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スキー コラム 2022年2月8日

北京五輪 アルペン競技の見どころ 日本の3選手の健闘に期待

SKI GRAPHIC present’sアルペンスキーコラム by SKI GRAPHIC
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華やかに行なわれた開会式。2月19日まで2週間の熱い日々が始まった

冬季五輪としては第24回大会となる北京五輪が開幕。史上初めて夏と冬の五輪開催地となる北京では、オープニングセレモニーが行なわれ、いよいよ17日間の祭典が幕を開けた。
アルペン競技は、2月6日の男子ダウンヒルを皮切りに11競技が行なわれる。
日程は以下の表の通り。今後2週間はアルペンファンにとってたまらない2週間になりそうだ。ただ、従来の五輪・世界選手権とはまったく異なるスケジュールが組まれているので、テレビ観戦には注意が必要だろう。

競技 開催日程
男子ダウンヒル 2月7日
女子ジャイアント・スラローム 2月7日
男子スーパーG 2月8日
女子スラローム 2月9日
男子アルペン・コンバインド 2月10日
女子スーパーG 2月11日
男子ジャイアント・スラローム 2月13日
女子ダウンヒル 2月15日
男子スラローム 2月16日
女子アルペン・コンバインド 2月17日
チーム・パラレル 2月19日

見どころはたくさんあるが、まずは日本選手について。代表に選ばれたのは、男子が小山陽平(ベネフィット・ワンSC)、女子は安藤麻(日清医療食品)と向川桜子(富士フィルムBI秋田)の計3人だ。前回大会までと比べて、アルペン競技全体の出場選手総数が削減されたことで、日本への割当も3人となった。加藤聖五(野沢温泉SC)と相原史郎(東海大学)もSAJが定めた選考推薦基準をクリアしていたのだが、残念ながら代表メンバーに加わることはできなかった。
日本選手が出場する最初の種目は女子GS。安藤と向川の出場が予定されているが、シーズン序盤に痛めた腰の状態がまだ万全ではない安藤はGS出場を回避する可能性もありそうだ。その場合は得意種目のスラロームに100%の力をぶつけ、昨年の世界選手権での10位以上の成績をめざすことになる。今季のワールドカップではまだ本来の滑りを見せていないが、ここ一発での勝負強さにかけたいところだ。五輪は前回の平昌五輪に続く2度目となるだけに、メンタル面での準備には不安はないはず。あとは当日のコンディション次第だろう。結果はともかく、エースにふさわしい滑りを期待したい。

腰の回復具合が気がかりな安藤麻だが、万全ならば一桁台の順位が狙えるはず

向川にとっては、これが初の五輪出場、おそらくGSとスラロームの2種目にエントリーするだろう。今季はナショナルチームから外れ、国内強化指定選手としてのスタート。そのなかで、少ないチャンスを確実に生かし、ワールドカップのスラローム第3戦で27位となり、初のワールドカップポイントを獲得すると同時に北京行きのチケットをつかみ取った。年明け早々にコロナの陽性反応が出る不運のため、しばらくレースから遠ざかっており、この五輪が久々の実戦となる。スタート順を考えても、上位争いに加わるのは難しそうだが、人一倍強い五輪への思いのすべてをぶつけて活路を切り開いてほしい。

五輪初出場の小山陽平。世界選手権2回出場の経験を生かし、思い切り勝負してほしい

小山は2月16日のスラロームが出番となる。ワールドカップ第3戦、マドンナ・ディ・カンピリオのナイトスラロームで8位に入賞し、選考推薦基準を一発クリア。見事初の五輪出場を決めた。急斜面の難コースを果敢に攻め、2本目2位のタイムを記録した滑りは素晴らしいの一言。充分世界のトップを争うレベルに近づいているといってよいだろう。ただ、第5戦以降は勢いに乗れず、ウェンゲン、キッツビュール、シュラドミングと3レース連続で2本目に残れなかったのが気がかり。北京入りの前はいったん帰国し、コンディションを再調整して本番に臨む。心身ともにリフレッシュしてスタート台に立つことができれば、自ずと結果はついてくるだろう。

メダル争いを展望してみると、男子ではやはりマルコ・オーダーマット(スイス)が注目度ナンバー1。ダウンヒル、スーパーG、ジャイアント・スラローム、そしてアルペン・コンバインドに出場が予想されるが、順当ならば複数のメダル獲得の可能性が高い。あとはそのメダルが何色かに注目が集まるだろう。

今季絶好調のマルコ・オーダーマットには複数のメダル獲得の期待がかかる。果たして何個、何色のメダルを持ち帰るのだろうか

高速系種目では、アレクサンダー・オーモット・キルデ(ノルウェー)が中心となるはず。ベテラン、ベアト・フォイツ(スイス)、マティアス・マイヤー(オーストリア)、ドミニク・パリス(イタリア)らとのメダル争いは熾烈なものになりそうだ。
※2月7日(月)に開催された男子ダウンヒル でベアト・フォイツが金メダルを獲得。アレクサンダー・オーモット・キルデは5位に終わった。

35歳でついにワールドカップ初優勝を遂げたデイヴ・ライディング。その勢いで五輪のメダル獲得を狙う

そしてもっとも予想しにくいのが男子スラローム。今季のワールドカップ6戦、すべて異なる選手が優勝しているからだ。しかもその顔ぶれも、21歳のルーカス・ブローテン(ノルウェー)から、35歳のデイヴ・ライディング(イギリス)まで年齢もさまざま。誰が勝ってもおかしくないし、誰が勝っても初優勝という、極めてオープンなレースとなる。日本のファンとしては、そんな混沌としたメダル争いに小山にもぜひ加わってほしい、というのが願いだろう。

今季の目標を五輪金メダルに絞りながらも、ワールドカップ総合で2位につけているペトラ・ヴルホヴァ。シフリンとの対決が楽しみだ

女子は、ミカエラ・シフリン(アメリカ)とペトラ・ヴルホヴァ(スロヴァキア)の対決に注目したい。昨シーズン、ワールドカップ総合優勝のタイトルを獲得したヴルホヴァは、今季の最大の目標を総合タイトルの防衛ではなく、北京五輪での金メダル獲得に設定。五輪に向けて、すべての準備を整えてきた。一方のシフリンは、ワールドカップ総合優勝の3年ぶりタイトル奪還を目指しつつ、五輪連覇(GS)と2大会ぶりの優勝返り咲き(スラローム)を狙っている。技術系種目では、ふたりの女王たちの意地をかけた激突が見られることだろう。

五輪直前に膝を負傷したソフィア・ゴッジャ。これまでも多くの重傷を乗り越えてきた彼女はどんな滑りを見せるのだろうか

この他にはGSで急上昇中のサラ・ヘクター(スウェーデン)、ダウンヒル・スーパーGで圧倒的な力を持つソフィア・ゴッジャ(イタリア)にも注目してほしい。とくにゴッジャは1月23日にコルティナ・ダンペッツォのスーパーGで膝を負傷したが、五輪での復活を目標に急ピッチで回復をはかっている。
※2月7日(月)に開催された女子GS でシフリンは1本目で途中棄権。サラ・ヘクトルが金メダルを獲得した。

2月15日に行なわれるダウンヒルで、どのようなパフォーマンスを見せるのか、とても興味深い。

文:田草川 嘉雄

SKI GRAPHIC

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