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スキー コラム 2021年1月6日

スラローム7レースがポイントか?怒涛の連戦に突入する1月のワールドカップ

SKI GRAPHIC present’sアルペンスキーコラム by SKI GRAPHIC
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12月末の段階で総合トップに立った昨シーズンのチャンピオン、アレクサンダー・オーモット・キルデ

気がつけば、ワールドカップは早くも中盤戦に差しかかった。男子は12月にフランス、イタリアを転戦し、悪天候に悩まされながらも予定された11レースを消化。本命と見られていた選手が予想外にもたつく一方、思いもよらなかった伏兵がワールドカップ初優勝を記録したりと、各種目ともに混戦模様だ。当然ワールドカップ総合でも僅差の上位争いが展開されている。

年末の段階で総合トップに立っていたのは、昨シーズンのチャンピオン、アレクサンダー・オーモット・キルデ(ノルウェー)。ヴァル・ディゼール(フランス)の高速系オープニングゲームでスーパーG12位、ダウンヒル4位と出遅れたが、続くヴァル・ガルディナ(イタリア)ではようやくエンジンがかかり、両種目ともに優勝。さらに年末のボルミオ(イタリア)でもスーパーG4位、ダウンヒル6位と手堅くまとめ、総合首位の座を奪った。

序盤戦では技術系を中心にポイントを積み重ね首位を走っていたアレクシー・パントュロー(フランス)は、キルデの猛追にリーダーの座を明け渡したものの、その差はわずか3点しかない。表彰台に立ったのは優勝したレッヒ(オーストリア)でのパラレルGSのみだが、出場したレースではすべて上位をキープし、スーパーGでも1桁入賞を重ねている。このふたりの安定感は群を抜いており、今後もレースごとに首位が入れ替わる接戦を繰り広げることだろう。

キルデを僅差で追いかけるアレクシー・パントュロー。相変わらずの安定感だが、表彰台に立ったのはパラレルGSの優勝のみだ

さて、年が明けて2021年、ワールドカップはここから怒涛の過密スケジュールに突入する。1月6日にザグレブ(クロアチア)で行なわれるスラローム第2戦を皮切りに、1月末のシャモニーまで25日間に13レース。加えてダウンヒルには実戦同様の公式トレーニングがあるわけだから、この間は移動日を除いてほぼ毎日、どこかで何かのイベントが行なわれていることになる。かつては、ボーディ・ミラー(アメリカ)やティナ・マゼ(スロベニア)のように全種目全レースに出るオールラウンダーがいたが、現在のワールドカップには、そういうタイプの選手は存在しない。それでもキルデやパントュロー、マルコ・オーダーマット(スイス)ら、技術系と高速系の種目をまたいで活躍する選手は少なくないので、1月のワールドカップがタフな戦いであることは間違いないだろう。

1月の13レース、種目ごとの内訳はダウンヒルが3レース,スーパーG1レース、GS2レース。これに対して、スラロームはなんと7レースも行なわれる。技術系レーサーにとってはまさに正念場だ。とくに、6日にザグレブでナイトスラロームを戦った後、8日からはアデルボーデン(スイス)でGS、GS、スラロームと3連戦がある。移動日は中1日しかなく、しかもザグレブとアーデルボーデンは約1000キロも離れている。おそらく選手はチャーター機での移動となるだろうが、それでもナイトレースの翌日の移動はきついはず。そしてさらに大変なのは、車で走らなければならないチームスタッフ。どんなにぶっ飛ばしたとしても10時間以上のドライブなるので、その労力は並大抵ではない。新型コロナの不安があるなかでの過密スケジュール。くれぐれも大きなトラブルのないことを祈るばかりだ。

J SPORTSでは、そのほとんどをライブ中継する予定。どれも見逃せないレースだが、ここではスラロームの展望について簡単にふれておこう。

男子のスラロームはここまで2レースが行なわれ、表彰台の顔ぶれは以下の通り。

第1戦 アルタ・バディア(イタリア)12月21日
優勝:ラモン・ツェンホイゼン(スイス)
2位:マニュエル・フェラー(オーストリア)
3位:マルコ・シュヴァルツ(オーストリア)

第2戦 マドンナ・ディ・カンピリオ(イタリア)12月23日
優勝:ヘンリック・クリストッファーセン(ノルウェー)
2位:セバスチャン-フォス・ソールヴォーグ(ノルウェー)
3位:アレックス・ヴィナッツァー(イタリア)

と見事に入れ替わっている。ほとんどのレースをマルセル・ヒルシャー(オーストリア)が制し、クリストッファーセン、そしてフェリックス・ノイロイター(ドイツ)らが残りの2席を分け合うことが多かった時代とは、すっかり様相が異なる群雄割拠の戦国時代だ。

スーパースター不在ではあるが、その分予想の難しいスリリングなレースが見られ、それはそれで面白い展開といえるだろう。現時点での種目別ランキングは、

シーズン序盤は不本意なレースが続いたヘンリック・クリストッファーセンは、スラローム第2戦で優勝。これを切っ掛けに波に乗れるだろうか

1位:ヘンリック・クリストッファーセン(ノルウェー)140点
2位:マニュエル・フェラー(オーストリア)130点
3位:ラモン・ツェンホイゼン(スイス)120点
4位:アレックス・ヴィナッツァー(イタリア)110点
5位:セバスチャン-フォス・ソールヴォーグ(ノルウェー)109点
6位:マルコ・シュヴァルツ(オーストリア)89点
7位:アレクシー・パントュロー(フランス)64点
8位:リヌス・シュトラッサー(ドイツ)53点
9位:クリストッファー・ヤコブセン(スウェーデン)48点
10位:ジャン・バティスタ・グランジ(フランス)47点

というトップ10だ。昨シーズン大活躍し、今季もタイトル争いの有力候補と見られていたクレモン・ノエル(フランス)とダニエル・ユール(スイス)は、ともに45点で11位タイと、やや出遅れている。1月の7レースで、ふたりがどんな巻き返しを見せるか注目したい。

昨シーズンのスラロームで3勝をあげたダニエル・ユールだが、今季は第1戦7位、第2戦22位と出遅れた。クレモン・ノエルと同様、今後の巻き返しなるかに注目

7レースは、ザグレブの他にアーデルボーデン、ウェンゲン、キッツビュール、シュラドミング、そしてシャモニーで行なわれ、シャモニーではスラローム2連戦だ。それぞれがタイプの異なるコースなので、トータルすればどの選手にとっても公平な条件といえる。中盤に長い中・緩斜面が続くザグレブ、斜面変化が多くしかも超絶急斜面がポイントのウェンゲンとアーデルボーデン、癖のある斜面変化への対応が難しいキッツビュールとシャモニー。そして長い急斜面が特徴のシュラドミング。いずれもワールドカップにふさわしいテクニカルなコースだ。これに、凍ったり湿ったりという微妙な雪質の変化にも対応しなければならず、攻略の難度はさらに上がるわけである。2月以降の男子スラロームは2月のクラニスカ・ゴーラ(スロベニア)と最終戦レンツェルハイデ(スイス)のみ。したがって1月に調子の上がらない選手は、容赦なくふるい落とされるはずで、その意味でも重要な7レースなのである。

ザグレブのスラロームからようやくワールドカップに戻る小山陽平。出遅れは痛いが、ここは焦らず徐々に調子を取り戻してほしい

日本からは小山陽平(日本体育大学)が出場する予定だ。シーズン序盤、新型コロナの影響で練習を休まざるを得ず、なかなか調子の上がらなかった小山。大きな期待を背負って臨んだ今季だけに、不運なスタートとなってしまった。現状では、まだまだ万全な状態とは言えないようだが、ここは焦らず7レース全体をひとつのサイクルと考えてマネージメントすることが大切だろう。荒れたコースを攻めに攻めて22位となった、昨シーズンのヴァル・ディゼール1本目のような滑りを取り戻すことを信じて、応援したいと思う。

文・田草川 嘉雄

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