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ローラーフィギュアスケートの魅力 | 町田樹のスポーツアカデミア 【Discovery:アーティスティックスポーツ・ディスカバリー】 アーティスティックローラースケーター 西木紳悟
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部町田樹のスポーツアカデミア
皆さん、スポーツアカデミアへようこそ、町田樹です。スポーツアカデミアは今回から新たな企画をスタートさせます。その名もアーティスティックスポーツ・ディスカバリー。アーティスティックスポーツとは、私が提唱したスポーツの分類概念で、評価対象となる身体運動の中に音楽に動機づけられた表現行為が内在するスポーツのことを意味します。
今回取り上げるのは、ローラーフィギュアスケートです。フィギュアスケートとはいわば一卵性双生児とも言えるこの競技の魅力を、プロローラースケーターの西木紳悟さんと共にご紹介します。
ローラースポーツ連盟の組織体制
M:そうやって競技を大きくしていこうと選手もコーチも連盟も思われている。スポーツっていうのは、組織がしっかりしてますよね。例えば、スポーツ界ですとIOCを頂点に、各国のオリンピック委員会があったり、あるいはフィギュアスケートだったら、国際スケート連盟があって、各国のスケート連盟があって、地域のスケート連盟がある。そういう組織はローラーフィギュアスケートではどうなっているんですか。
N:スケートボードがオリンピック競技になってからすごく大きくなっちゃった組織ではあります。スケートボードもローラースポーツっていうジャンルで全部一緒です。
M:ローラーで滑るスポーツ全部を統括している組織がある。
N:それが「一般社団法人ワールドスケートジャパン」。
M:ワールドスケートはもうスケートボードをオリンピック化した実績があるんだ。うまくIOCと連携しながら、そのワールドスケートの統括している他のローラーフィギュアスケートや他の競技も上がっていければいいですよね。
N:スケートボードが入る前もオリンピック競技候補種目には入っていたので、あと一息というところでアーティスティックの方も頑張っている最中ですね。
M:例えば、夏季オリンピックでローラーフィギュアスケート、冬季でアイスフィギュアスケートになれば面白いですよね。
N:そうなると本当にいいなと思いますね。
M:そんなローラーフィギュアスケートなんですけど、競技だけじゃなくて、いろんなところで使われていますよね。例えば、アイドルのパフォーマンスだったり、テーマパークのパフォーマンスだったり。そういうローラースケートも、私たちがやったローラーフィギュアスケートの技術が基盤になっているんですか。
N;いいように言うと、どこでも滑れるっていうのと、手軽に体験できることはローラースケートの強みであると思っています。自分自身も外にどんどん出していきたいっていうので、今はローラースケートフィギュアっていう概念から少し外れて、いろいろと挑戦したりしています。
M:ローラーはそれが強みですよね。いろんな舞台、いろんな場所で使えるっていうね。それは羨ましい。やっぱりローラーフィギュアスケートは、もちろんジャンプやスピンなどの技術も大事だけど、表現性も大事じゃないですか。西木さんはどんなところを表現する上で気をつけていたり、大事にされているんですか。
パフォーマーとして意識していること
西木紳悟さん
N:自分が何でここまでスケートを続けているかっていうと、根本的に楽しいし、好きだから続けているわけなので、自分自身がパフォーマンスをする時に、「楽しい」とか「スケートってすごくいいんだよ」っていうのを伝えながらっていうのはモットーにしています。自分が楽しく滑らないとお客さんも楽しく見てくれないっていうがのあるから、そこは一番モットーにしています。
M:楽屋で話してて、パフォーマンスすることが楽しくて競技会の時に緊張しないって言うんですよ。僕と真逆です。例えば僕だったらめちゃくちゃ緊張して心臓バクバクなんだけど、楽しい演技だったらそれは楽しさを表現しますよ。表情なり動きで。だけど内心は不安です。西木さんは本当に内面と外面が一緒っていう素晴らしいスケーターだなと思います。その楽しさはどこに紐づいているのだろうか。ローラースケートの何が好きなのか、どんなところに惹かれているのか。
M:本番でお客さん見てもらって褒めてもらえるのがうれしくて、そのためにむしろ練習していたくらいです。
M:本当に表現者ですね。「見せたい」「見てもらいたい」。
N:自分に自信があるわけでは決してないんですけど、ただ楽しくて、それを喜んでもらえるのが本当に好きで、試合がすごい好きだったって感じですね。
M:表現をする上で音楽とどういう関係を結ぶかって大事じゃないですか。ローラーフィギュアスケートの音楽ってどんなジャンルが多いんですか。
N:アイスとすごいよく似てる部分があります。いろんなジャンルの曲をやっていて、クラシックもそうですし、映画のサウンドトラックを使ってみたりとか、ちょっとロックな曲とか。今だとポップ系の曲をアイスの方が使われてるのと一緒で、ローラーでも多ジャンルに挑戦してる方も多いと思います。
M:私がローラーフィギュアスケートをやってみた感覚ですと、フィギュアよりも細かなステップが可能という印象です。そういう意味ではアイスよりもむしろビートがあるようなダンサブルなジャンルは、ローラーの方がむしろ表現しやすいんじゃないかなって感じているんですけど。
N:そうですね。私自身もそれはちょっと思う部分があって、ローラーにしか出せない表現っていうのも絶対あるとは思うんですね。
M:ローラーダンスは大きく滑るっていうよりも、その場で車輪をスライドさせながらムーンウォーク的な、その場で滑るような、あるいは、HIP-HOPでいうところのグライドみたいな形で滑って踊っていくっていうような、ストリートカルチャーですよね。それね、私も是非習いたいと思っていて、それをアイスにも持っていけるんじゃないかと思っていて、そういう新しい心境地をアイスのフィギュアスケートにももたらしてくれる可能性がローラーフィギュアスケートには、あるいはローラーダンスにはあるなとは思っています。これから引き続き頑張っていきたいと思います。
ローラーフィギュアスケートの魅力
M:西木さんにとってローラーフィギュアスケートの魅力ってどんなところでしょうか。
N:いっぱいあるんですけど、人に見てもらって、お客さんが褒めてくれるという達成感はどの競技にもあると思います。どんなことがあっても、例えばショートとかロングとか、その4分間は絶対自分が主役になれるじゃないですか。競技によっては複数人でやるため、なかなか自分を見てくれないっていう時があるんですけど、このローラーフィギュアに関しては、平等にみんなが主役になれるっていうのがすごく魅力かなと思っています。
M:西木さんはローラーフィギュアスケート業界を背負って立つお方ですけれども、1コーチとして、1パフォーマーとして、あるいは1業界のリーダーとして、この業界がどういう風になっていったらいいなと展望を描かれていますか。
N:もちろん、選手もいっぱい増えてほしい気持ちはあるんですけど、まずこのローラースケートフィギュアっていうのが、すごい楽しいものですっていうのを伝えたいです。ちょっと敷居が高いイメージがあったりとか、子供からしか始められないのかなとか、競技しか興味がないのかなって思われるんですけど、全然そんなことなくて、自分のクラブでは大人から始めている人もいるし、50代の方もいらっしゃれば5歳の方もいらっしゃいます。ローラーフィギュアっていうのは自分のペースで一人で滑るものだから、誰かに合わせる必要もないっていうのは本当に魅力的かなと思っています。ローラーフィギュアっていうのは、自分と向き合えて、マイペースにできるっていう楽しいスポーツなんですよっていうのを全国にも、世界にも広めていけたらいいなとは思っています。
M:小さい子から老若男女に楽しんでいただける。今は業界の話をしましたけど、西木さん個人として今後の展望、あるいは目標みたいなものありますでしょうか。
N:まずは(スクールの)生徒を200人ぐらい増やしたいですね(笑)
M:すぐに増えるんじゃないですか? 素敵な優しい先生だからあっという間に増えていくと思うんですけど。
N:あとはやっぱり、選手の頃もそうだし、今もずっとそれは変わらないんですけど、自分はこのローラースケートを広めるために生まれたのかなって思っているから、その信念はずっと貫き続けたいなとは思っています。
M:ぜひ頑張ってください。私も引き続き、ローラーフィギュアスケーター初心者として続けていきたいと思いますし、何よりもフィギュアスケート業界の人間としてローラーフィギュアの業界のリーダーである西木さんと手を取り合って、一緒に歩んでいけたらいいなと思っています。お互いこれから頑張っていきましょう。貴重なお話をいただき、ありがとうございました。
まとめ
町田樹
皆さんいかがでしたでしょうか。私はただ滑ることしかできない初心者なんですけれども、スケーティングで滑るという運動は何ものにも代えがたい気持ち良さがありますよね。ローラーフィギュアスケートも滑ることしかできないですが、気持ちよく滑れました。今、日本国内でもなかなか屋内でローラーフィギュアスケートができるところは少ないんですけれども、それでも都内の有名なローラーフィギュアスケート場に行くと、老若男女で賑わっています。是非皆さんも1度、滑りの気持ちよさを体感しに滑りに行ってみてください。そして「する」だけじゃなくて、「見る」スポーツとしても楽しめるのがローラーフィギュアスケートの醍醐味です。昔からアイドルのパフォーマンスでも使われていますし、テーマパークやいろんなエンターテインメントでローラーフィギュアスケートの技術・パフォーマンスが展開されています。今後いろんなところでローラーフィギュアスケートを見ることになるでしょうから、「見る」スポーツとしても楽しんでみてください。
私個人としてはアイスとローラーフィギュアスケートが今後もっと交流を盛んにすれば、面白いことができるんじゃないかと思っています。例えばプログラムの共有だとか、あるいはアイスフィギュアスケートの振付師がローラーに行くとか。その逆もしかりといった形で、いろんな面白いことができるんじゃないかとワクワクな気持ちで西木さんと一緒に対談をさせていただきました。今後、間違いなくローラーフィギュアスケートはますます面白く豊かなスポーツになっていくと思いますので、ぜひ皆さんご注目ください。それでは今回のスポーツアカデミアはこの辺で締めくくりとさせていただきたいと思います。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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