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日本・韓国・アメリカ、激しくも美しい三つ巴戦から目が離せない | ISU四大陸フィギュアスケート選手権2023 女子シングル プレビュー
フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部吉田陽菜 / 千葉百音 / 渡辺倫果
6年連続で金メダルを独占してきた日本。次々と新しい才能が台頭してくる韓国。そして4年ぶりの地元大会を、本気で獲りに来るアメリカ。2023年四大陸選手権の女子シングルでは、激しくも美しい三つ巴戦が繰り広げられる!
今大会の出場メンバーで3回転アクセルを飛ぶ選手は4人いるが、クリーンな3Aで競技会で「GOE+加点」の評価を得たことがあるのは、渡辺倫果と吉田陽菜だけ(他の2名はアンバー・グレンとイ・ヘイン)。自ずとこの大技が決まれば、日本女子2人の表彰台の可能性も大きく高まる。
今季が本格シニア転戦初年度の渡辺は、「代替」で出場したGPカナダ大会で、いきなり初優勝をさらい取った。アクセルとコンビネーションジャンプの失敗でSP6位スタートながら、FSでは見事3Aを成功させ大逆転。さらにはGPファイナル進出を遂げたばかりか、同大会のSPで叩き出したパーソナルベストは今大会世界2位の高得点(ただし3Aは4分の1回転不足)。
年末の全日本選手権では、気負いすぎたせいか、3Aどころか他のジャンプでもミスを連発。SPでまさかの18位に沈んだ。FSでも本来の調子に戻せず、9位に留まり、トータル12位で終えた。幸いにも1月のインカレで2位、そして「故郷」開催の国体で2位と、気持ちを立て直すチャンスを持てた。特に国体FSでは3Aを決め、初めての四大陸選手権に向けて自信となったはずだ。
今季前半ジュニアGP2戦で金メダルに輝いた17歳の吉田陽菜にとっては、ジュニア・シニアを通して生まれて初めてのISU国際選手権大会。全日本はSPで14位と出遅れながらも、FSで3位に飛び込む素晴らしいパフォーマンスで、四大陸選手権への切符を勝ち取った。
昨季3A+3Tさえ日本の競技会で成功させ、「ジュニアGPファイナルのFSでは3Aを2本飛ぶ」と宣言するほど、安定した3Aを誇る。しかも他のジャンプで高いGOE加点を稼げることも、吉田の強みの一つ。ダイナミックではつらつとした動きのステップシークエンスでも、常に高評価を得てきた。表彰台候補と目されていたジュニアGPファイナルでは、本来の実力を上手く出せなかった。四大陸では思い切り自分らしい滑りを披露したい。
千葉百音はジュニアGPポーランド杯では2位に食い込み、全日本ではSP3位の素敵な衝撃を作り出した。3Aこそないものの、安定したジャンプを飛び、華麗なスピンはレベル4獲得が極めて高い。中でもレイバックからのビールマンスピンは絶品!
直前の国体少年女子の部では、ジャンプを「気合」で着氷し、17歳の千葉がSP・FSともに首位で圧巻の優勝を飾った。やはり初めてのISU国際選手権大会では、緊張せずに、のびのびと優雅な舞いで、世界中のスケートファンを虜にしてほしい。
すでに1年前の四大陸で、韓国のイ・ヘイン(銀)とキム・イェリム(銅)は表彰台を経験している。
今季のNHK杯で表彰台の最上段に駆け上がったことでもおなじみキム・イェリムは、フランス杯2位、ユニバーシアードで日本の三原・坂本に続き3位と、今や世界屈指のトップスケーター。なによりその成熟したムーブメントは定評がある。陰のある美で魅せるSPも、しっとりと酔わせるFSも、絶対に見逃したくない。
イ・ヘインは大胆さと可憐さを併せ持つ。ハイスピードで滑らかなスケーティングと、切れ味鋭いジャンプ。スパイラルは伸びやかで、雄大なステップやコレオシークエンスは常に高い加点で歓迎される。昨季は五輪行きの切符を逃した直後に、四大陸で悔しさを晴らすような好演技を実現した。昨世界選でも7位に食い込み、17歳の伸び盛り。
また今季ジュニアGPファイナルで銅メダルの16歳キム・チェヨンは、熾烈な国内の争いを勝ち抜き、一気に四大陸と世界選手権への切符を手に入れた。FS後半に難しいコンビネーションジャンプを2つ組み込んでくる技術派であり、スピードとメリハリのある滑りも魅力的。
こんなハイレベルな日本&韓国の前に立ちはだかるのが、地元アメリカだ。2015年以来遠ざかっている四大陸チャンピオンの座をかけて、全米選手権トップ3を送り込んでくる!
ダイナミックな3Aでアンバー・グレンは攻める。アメリカ杯で自己初のGPメダルを射止め、直前の全米選手権では2度目の表彰台と、今季は流れに乗っている。しかも3年ぶり2度目の出場となる四大陸選手権は、現在のトレーニング本拠地コロラド・スプリングス!モチベーションはとてつもなく高いはずだ。
全米の銀で、ブレイディ・テネルは長い故障からの復調を印象づけただけでなく、心の底から熱望してきた四大陸選手権と世界選手権の出場権もつかみとった。3年前の四大陸では、人生唯一のISU選手権メダル(銅)を持ち帰った。新しいメダルこそが、テネルにとっては、完全復活を意味するのかもしれない。
そして誰より、ピカピカの全米金メダリスト、イザボー・レヴィト。初めての四大陸で、果たしてどんなセンセーションを巻き起こすのだろうか。
安定して高い技術点と、世界指折りの演技構成点。いわゆるトータルパッケージで強さと美しさを両立させる15歳の少女は、恐るべき記録を突っ走っている。2017シーズン以来、出場した公式戦23大会すべてで、表彰台に上がってきた。つまりジュベナイル、インターメディエイト、ノービス、ジュニアと年齢別カテゴリーを経て、今季から本格参戦を開始したシニアまで、6年間に渡って常にトップを守り続けてきたことになる。昨季は世界ジュニアチャンピオンにもなった。今季はグランプリ2戦とファイナルで、銀メダルを手に入れた。
試合数は年々増えてきた。ノービス時代は3戦程度、昨季ジュニアは5戦。そして今季はこの四大陸で7戦目で、もちろんこの後には世界選も待っている。初めての超フルシーズンを、戦い抜く体力と精神力も必要だ。
全米選手権で優勝を決めた後、実はちょっぴり緊張していたことを打ち明けた。母国ファンからの大声援が、レヴィトにとって重圧ではなく、ポジティブな後押しとなるよう願いたい。
文:J SPORTS編集部
J SPORTS 編集部
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