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野球 コラム 2022年10月27日

ポストシーズン無敗のアストロズか、最下位シードから下剋上のフィリーズか。ワールドシリーズのみどころ

MLBコラム by J SPORTS 編集部
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アストロズ vs. フィリーズ

2022年ワールドシリーズ(WS)は、ポストシーズン全勝でアメリカンリーグを制した同リーグ最上位シードのヒューストン・アストロズと、ナショナルリーグ最下位シードながら、相次ぐ下剋上でリーグチャンピオンとなったフィラデルフィア・フィリーズが相見えることとなった。

前述の通り、アストロズはマリナーズと対戦したディビジョンシリーズ(LDS)からヤンキースを下したチャンピオンシップシリーズ(LCS)にかけて、このポストシーズンは全勝でワールドシリーズに辿り着いた。対するフィリーズも勢いでは負けておらず、LCSでパドレスを4勝1敗で撃破するなど、破竹の進撃が続いたこのポストシーズン、本拠地で負けなしのままワールドシリーズ進出を果たした。

仮にLCSが第7戦までもつれていた場合、フィリーズは中2日、アストロズは中1日でワールドシリーズ初戦を迎えていたわけだが、両チームとも現地23日に早々とWS進出を決めており、同シリーズ初戦を揃って中4日と、日程的に余裕を持って迎えられることになった。

これは、両軍が先発ローテーション、ブルペンともに万全の状態でWSを戦えることを意味する。もちろん、両陣営にとって、これが歓迎すべきことなのは言うまでもないが、質の高いゲームが期待できるという意味では、ファンにとっても、この上ない状況でシリーズ開幕を迎えられることになったのである。

ちなみに、LDSとLCSを連続でスウィープしてWSへ駒を進めたのは、今回のアストロズが史上3例目となるが、2007年のロッキーズ、そして2014年のロイヤルズと、これを達成したチームはこれまでことごとくWSで敗れている。

今回のアストロズはそんなジンクスを打破するべく世界一決定戦に臨むわけだが、サイン盗みでケチのついた2017年のWS制覇以降、アストロズは2度目の世界一に臨んだ2019年と2021年はWSでナショナルリーグ覇者に敗れており、「2度ある事は3度ある」的な歴史観で考えると、やや分が悪いと言える。

また、アストロズはWSにおける本拠地での通算成績を3勝9敗としており、直近7試合だけを見ると1勝6敗としているが、このポストシーズンにおけるフィリーズの本拠地での圧倒的な勝負強さを鑑みると、ヒューストンでのパフォーマンスはこれまでと逆転させる必要があると言えそうだ。

一方、フィリーズにとってWS進出は2009年以来のことであり、経験値という観点からすると、このところWSの常連となっているアストロズに大きく差をつけられているという事実は否めない。特にアストロズにはWS制覇を経験しているジャスティン・バーランダー、ホセ・アルトゥーベ、アレックス・ブレグマン、そしてユリ・グリエルが今も中心選手としてプレーしているという大きなアドバンテージがある。

それだけフィリーズとしては、ポストシーズンで打率.419、5本塁打、6二塁打、11打点、1.351 OPSと、無双状態になっているブライス・ハーパーがその調子を維持できるかどうかがシリーズの流れに大きな影響を与えることになるだろう。また、WS経験値という意味では、フィリーズにとって、今季ナ・リーグ本塁打王で2016年にカブスで世界一を経験しているカイル・シュワーバーがLCSで打率.400、3本塁打と本来のパフォーマンスを取り戻したのは、何よりの朗報と言える。

先に挙げた「2度ある事は3度ある」的な文脈を度外視すると、今回のWSを迎えるにあたり、全体的な戦力と実績で上回るアストロズが優位に立っているのは動かし難い事実である。実際、『MLB.com』はポジション別に戦力を分析した記事で、捕手、一塁手、そして指名打者以外は、先発ローテーションとブルペンを含め、全てアストロズに軍配を上げており、シリーズの勝敗も4勝2敗でアストロズの優勝を予想している。

フィリーズがこの下馬評を覆すには、日程に余裕が出たことで、場合によっては複数のゲームで先発登板できることになったザック・ウィーラーとアーロン・ノラの2大エースが先発にマウンドに上がる試合で、どれだけ勝ち星を挙げることができるかが大きな鍵を握ることになりそうだ。

J SPORTS編集部

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