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GS(大回転)で世界の壁を超える新世代スキーヤー登場!
「青春の挑戦者」4年に1度のシーズンがやってきた!2017-2018ウインタースポーツ編 by J SPORTS 編集部日本のスキー界から、GSスキーヤーとして将来有望な選手が久々に登場した。2017年札幌冬期アジア大会で日本人選手として4大会ぶりにGS競技で優勝した小山陽平選手だ。これまで日本は、優れたSL(回転)競技のスキーヤーを生んできたものの、GSで活躍できる選手がなかなか出てこなかった。それだけに、小山選手に対する期待は大きい。
小山陽平(日体大) YOHEI KOYAMA
アルペンスキー
1998年5月31日 静岡県出身
2016 ユースオリンピック GS 銀メダル
2016-17 ワールドカップ アルタ・バディア大会 GS 54位
札幌冬季アジア大会 GS 優勝
世界選手権 GS 42位
きっかけはトリノオリンピック
小山選手がアルペンスキーに出会ったのは小学1年生のとき。きっかけは2006年のトリノオリンピックだ。アルペンスキーSL競技で皆川賢太郎選手が4位、湯浅直樹選手が7位に入り、50年ぶりの入賞を果たした。日本のアルペンスキー界が新たな時代の幕開けを迎えた年だった。
「トリノで皆川選手や湯浅選手の活躍を見て、あのときから金メダルを獲る、ワールドカップで勝ちたい!と思うようになりました。平昌オリンピックに関してはチャンスがあるなら狙っていきますが、メダルは北京に照準を合わせています」
「どこがというよりも、自分が世界で勝つためには、すべてが足りていないと感じました。タイム的にもそうですし、スピードの次元を上げないと勝てません。今、トップにいるマルセル・ヒルシャー選手(イタリア)が仮に10のスピードだとしたら、僕はまだ5~6ぐらいだと思います。それを10に持っていくためにはスピードに耐えられるパワーも必要ですし、いかにスキーを止めない滑りをするかという技術も必要です」
そう話す小山選手は、差こそ痛感したものの、そこから得られたことも多いと語る。
「ワールドカップで活躍している選手は、一人ひとりいいところがあるからこそトップ15にいると思っているので、僕はスキーの動き、足元、足首の使い方、ライン取り、パワーの伝え方…。そういうものを1つ1つ見ながら学んでいくしかありません」
いざ試合になると、すべてがインスペクション※1 通りのラインを滑れるわけではない。臨機応変に対応していく術もまた、学んでいるまっ最中だ。
世界との差を縮めるために
去年のアルタ・バディア(イタリア)で初めてワールドカップに出て、改めて、現地のアルペンスキー人気に大きな衝撃を受けたという。
「報道を見ても、日本のスポーツは野球やサッカーが中心で、アルペンスキーは世間一般に知られていないと感じる場面も多いですが、自分が活躍することによって、いつか他のメジャーなスポーツのようにしたいという思いがあります」
小山選手が、SLだけでなく、GSにこだわる理由もそこにある。
「GSで活躍した日本人がこれまでほとんどいないからこそ、自分がそこで成績を残したい。これまで日本はSLに特化した素晴らしい先輩たちがいましたが、僕はその後を行くというよりは、GSもSLも速い選手になりたいと思っています」
その第一歩となる今シーズン、ワールドカップポイントを獲ってランキング30位以内というのが大きな目標だが、まずはその下のクラス「ファーイーストシリーズ」で常に上位に入り、総合優勝を目指す。
「とにかく今は次に活かせることしか経験していないので、4年後に向けて、階段を上がるようにステップアップしていくだけです」
シーズン前の陸上トレーニングでは、1本のスピードを出し切る力。1日10本滑り切る力。4か月近いシーズンを通して滑る力。それらすべてをパワーアップさせるためのトレーニングに取り組んだ。
「そこに関して他の選手よりも練習したということが、今シーズンの自信につながっています。ただ、自分が目指す世界はもっと上なので、常に今の自分に満足することはありません」
体力や技術の差とともに感じたのがトップ選手のすべりの勢いだったという。
「トップクラスの外国人選手は、どんな状況でも貪欲に攻めていました。その意識の違いが勢いの差になっていると考えています。日本人のアルペンスキーヤー全体に言えるのかもしれませんが、例えば緩斜面になると、きれいに滑る形にこだわりすぎて、あまり体が動いていない。でも、トップ選手たちはそういう場面になると、形にこだわるより、少しでも前に少しでも速くという意識で体を使っていました」
そのため、普段の生活から気持ちがよりポジティブになっているという。
0.1秒でも速く!
その貪欲さを持って、小山選手は飛躍のシーズンに挑む。
※1 インスペクション=レース前にコースを下見すること。コースの把握や、戦術を立てる意味でも非常に重要な作業。
J SPORTS 編集部
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