡の勝利をあげた試合のリマッチです。メキシコがMLB最強レフティの1人、フリオ・ウリアス(ドジャース/最多勝1回 最優秀防御率1回/2022年:17勝7敗 防御率2.16)を登板させたら、これは相当面白いでしょう。
MLBのスタープレーヤーが揃ったWBC
最後は「ドミニカ共和国vs.プエルトリコ(3月16日木曜午前8:00)」戦。プールDの最終戦で恐らく勝った方が1位、負けると2位になる対戦。2位になると準々決勝でアメリカと戦わなければならない可能性が高いので、このカードはすごく面白いですね。
アメリカでもWBCの人気は高く、プールDと準決勝・決勝が行われるマイアミは、MLBでもあまりチケットが売れないエリアですが、即日完売になっています。マイアミは中南米の首都と言われる位置で、そこが死の組と呼ばれているプールDのドミニカ共和国、プエルトリコ、ベネズエラの会場になるので、その熱はすごいと思います。
◆大谷翔平の起用方法も注目
―― WBCでは「大谷翔平vs.マイク・トラウト」エンジェルスのチームメート対決も楽しみです。
アメリカでもものすごく期待値は高いです。本人たちもそれを望んでいるので、ぜひ実現してほしいと思います。そう考えていくと、大谷がいつ投げるのかによりますね。対決が実現するのは準決勝以降しかないので、そこにローテーションがハマって大谷が投げられるかどうか。
初戦の中国戦で大谷が投げれば2試合に先発でき、目一杯使えることになりますが、果たして大谷が中国戦に投げる必要があるのか。また、東京ラウンドで投げさせる必要があるのか、という気がします。東京ではDHだけで、準決勝でリアル二刀流の大谷、決勝でダルビッシュ有。そうするとダルビッシュは東京ラウンドのどこかで先発できるので、そこは韓国戦なのかなと思います。
◆ラーズ・ヌートバーはデータ処理能力がすごく高い。
―― 日本選手ではラーズ・ヌートバーが注目されていると思いますが、AKIさんから見ていかがでしょうか?
ヌートバー(カージナルス/2022年成績:打率.228 14本塁打 40打点 4盗塁)のような日系選手が日本代表に入ってきたことは諸手を挙げて大歓迎です。過去の大会でも日系で代表の資格を持っているMLB選手はたくさんいたのですが、スカウティングすることなく終わっていたので、よくぞ栗山監督やってくれたという感じです。
ヌートバーはタイプからいって6番や7番といった、クリーンナップが残したランナーを返す打順ではなく、1番センターで使うのがいいと思います。選球眼がいいので(2022年:51四球 出塁率.344)、ヌートバーに出てもらって、2番の大谷に本塁打を打たれたくないので、変化球が増えてその間に盗塁をする。これを繰り返すのが日本にとってもヌートバーにとってもベストだと思います。
カージナルスでヌートバーが非常に評価されているのは、データ処理能力がすごく高くて、頭がいいこと。相手ピッチャーのスカウティングレポートを全部読み込んで、それを具現化できるタイプなんです。ヌートバーの一番のストロングポイントは、昨シーズンの大谷もそうでしたが、初球からどんどん強振できること。データが入っているので、初球からフルスイングできるのです。
これはデータをちゃんと処理できているからで、カージナルスのスカウティングチームがデータを用意して、それを消化してのパフォーマンスなので、日本がそういったデータを用意できるかが大きな鍵だと思います。
そういうことを含めて、過大な期待をかけることがプレッシャーになってしまうと思うので、何をやったかとか、何ができなかったかではなく、彼がいることだけでそれが歴史。それだけで十分なぐらいです。いい選手なのは間違いないので、伸び伸びとやらせてあげてほしいです。
J SPORTS 編集部
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