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フィギュア スケート コラム 2023年11月7日

アイスとローラーフィギュアスケートの違い | 町田樹のスポーツアカデミア 【Discovery:アーティスティックスポーツ・ディスカバリー】 アーティスティックローラースケーター 西木紳悟

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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町田樹のスポーツアカデミア

町田樹のスポーツアカデミア

皆さん、スポーツアカデミアへようこそ、町田樹です。スポーツアカデミアは今回から新たな企画をスタートさせます。その名もアーティスティックスポーツ・ディスカバリー。アーティスティックスポーツとは、私が提唱したスポーツの分類概念で、評価対象となる身体運動の中に音楽に動機づけられた表現行為が内在するスポーツのことを意味します。

今回取り上げるのは、ローラーフィギュアスケートです。フィギュアスケートとはいわば一卵性双生児とも言えるこの競技の魅力を、プロローラースケーターの西木紳悟さんと共にご紹介します。

対談スタート

M:改めまして、プロローラーフィギュアスケーターの西木紳悟さんです。よろしくお願いします。そもそも確認しておかなければいけないのが、この番組ではローラーフィギュアスケートという名称で言ってますけれども、実は正式な名称ではないそうです。正式な名称は、アーティスティック・ローラースケートですね。アイスのフィギュアスケートはフィギュアスケートのままで言っているんですけれども、近年、例えばシンクロナイズドスイミングがアーティスティック・スイミングに改名したりだとか、割とアーティスティックって言葉が使われ始めてますけど、元来ローラースケートはアーティスティックから始まったということですね。そんなアーティスティック・ローラースケートを始められたきっかけは何なんでしょうか?

N:全然きっかけはたわいのないことなんですけど、インラインスケートが自分たちが子供の時に流行っていて、それを駐車場で滑っていたらもちろん怒られるじゃないですか。それで、場所がないなっていう時に探したのが、たまたまローラースケートのクラブがありました。たまたまインラインではなくてローラースケートだったんですけど、滑るのがとにかく楽しくて、フィギュアとかいう概念は全然なく、始めたのがきっかけです。

M:最初はインラインローラースケートをやっていたけど、クラブに所属してからは4輪のローラースケートに転身。西木さんは徳島県徳島市出身で、実は徳島市というのは、ローラーフィギュアスケート王国なんですよね。なぜかというと、所属されていた徳島コンドーローラークラブというクラブがあって、創設者である近藤謹作さんが日本のローラーフィギュアスケート界のパイオニア。初めて世界選手権に出た人ですよね。その方が徳島県出身で、コンドークラブを開いて、そこに西木さんが入られたということですね。そんなコンドークラブでローラースケートを始めた西木さんなんですけども、その後、どういうキャリアを歩まれていったんでしょうか。

N:競技をするにあたって、マイナースポーツあるあるなんですが、競技を続けていくには資金面もちょっと考えないといけません。もちろんスポンサーも当時はいなかったので、まず続けるか続けないかっていう話になったのが大学4年の時ですね。みんなが就職活動とかをしている中だったんですが、自分は結局もうちょっと続けたいなっていう感じでした。スケートはずっと楽しかったので、辞めたいと思ったことは一回もなくて、辞めたくなかったら続けようかなっていう話になって、じゃあやるならちゃんとしようっていうことで、イタリアの方でコーチをつけてやってみようということになりました。

M:イタリアに留学された。

N:そうですね。ただ、観光ビザしか取れなかったので、7年間ぐらい、3ヶ月行っては帰ってをずっと繰り返してました。

M:なぜイタリアなんでしょうか。例えばローラースケート靴、フィギアスケート靴もそうですけれども、リスポートというイタリアの有名なスケート靴ブランドがありますけれども、やっぱり靴と同じようにローラースケートもイタリアは盛んなんですか。

N:練習会場がすごい多いのと、コーチも優秀な方が多い。当時はワン・ツー・スリーで全部イタリアが入るぐらいだったので、やっぱりイタリアかなみたいな感じでした。

M:世界をリードしていたのが、あるいは、今しているのがイタリアということですね。ちなみにアイススケートは見られるんですか?

N:実はめちゃくちゃ観てました。一緒でもあるし違う部分でもあるとは思うんですが、根本的にただ好きで、よく観に行っていました。会場も行っていましたね。

M:ちなみに好きな選手は?

N:当時は高橋大輔さんがすごい好きで、高橋大輔さんが引退するとか、結構年上になってきた時に、高橋大輔さんが好きっていうスケーターが現れたのを知って、見に行ったのが町田さんでした。町田さんの演技を初めて見た時に、実は本当にちょっとファンでした……

M:忖度が入っている可能性が大いにありますけど(笑)

N:初めてこの仕事の電話がかかってきた時、ちょっと足がガタガタして、スタッフが来たぐらいでした。そんな感じでアイスもすごい見に行っていたし、町田さんにもお花は多分10回ぐらい投げことあるぐらいです。スケートが好きな部分もあるし、やっぱり魂を込めて滑っているところがとにかくすごい好きでした。

M:そもそもローラースケートは、実は今日が初めてみたいな体で滑ってみましたけど、ズルをしていてですね、実はここに至るまで1ヶ月半で、2週間に一回くらい練習していました。それで、あれだけ下手くそですから、やっぱり難しいんですよね。まず道具が違いますよね。アイスのフィギュアスケート靴を持ってきました。バイクと車っていう例えが出ましたけれども、アイスのフィギュアスケートは歯が1本ですので、もちろんこのままイン・アウトに倒しながらカーブしていきます。ローラーは4輪ですので、2つのレールの上を滑って行くという。自動車と一緒ということですね。びっくりするんですけど、上の部分は同じリスポート。同じ会社が作っている、同じ靴なんです。だから、上は共有可能なんだけど、下が全然違うってことなんですね。

無料動画

ローラースケートの仕組み

競技ルール

ジャッジの様子

ジャッジの様子

M:靴の下の構造以外はアイスとローラー、ほぼ一緒なんですけど、ルールはどうなんだろうということなのですが、例えばアイスだったらショートプログラム、フリースケーティングの合計点で総合順位が決まるっていう感じなんですけど、ローラーフィギュアスケートはどうでしょう。

N:同じですね。フリーがロングと呼ばれるようになっていますが、中身は多分一緒だと思います。

M:アイスだったらシングルの男女、ペア、アイスダンスとあるんですけど、あとシンクロナイズドスケーティングがあります。ローラーはどうでしょう。

N:ローラーはそれにプラスで、スケーターの中でジャンプが苦手だけど、スケーティングすごい好きな子がいっぱいいたりするんで、そういった人のためにはソロダンスっていうものがあります。なかなか男の子がカップルを組めなかったりとかするので、ソロダンスっていうのも今公式戦ですごい人気になっています。あとはシンクロと似ているんですけど、プレシジョンという、みんなで合わせて滑るのと、ショースケーティングっていうのがあります。一見似ているんですけど、ルールが全然違って、ショースケーティングの方は物も使って大丈夫な競技で、プレシジョンというのはシンクロみたいな形で、ステップのルールがあったりして、いかに難しい技術の中で揃って滑れるかというのを競うっていうのがあります。

M:アイスよりも圧倒的にバリエーションがあるんですね。採点はどうなんでしょうか。

N:ローラーフィギュア自身も6・7年前に新採点システムに変わって、テクニカルとコンポーネントができて、ジャンプも一つひとつ基礎点があるというのは、フィギュアスケートと一緒になりました。

M:ご存知のとおり、フィギュアスケートはジャンプ一つひとつ、スピン一つひとつに点数がついて、やっただけ加算して、いわゆる演技構成点の方は10点満点で、3項目で今採点されているんですが、ローラーも同じ感じですか。

N:ローラーもテクニカルな基礎点が出るのと、コンポーネントというのが芸術点に当たる部分で、それが4項目くらいあって、それのトータルスコアっていう感じです。

M:もしかしたらシステムも共有しているかもしれないですね。

N:かなりアイスを参考にしてやっているのかなと個人的には思いました。

M:現在の採点基準っていうのは、アイスの方では論争が起こったりするんですけど、ローラーの方はどうですか。例えば、技術点の方が比重が大きくてなかなか芸術点がうまく反映されないんだよねっていうような感覚とかありますか。

N:たぶん今がまさにそんな感じで、世界ですごい試行錯誤をしている段階です。なので、毎年ルールが少しずつ変わったりもしています。世界全体が良い答えを探している最中なのかなと思っています。

M:ガチっとルールが固まって、ローラーフィギュアスケートあるいはアイスのフィギュアスケートの美とはこうだってガチッと定義されるよりも、柔軟な状態の中で、いろんな人がいろんな試行錯誤でいろんなアーティスティックな演技をして、ローラーフィギュアスケート、あるいはアイススケートの美しさってこうだよね、こういう美しさもあるよねって、色んなものを出し合って選手のアーティスティックないろんな演技をジャッジが見て、こういう演技を評価してあげなきゃって思う。スケーターがいろいろな主張をする。それを受け入れていろんなルールを改変する。この循環によって競技の採点基準で洗練化さていくと思うから、ある意味いろんなことができて面白いタイミングではありますよね。

N:競技を大きくするために採点基準も良いものを作っていこうとしている最中で、目指せオリンピックくらいに世界が思っていると思うので、新採点システムとか、選手のコーチングとか、全体が開拓している最中ではあります。

次回:ローラーフィギュアスケートの魅力

文:J SPORTS編集部

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