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スキー コラム 2020年12月22日

変則スケジュールとコロナ禍に翻弄されるワールドカップ 男子スラロームもようやく開幕

SKI GRAPHIC present’sアルペンスキーコラム by SKI GRAPHIC
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GS開幕戦で優勝し、一気に波に乗るかと思われたルーカス・ブローテンだが、その後はやや足踏み状態。SLでどのような滑りを見せるかに注目が集める。

12月に入ってアルペンスキーのワールドカップは本格的にスタート。毎年、冬のはじめは天候が安定せず、スケジュールの変更もしばしばなのだが、今年も例外ではなく、いくつかのレースで会場が変更されたり、日程が延期されたりした。今年はこれに昨シーズン来のコロナ禍が加わり、大会の運営にはかなりの混乱をきたしているようだ。ワールドカップ参加には事前にPCR検査受けることが必須で、仮に陽性と判定されたら当然ながら出場はできない。複数のチームで感染者が出ており、現場の緊張感は想像以上のようだ。一部で報道されたように、日本チームでも選手を含む5人が感染。ほぼ無症状ながら2週間の隔離を余儀なくされた。その間はトレーニングも制限されるので、コンディショニングへの影響は避けられないだろう。

さて、そんななかでもレースは進む。今週から年末にかけてはイタリアシリーズだ。まずヴァル・ガルディナでスーパーG、ダウンヒルを行なった後、アルタ・バディアでGSとスラローム、マドンナ・ディ・カンピリオでスラロームと進み、年末にはボルミオでのダウンヒルと続く。シーズン前半の大きな山となる連戦だ。
コロナ禍による変則スケジュールが組まれた今シーズン、セルデンでの開幕戦は例年よりも2週間も早く行なわれたが、男子のスラロームは12月21日のアルタ・バディアが初戦。なかなか出番の回ってこなかったスラローマーたちにとっても、ようやく2020/21シーズンが幕を開けるわけだ。昨シーズンの男子スラロームの種目別順位は、ヘンリック・クリストッファーセン(ノルウェー)、クレモン・ノエル(フランス)、ダニエル・ユール(スイス)がトップ3。9レース行なわれたうち、この3人以外が優勝したのは、ヴァル・ディゼールの第2戦で勝ったアレクシー・パントュロー(フランス)のみ。おそらく、その勢力図は今シーズンも続くだろう。ただし、ディフェンディング・チャンピオンのクリストッファーセンの調子が今ひとつ上がっていないのは気になるところ。ここまでGS3戦を戦い5位、12位、22位とさっぱり振るわない。映像で見る限り、自分の滑りを見失っている印象。実は激情家のクリストッファーセン、自分に腹を立てて感情をコントロールできないと、GSでの不振がスラロームンにも影響しかねない。実力的には何の問題もないだけに、メンタル面も含めてスラロームの開幕に向けてどのような調整を積んできたのかが鍵となるだろう。

GSとSLのディフェンディング王者・クリストッファーセン。今季はまだ調子が上がらず、表彰台はパラレルGSでの2位のみ。中盤以降の立て直しに期待。

昨シーズン、スラロームで3勝をあげたクレモン・ノエルは、にいがた湯沢苗場大会でワールドカップのGSに初出場。今季もサンタ・カテリーナのGS2連戦にスタートしている。今のところ2本目に進出したレースはないが、技術の幅を広げようと新しい姿勢を見せていることには注目したい。12月21日にはヨーロッパカップのスラロームに出場し、2位ステファノ・グロス(イタリア)に0秒61差をつけてあっさりと優勝。スラロームの調整も順調のようだ。

スラロームでの安定感はナンバーワンのクレモン・ノエル。今季はGSにも挑戦し、新しい姿を見せてくれそうだ。

同様に、ダニエル・ユールも今季からGSにエントリー。サンタ・カテリーナの第2戦では25位に入り、この種目での初ポイント獲得を果たしている。SNSでの発言を見る限り、今後もGS出場を続けるか決めかねているようだが、まずはアルタ・バディアのGSのスタートリストに彼の名前があるかに注目しよう。

昨シーズンはSLで3勝をあげたが、わずかのところで種目別タイトルを逃したダニエル・ユール。初のタイトル獲得に向けて意欲充分だ。

この他にマークすべき選手には、ノルウェーの20歳コンビ、ルーカス・ブローテンとアトレ・リー・マッグラスがあげられる。ブローテンはセルデンのGS開幕戦でワールドカップ初優勝を果たした後、やや鳴りを潜めているが、昨シーズン、キッツビュールのスラロームで1本目ベストタイムを記録したように、若さの勢いは侮りがたい。調子を取り戻せば中盤以降のワールドカップで中心的存在になるかもしれない。

そして、気になる日本チームだが、男子は今のところGS、スラロームともに出場枠はひとつのみ。ここまでのGS3レースとパラレルGSは加藤聖五(野沢温泉SC)が出場したが、いずれもポイント獲得には至っていない。ただ、トップとのタイム差では着実に成長のあとは見られる。あとはレースの流れをつかみ、巡ってきたチャンスをつかめるかどうか。スタート順の不利は否めないが、立ちはだかる世界の壁を乗り越えて欲しい。

ワールドカップへの本格参戦2シーズン目の加藤聖五。まずは1本目30位の壁を越え、日本チーム復活の突破口を開いてほしい。

一方、10日間の隔離の後、PCR検査でいったんは陰性が確認され、アルタ・バディアのスラロームに出場予定だった小山陽平。しかし、ワールドカップ出場のためのPCR検査で陽性反応が出たため、急遽出場を断念した。現在は無症状で自主隔離中。活動再開は再び陰性が確認されてからになる。ワールドカップには、年明け1月6日に行なわれるザグレブ(クロアチア)のスラロームから参戦予定だ。その間は加藤がスラロームにも出場するが、彼がこのチャンスをいかしてポイントを獲得し、WCSL(ワールドカップ・スターティングリスト)で60位以内に入れば、日本チームのスラローム出場枠が1つ増える。したがって、小山の無念を晴らす意味でも、加藤自身の道をひらく意味でも重要なレースとなるだろう。

文・田草川 嘉雄

SKI GRAPHIC

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