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フィギュア スケート コラム 2023年2月26日

アメリカとカナダが上位独占!金メダルのチョック&ベイツ組「世界選に向けて大きな自信になります」| ISU四大陸フィギュアスケート選手権2023 アイスダンス レビュー

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組

マディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組

本気メンバーを送り込んできた北米のアイスダンス超大国2カ国が、2023年四大陸選手権アイスダンスの上位6席を当然のように独占した。アメリカのマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組が、自身としては3度目の、アメリカ勢としては5年連続の戴冠。表彰台の両脇には、カナダの2組、ロランス・フルニエ・ボードリー&ニコライ・ソレンセン組とマルジョリー・ラジョワ&ザカリー・ラガ組が立った。

「四大陸で3つ目の金メダルを獲得できたことは、大いなる誇りですし、自分たちの滑りに心から満足しています。最初から最後まで楽しむことができました。さわやかな気分です」(チョック&ベイツ組)

2週間前の全米選手権で4度目の優勝を飾った足で、そのままコロラド・スプリングスへ直行したというチョック&ベイツ組は、すでに十分に練上がったプログラムを、さらに磨き上げることだけに専念してきたという。エレメンツの密度を高め、表現力の深みを増す努力は、確固たる結果につながった。リズムダンス(87.67点)でも、フリーダンス(133.14点)でも、もちろんトータル(220.81点)でも、パーソナルベストを更新した。

中でも「火と風の精たち」のストーリーを披露するFDは、ついに完成形へ近づいたと言える。緻密な技術力で、あらゆるエレメンツで高いレベルと高いGOE出来栄え点を得た。なにより、その重厚な表現力で、アリーナ全体の空気を完全に制圧。難しい解釈のプログラムは、崇高なる芸術作品へと昇華した。PCS演技構成点の「構成」では、10点満点の評価をつけるジャッジも。

しかもFDとトータルは……本人たちでさえ「衝撃」と語ったほどの高得点で、今シーズン最高得点を記録した。つまり今大会は欠場を余儀なくされたが、来る世界選手権では最大のライバルとなるはずのパイパー・ギレス&ポール・ポワリエ組(カナダ)の得点を上回った。

「この高い標高の中で厳しいトレーニングを積み、これほどのパフォーマンスが出せたことは、世界選に向けて大きな自信になります」(チョック&ベイツ組)

母国アメリカで、金色の栄光を楽しんだチョック&ベイツ組の、視線の先には「究極の目標」がある。7回の参戦で表彰台7回、うち金メダル3回と四大陸では圧倒的な存在感を放ってきた2人は、日本のさいたまアリーナで、初めての世界制覇に挑む。

「今大会には勝つために来た」と公言し、「勝つためのプログラムも揃っている」と強い自信をうかがわせたフルニエ・ボードリー&ソレンセン組は、やはり全てでパーソナルベストを大幅に塗り替えた。人生初のGP金メダルを持ち帰ったNHK杯での得点をことごとく超越し、カナダ移籍後初のナショナルタイトルに輝いた国内選の総合得点さえ上回った。トータル214.08点。銀色のメダルにも、心からの笑みがあふれた。

フルニエ・ボードリーが大会前週に右膝靭帯を痛め、痛みを押し隠しての出場だっただけに、安堵の気持ちも大きかったようだ。完全な状態ではなくとも、2人にとって初めてのISUチャンピオンシップ表彰台に上がれたことは、なにより最高の自信をくれた。

「世界選には高い目標を設定しています。表彰台に上がりたいんです。とてつもなく難しいだろうことは分かっています。でも今回の結果が、僕らが正しい道を進んでいることを示してくれました。あとは今後も同様に練習を重ねていくだけです」(フルニエ・ボードリー&ソレンセン組)

シニア完全転向から4年目。元ジュニア世界王者のラジョワ&ラガ組は、むしろ嬉し涙で頬を濡らした。成功のシーズンを、初めてのシニア選手権表彰台で締めくった。

「振り返ってみると、長い道のりでした。でも、今季は、出場した全ての大会で、表彰台に上がることが出来ました。しかも今季最後の試合で、これほど大きな成果を手に入れられた。来季に向けて、大きなモチベーションになります」(ラジョワ&ラガ組)

女優とピアニストの「アーチスト」カップルは、自らの高すぎる理想に、時に苦しめられてきたという。だからこそ今季の目標は「完璧主義者であることをやめること」。それでもFD「ホワイトクロウ」を演じる最後の機会に、絶対に、完璧な演技を披露したかった。演技前から少々心配していた前半のローテーショナルリフトを、問題なく成功させると、あとは演技に心から集中した。「間違いなく今季最高」と断言できるパフォーマンスで、パーソナルベストも更新した。

「シーズン最後の試合」でラジョラガ組が全力を出し切ったのだとしたら、総合4位クリスティアーナ・カレイラ&アンソニー・ポノマレンコ組(アメリカ)は、「世界選代替出場の可能性もあるから練習は続けていきます」と大会後に語っていた。最終的にワールド行きは現実のものとなり……つまり初めての大舞台へ向けて、間違いなく好ステップが踏めた。

昨季の3位銅メダルと比べて、たしかに順位は一つ後退した。ただ出場カップルのレベルがはるかに上がった2023年大会での同成績は、むしろ「非常にポジティブな成績」とカレイラ&ポノマレンコ組は素直に喜ぶ。

一方でディフェンディングチャンピオンのキャロライン・グリーン&マイケル・パーソンズ組(アメリカ)は、RD最終盤に男性が転倒。FDでは納得の演技が出来たと語るが、トータルでは5位終了。「世界選手権に向けて技術的な部分を見直していく」と、気持ちを引き締めた。

やはり1年前の銀メダリスト、村元哉中&高橋大輔組もまた、転倒に悩まされた。RDは滑走グループの全組がことごとく転ぶという難しい雰囲気の中で、村元がやはりミッドラインステップシークエンスでバランスを崩した。スピードに乗り、攻めの姿勢を貫き続ける中での、転倒だった。FDは高橋が2度転んだ。本人曰く、標高や疲労のせいではない。ただ「1度目の転倒で、気持ちがプツっと切れてしまった」と振り返る。

3つの転倒が響き、最終成績は9位で終えたが、「確実なレベルアップ」は実感できた。重要な国際大会でダイアゴナルステップがレベル3の評価を受けるのは「初めて」と、村元は数字につながる成長を確認し、「これだけの過酷な環境下で、最後まで滑りきれたことは自信になる」と高橋も力強く頷く。

なにより世界トップレベルのアイスダンサーたちと戦う経験を、もう1つ重ね、悟りを開いた。「自分たちは自分たち。周りは気にせず、ただ自分たちのベストを尽くすだけ」。カップルにとって2度目の世界選手権へ向けて、最高の心構えができたようだ。

尊にとっては文字通り故郷であり、コロナ禍の中、同地で練習を積み重ねた美里にとっても、いわば第2の故郷……そんな縁の深いコロラド・スプリングスからたくさんのパワーを受け取り、小松原美里&小松原尊組は自己最高7位の好成績を残した。

レベルの小さな取りこぼしがあったことは、演技をしながら、本人たちも冷静に理解していたという。ただし「挑戦」ととらえて、新しい世界観の創造に力を尽くしてきたFDでは、シーズンベストの好評価を得た。「この先の4年に向けて、2人で一緒に戦っていく力がどんどん大きくなっていることが実感できた」と、次戦へ、来季へと続く大切な収穫を得た。

文:J SPORTS編集部

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