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凄まじくハイレベルで、熾烈で、華麗な戦いに期待!本気のアメリカ&カナダに日本カップルが挑む | ISU四大陸フィギュアスケート選手権2023 アイスダンス プレビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部村元哉中&高橋大輔組
グランプリファイナル覇者パイパー・ギレス&ポール・ポワリエ組(カナダ)の欠場(ギレスが虫垂炎手術から復調中)は残念だけれど……アメリカも、カナダも、もちろん日本も、自国が誇る最強カップルたちをこぞって2023年四大陸選手権に送り込む。凄まじくハイレベルで、熾烈で、華麗なアイスダンスの戦いが繰り広げられる!
金メダルに最も近い場所にいるのは、間違いなく、地元アメリカ組のマディソン・チョック&エヴァン・ベイツ組。今大会ではすべてにおいて傑出している。正確で緻密な技術力も、美と個性とを共存させた表現力も。コンセプトから衣装まで細部にこだわり、完璧に築き上げられた独自の世界観も。
チーム結成12年目の今季は、少々スロースタートだった。しかもフリーダンスのプログラムを途中で作り変えたせいか、GPシリーズ中はいまだ完成には遠かった。
ただし人生4度目のGPファイナル銀メダルは、チョック&ベイツ組にとっては、念願の世界制覇へ向けた「過程」に過ぎなかったようだ。4勝目をつかんだ全米選手権では、一気に完成度を上げてきた。特に「火と空気」の精霊を表現するフリーダンスは、振り付けが細かく変更され、魅力がさらに増した。
過去6度の四大陸では、すべて表彰台に上がっている。五輪優先の昨季は不出場ではあるものの……出場した大会だけを見れば、いわゆる2連覇中。チョック&ベイツ組が本来の美しい滑りさえ実現すれば、3度目の優勝は自然についてくる。
今シーズンに入って、急激に存在感を増しているのが、カナダのロランス・フルニエ・ボードリー&ニコライ・ソレンセン組だろう。「チョクベイ」を打ち破り、NHK杯で初めてのGP大会金メダルを手に入れた。GPフランス杯でも銀をつかみ、確かな実力を再証明した。
デンマーク所属として活動を始めながらも、国籍問題で難航し、カナダに所属を移して5シーズン目。一昨年にはソレンセンが無事にカナダパスポートを取得し、カナダ代表として冬季五輪へも出場した。それだけに年明けのカナダ選手権で、頂点に立てたことは、感動が大きかった。
欧州選手権は5度戦ってきたが、四大陸は4年ぶり2度目。「パイポー」欠場の今大会、アイスダンス大国カナダのトップカップルとして、美しいメダルが期待される。
アメリカの「次」のエースと期待されるキャロライン・グリーン&マイケル・パーソンズ組と、カナダの次世代を担うマジョリー・ラジョワ&ザッカリー・ラガ組も、きっと見ごたえある表彰台争いを繰り広げる。
ジュニア時代に文字通りすべてを勝ち取ってきたパーソンズと、真摯な努力で技術力を高めてきたグリーンは、五輪行きこそ叶わなかったが、代わりに昨四大陸選手権で金を勝ち取った。国内・国外ともに高い立ち位置を確立し、今季NHK杯では、チーム結成後初のGPメダルも獲得。
パーソンズの2年後に世界ジュニアチャンピオンに上り詰めたラジョワ&ラガ組も、やはり今季初めてGPメダルに手が届いた。結成12年目のアーティスト(ラジョワは女優、ラガはピアニスト)は、すでに世界選2回、五輪1回と大舞台も経験済み。
端正で力強いスケートが持ち味の「グリパー」と、スピードと表現力で際立つ「ラジョラガ」。ちなみに銅メダルを競い合った今季GPカナダ大会では、RDは0.19差でアメリカ組が3位、FDは1.49差でカナダ組が3位。次の五輪の主役となるポテンシャルを秘める2組の、新たな直接対決が楽しみだ!
完全復調への道を歩み、全米選手権ではRD4位から逆転3位を成功させたクリスティーナ・カレイラ&アンソニー・ポノマレンコ組(アメリカ)も、昨四大陸銅メダリストとして2年連続表彰台を狙っていく。マリージャド・ロリオー&ロマン・ルガック組(カナダ)もアメリカ杯でGP初メダル、続くGPカナダ杯ではRD・FD・トータルすべてでパーソナルベスト更新と、手応えあるシーズンを送ってきた。急遽代替出場が決まったが、ベストを尽くす準備は出来ている。
これほどの本気メンバーを送り込んできたアメリカ&カナダを相手に、日本の2組も真剣勝負を繰り広げる。なにより村元哉中&高橋大輔組は、堂々たる昨大会準優勝カップルとして、上位入りを狙う。
昨冬、結成2季目ながら、日本カップルとして史上最高の四大陸銀に輝いた「かなだい」。3年目の今季は初めてGP大会を2戦転戦し(いずれも6位)、国際大会の経験をさらに重ねた。デニステン杯で初の国際大会金メダルも獲得。ついには全日本選手権で頂点を射止めた。すでに前パートナーと3度全日本タイトルを獲得してきた村元にとっては5年ぶり、シングル選手として5度日本王者に君臨してきた高橋にとっては、11年ぶりの全日本制覇だった!
参考までに元世界王者にして五輪メダリストの高橋は、当然ではあるが、男子シングルで四大陸も2度制覇。また前回、同じコロラド・スプリングスで開催された2012年大会でも、2位表彰台乗りを成功させている。
急速に進化を続ける村元&高橋が、今季最大の挑戦に掲げるのは世界選手権トップ10入り。この凄まじくレベルの高い四大陸選手権は、つまり2人の目標達成に向けた、最高のステップとなるに違いない。
今季は「チャレンジのシーズン」と位置づけ、新たな4年間に向けて滑り出したのが小松原美里&小松原尊組。RDではGPカナダ杯でパーソナルベストを更新し、着実な成長が出来た。一方のFD「フィフスエレメント」では特に大胆に、新しい世界観に挑戦してきたせいか、前半戦は少し得点が伸び悩んだかもしれない。
ただし納得のパフォーマンスが出せた全日本以降、自分たちの演技をさらに磨き上げてきたはずだ。2大会ぶり4度目の四大陸選手権参戦で、自己最高位9位を上回りたい。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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