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フィギュア スケート コラム 2022年4月1日

三浦璃来&木原龍一組が日本ペア史上最高位の世界選手権2位「これはまた新しい4年のスタート」 | ISU世界フィギュアスケート選手権2022 ペア レビュー

フィギュアスケートレポート by J SPORTS 編集部
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三浦璃来&木原龍一組

笑顔の三浦璃来&木原龍一組

たくさんの想いが昇華し、それぞれの覚悟と犠牲は報われた。思いがけず優勝候補へと押し上げられたアレクサ・シメカ・ケネリム&ブランドン・フレイジャー組が、様々なプレッシャーを力強くはねのけて、世界チャンピオンの座へと上り詰めた。

「なんだか現実のものとは思えません。でも自分たちがやり遂げたことを、大いに誇りに感じます。2人が厳しい練習に耐え、あらゆる準備を積んできたことの証拠でもあります」

出場選手の中で五輪最上位の2人は、大本命に相応しい堂々たる演技を披露した。長いシーズンの終わりに、ショートもフリーもノーミス&パーソナルベストで終えられたのは同組だけだったし、力強さと洗練さを併せ持つパフォーマンスは、見る者の胸に強い印象を刻みつけた。

なにより、芸術性の高い演技でショートを2位で折り返した同国アシュリー・ケイン=グリブル&ティモシー・ルデュク組が、ケインの転倒・脳震盪でフリーを途中棄権した直後ーーそのまま救急車で搬送され、経過観察のため病院で一泊。翌日に宿泊先へと戻ることを許されたーーいまだざわつきの残るアリーナで、シメカ・ケネリム&フレイジャーは驚異的な集中力を発揮する。

「少し動揺しました。こういうことが起こり得るのだ、と改めて現実を思い知らされたのですから。でも頭を切り替えて、集中力を切らさぬよう努力しました。あらゆるエネルギーを注ぎ、ただ自分たちのスケートをしようと心がけました」

その滑りは揺らぐことのない自信に満ちていた。フリーの技術点だけで2位以下に9点近い大差をつけ、トータルでは五輪で記録した自己ベストをやはり9点近くも塗り替えた。

人生のパートナーであるクリスと、幼い頃から共に励んできたデニーとがそれぞれ引退を決めた後も、シメカ・ケネリムとフレイジャーは競技に対する強い情熱を貫いた。もっとアスリートとして戦いたい。こんな意欲に突き動かされるように、新たなパートナーの手を取ってから、わずか2年後の戴冠だった。またアメリカペアにとっては、1979年大会以来43年ぶりの世界選手権制覇となった。

三浦璃来&木原龍一組は、日本に10年ぶりのメダルをもたらした。なにより日本ペア史上最高位の世界選手権2位で、躍進の1年を締めくくった。

「全体的にミスが多くて、悔しさの方が多いメダルですね。ただ、コーチからは、『このメダルは今シーズン頑張ってきたことの証だ』と言ってもらえました」

心から楽しもう。そんな目標を、ショートでは達成できた。スロージャンプであわや転倒の場面もあり、またレベルの取りこぼしはいくつかあったものの、いまやトレードマークともなった笑顔あふれる伸びやかな演技で観客を魅了した。演技構成点は、全参加者の中で最も高い評価を得た。

ただ3位として臨んだフリーでは、苦い後悔も残った。2度のソロジャンプでそれぞれがミスし、スロージャンプでは転倒。その後は「滑り切らなきゃ」と意識しすぎて、心から楽しむことができなかったと振り返る。

もちろんベストには遠く及ばなかった。総合得点は、五輪で記録したパーソナルベストを12点近くも下回った。しかし結成3年目の2人が「メダル候補」としての重圧に耐え切ったこと、なにより日本ペア界に新たな希望と……来季世界選3枠をもたらしたことは、心からの称賛に値する。

「これはまた新しい4年のスタートでもあります。まだまだ自分たちは上に行ける。来シーズンはさらなる高みを目指していきます」

銅メダルに輝いたのもまた、結成歴の極めて短いペアだった。たしかに欧州チャンピオン経験を持つヴァネッサ・ジェームスと、世界選を2度制しているエリック・ラトフォードという、個々としては世界最高峰の2人ではある。しかし、一緒に滑り始めてからたったの1年で世界選表彰台へと駆け上がったことは、やはり快挙にほかならない。

「正しいタイミングで、ついにすべての要素が揃ったのだと感じています。2人とって初めての世界選手権で、こんなに素晴らしい演技が出来たことは、決して忘れられない記憶となるでしょう」

突如として前パートナーとの続行が不可能となったものの、このまま氷から去りたくない。そう強く願ったジェームスと、その想いに突き動かされ3年ぶりに現役にカンバックしたラトフォード。ショートこそ5位と出遅れたが、フリーは美しくしっとりとしたパフォーマンスで2位に食い込んだ。トータルでの197.32点は、それぞれ前パートナーとの最高得点には遠く及ばない。しかし生まれたばかりの同ペアにとっては、正真正銘パーソナルベストだった。

「相手のおかげで、人生最高の経験が出来た」と互いに感謝し合う34歳&37歳。「たった1シーズンで終わらせるためにパートナーを組んだのではありません」とも断言する。

4位には、やはり結成ほやほやの17歳カリーナ・サフィナ&19歳ルカ・ベルラワという、将来が楽しみな2人組が飛び込んだ。一方でミリアム・ツィーグラー&セヴェリン・キーファー組やゾーイ・ウィルキンソン&クリストファー・ボヤジ組は、今大会を最後に、長いキャリアに終止符を打った。

またウクライナ組ソフィア・ホリチェンコ&アルチョム・ダレンスキーにとって、生まれて初めての世界選手権は、特別なメッセージを伝える舞台となった。

「準備なんか出来ていません。ただウクライナのアスリートたちが祖国のために戦っていることを、私たちは世界に示したかったのです」

五輪以来一切練習が出来ていないこと、陸路で6日間かけてフランスまでたどり着いたこともあり、ショートのみ戦い、フリーは棄権。大会後はポーランドのスケートクラブにて、選手活動を続けていくそうだ。

文:J SPORTS編集部

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