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バドミントンの世界選手権が、19日にスイスのバーゼルで開幕する。日本は、前回大会で金メダル2個を含む過去最高6個のメダルを獲得。男子シングルスの桃田賢斗(NTT東日本)や女子ダブルスの松本麻佑、永原和可那(北都銀行)は、前回覇者として日本勢初となる連覇を狙う。8日に都内で行われた壮行会イベントで、日本代表の朴柱奉ヘッドコーチは「五輪レースの大事な世界選手権。昨年以上の成績を出せるように、全員で頑張る」と2大会連続のメダル量産にかける意気込みを語った。
今大会は、単に2019年の世界一決定戦というだけでなく、2020年東京五輪の出場権争い(俗に五輪レースと呼ばれる)においても大きな意味合いを持つ。五輪の出場選手は、来年4月末の世界ランキング(1年間の成績上位10大会分のポイントの合計を競う順位)で決まる。世界選手権は、五輪レースの中で最高のポイントが設定されており、上位成績者は、五輪出場権獲得に大きく近付く。優勝なら1万3000点。準優勝なら、2ランク下にあたるダイハツヨネックスジャパンオープンを含むBWF(国際バドミントン連盟)ワールドツアースーパー750の優勝と同じ1万1000点。ベスト4でも、その下のスーパー500の優勝と同じ9200点を獲得できる。
また、各種目の優勝選手は、1年間の総合成績上位8人、8組しか出場できないBWF(国際バドミントン連盟)ワールドツアーファイナルズの優先出場権を得ることができる点も注目だ。ファイナルズは、世界選手権に次ぐスーパー1000と同等で高いポイントが設定されている上、最低でもベスト8が保証される。また、同国から最大で1種目2人、2組しか出場できないため、出場しない選手に差をつける機会となる。
今大会の日本勢は、男子シングルスで桃田が優勝候補。女子シングルスも山口茜(再春館製薬所)、奥原希望(太陽ホールディングス)は、ともに金メダルを狙える。男子ダブルスは、4組ともインドネシア2強のいないブロックで勝ち上がりを狙う。女子ダブルスは、出場4組すべてがメダル候補。混合ダブルスも渡辺勇大/東野有紗(日本ユニシス)は、メダル獲得の期待がかかる。
世界一決定戦という視点だけでなく、五輪レースとしても要注目。誰が東京五輪の金メダル候補として名を挙げるのか。以下、種目毎に見どころを簡潔に紹介する。
<男子シングルス>
前回準優勝の石宇奇(シー・ユーチ=中国)や一昨年の王者ビクター・アクセルセン(デンマーク)が負傷により欠場。桃田賢斗(NTT東日本)の連覇達成への期待は高い。ヤマ場は、準決勝か。好敵手のアンソニー・シニスカ・ギンティン(インドネシア)との対戦になれば、激闘必至だ。日本勢では、西本拳太、常山幹太(ともにトナミ運輸)が桃田に次ぐ2番手での五輪出場権争いを展開しており、両者の成績も注目される。西本は、準々決勝で桃田と対戦する可能性がある。
<女子シングルス>
前回女王のキャロリーナ・マリン(スペイン)が負傷離脱中のため、混戦模様。3大会連続優勝がかかる世界ランク1位の山口茜(再春館製薬所)と、一昨年の覇者で2度目の戴冠を狙う奥原希望(太陽ホールディングス)は、優勝候補。準決勝で対戦する可能性がある。前回準優勝のシンドゥ・V.プサルラ(インド)、世界ランク2位の戴資穎(タイ・ツーイン=台湾)、同3位の陳雨菲(チェン・ユーフェイ=中国)といったライバルと覇権を競う。
<男子ダブルス>
優勝候補の筆頭は、世界ランク1位のマーカス・フェルナンディ・ギデオン/ケビン・サンジャヤ・スカムルジョ。ライバルは、彼らの先輩である元世界王者モハメド・アッサン、ヘンドラ・セティアワン。インドネシアの2強は、準決勝で対戦の可能性がある。日本勢は、前回2位の園田啓悟/嘉村健士(トナミ運輸)や世界ランク5位の遠藤大由/渡辺勇大(日本ユニシス)らが、前回王者の李俊慧/劉雨辰(リー・ジュンホゥイ/リュウ・ユチェン=中国)を含むブロックから決勝進出を目指す。
<女子ダブルス>
世界ランク1~3位を独占する日本勢の順位争いが注目される。連覇を狙う世界ランク1位の松本/永原は、世界ランク8位からの追い上げを狙う米元小春/田中志穂(北都銀行)と同じブロック。世界ランク2位の福島由紀/廣田彩花(アメリカンベイプ)は、2大会連続の準優勝で、3度目の正直となる初優勝を狙う。同3位でリオデジャネイロ五輪金メダルの高橋礼華/松友美佐紀(日本ユニシス)も含め、日本勢の勝ち上がりが気にかかる。ポイントが大きいだけに、早期敗退の場合はダメージが大きい。海外勢では中国、インドネシア、勢いのある韓国がライバル候補となる。
<混合ダブルス>
日本勢の注目は、世界ランク3位の渡辺勇大/東野有紗(日本ユニシス)。7月のインドネシアオープンは東野の負傷により途中で棄権したが、同月末のタイオープンでは準優勝で復調してきた印象だ。この種目は、鄭思維/黄雅瓊(ジェン・シーウェイ/ファン・ヤチョン=中国)、王懿律/黄東萍(ワン・イルユ/ファン・ドンピン=中国)が圧倒的に強いが、大舞台で中国の2強を崩せれば、東京五輪に大きな弾みがつくだけに躍進が期待される。
平野 貴也
1979年生まれ。東京都出身。
スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集・記者を経て、2009年に独立。サッカーをメーンに各競技を取材している。取材現場でよく雨が降ることは内緒。
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