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スキー コラム 2021年1月20日

リーダー不在のスラローム戦線 ますます混沌とした展開に!

SKI GRAPHIC present’sアルペンスキーコラム by SKI GRAPHIC
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フラッハウのスラロームでワールドカップ初優勝を飾ったセバスチャン・フォスソルバーグ(ノルウェー)

今回は、アルペンレース・ジャーナリストの田草川嘉雄さんに代わり、J SPORTSでも解説を務める私、吉岡大輔が1月前半のレースを振り返ります。

1月に入り連戦・激戦が繰り広げられているアルペンスキー・ワールドカップ。とくに技術系種目の男子スラロームについては1月中に4カ国(クロアチア、スイス、オーストリア、フランス)で7戦が展開されるハードスケジュールとなっています。
移動も含め過密スケジュールのなか、選手たちは常にフルアタックできるコンディションを維持し続けなければなりません。というのも、スラロームのタイトル争いはこの1月の結果が大きく影響してしまうからです。

2021に年が変わり最初のレースとなったザグレブ(クロアチア)では、気温が上がってザラメ雪に近い状態でのレースとなり、1本目が終わった段階では誰が勝つのか全く予想できないレースとなりました。2戦目で優勝したものの、この種目のディフェンディングチャンピオンであるヘンリック・クリストッファーセン(ノルウェー)の調子が今ひとつ上がらないため、圧倒的なリーダーが不在の状態なのです。
まず、このレースで1本目のトップに立ったのは、2戦を終えてまだ勝ち星のないクレモン・ノエル(フランス)。2番手にはセバスチャン・フォスソルバーグ(ノルウェー)。そして今シーズンは第1シード外からのスタートで初戦から好調を維持しているマヌエル・フェラー(オーストリア)と続きました。気温が高いことでコース状況が変わりやすい(荒れる)レースのなか、スタートナンバー30番以降の10選手が2本目にコマを進める展開は予想外でした。
2本目、まずスーパーランを決めたのがミハエル・マット(オーストリア)。2本目のトップタイムで1本目26位から大きくジャンプアップして4位と表彰台まであと一歩のところまで順位を上げることに成功。そのマットをようやく上回ったのが1本目8位だったリヌス・ストラッサー(ドイツ)でした。上位常連の選手ではあるもののスラロームでの優勝経験はない選手。荒れたコースを攻めきり、細かなミスも最小限に抑えた滑りで残り7人を残してトップに立ちました。
ザグレブのコースは緩斜面が長く、1つのミスが大きく順位に影響してしまいます。また、ほとんどの選手たちが自分の力を出しやすいコース設定がゆえに、僅差のレースとなることがほとんどのコースで、これからスタートする1本目上位の選手たちはノーミスが絶対条件となります。しかし、この後ゴールまでノーミスで滑りきる選手は現れず、リヌス・ストラッサーのスラローム初優勝となりました。

ザグレブのナイトレース、スラローム初優勝のリヌス・ストラッサー(ドイツ)

さて、このレースでも44番から1本目15位に飛び込んできたアトレ・リー・マッグラス(ノルウェー)は、2本目もミスをするまでは非常に良い滑りをしており、アルタバディア(イタリア)のGSで2位表彰台と結果を残してからは本人のペースでレースを支配しているようにも見ていました。今後も期待! と思っていた矢先……、GSの5戦目アーデルボーデン(スイス)で転倒。本人は手を振り無事をアピールしていたもののGS6戦目は欠場。そしてマグラスと同世代、今季GS初戦でワールドカップ初優勝を挙げているルーカス・ブローテン(ノルウェー)もゴール直後に転倒。転倒の様子を見る限り、簡単に復帰できるような怪我ではなさそう。今季、大注目の2人が同時に姿を消してしまう残念な結果となってしまいました。まだ、若い2人には早期回復を願うとともに、復帰後にはまた大いにワールドカップを盛り上げてもらいたいです。

アーデルボーデンのGSでゴール直後に転倒したルーカス・ブローテン(ノルウェー)

また、アーデルボーデンではもうひとり。トミー・フォード(アメリカ)がゴール直前にクラッシュ。ドクターヘリが会場を舞う物々しい雰囲気となりました。アーデルボーデンで怪我をしてしまったのはいずれも好調な選手だったため残念でなりません。

そんなアーデルボーデン(スイス)を圧倒的な強さでアレクシー・パントュロー(フランス)が2連勝。ワールドカップポイントを200上乗せし、アレクサンダー・オーモット・キルデ(ノルウェー)を抜き現時点での総合トップに立ちました。

ワールドカップ総合でトップを走るアレクシー・パントュロー(フランス)

今後のレースでは日本人が得意? としているキッツビューエル(オーストリア)やシュラドミング(オーストリア)へとレースが続いていきます。SNOW JAPANの加藤聖五、小山陽平の活躍にも注目していきたいと思います!

SNOW JAPANの小山陽平。まだ2本目進出はないが1戦ごとに確実に調子を上げている

文・吉岡 大輔(2006年トリノオリンピック・アルペンスキー日本代表)

セバスチャン・フォスソルバーグ(ノルウェー)フラッハウ大会(1/17)優勝| アルペンスキー FIS ワールドカップ 20/21 男子スラローム

SKI GRAPHIC

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