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フィギュア スケート コラム 2018年10月16日

【小塚崇彦のフィギュアスケート・ラボ】#1 シングル・ペア編 <前編>

小塚崇彦のフィギュアスケートラボ by J SPORTS 編集部
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ルールがわかれば、フィギュアスケートをもっと楽しんでもらえるはず!そんな思いのもと、美しいスケーティングと独自のスケート理論をもつ小塚崇彦がシングルにとどまらず、ペアやアイスダンスといったカップル競技まで枠を広げ、「フィギュアスケート」について徹底研究。
フィギュアスケート・ラボでは、18/19シーズンのルールを研究。 GOEの評価はどう変わったのか?演技時間は?ジャンプの数は?ペアやアイスダンスの改正ポイントは?シングル&ペア編ではISU技術委員の岡部由起子さんをお迎えしてご説明いただきます。

ルール改正のスケジュール

小塚:今回新シーズンに向けて大小さまざまルールが改正されていると思うのですが、それは毎シーズンどういった意図でされているのでしょうか?

岡部:最初に言えることは、見ているみなさんがより理解しやすいルールにしていこう、というのがまず1つあります。それからもちろん、スポーツとしておもしろいものになっていかなくてはならない。それらを目標にして、ルール改正が行われています。

小塚:ルール改正を行うにあたってもちろん議論がなされるわけですけれども、いつぐらいにルール案が出てきて、どういったスケジュール感で進んでいくのでしょうか?

岡部:スケジュール感というのはそれぞれのルールの内容によって少し変わってくるのですが、例えば大きな変更、今年などは男子とペアのフリーの演技時間が30秒短くなりましたけれども、そういった大きなものは少し前にもう決められています。このルールは1つ前のISUの総会ですでに決まっていて、オリンピックの後からこれをスタートしようという話し合いはもうそこでされていました。

小塚:ということは、前回の総会の時点では、もう大きな改正案は出ていたということなんですね。例えば、今回の4分30秒から4分への変更、このスケジュールというのは、前回の総会というと…。

岡部:2016年の6月ですね。そのときに、すでに決定されました。

小塚:あ、もう決定されていたんですね。

岡部:はい。この改正は決定で、しかし適用スタートはオリンピック以降の18/19シーズンからにしましょうということに決まっていました。

小塚:この案が出たのっていつぐらいだったんですか?

岡部:ジャッジのみなさんとかテクニカルコミッティーのみなさんとか、関係者から「これはもうそろそろ短くするべきでは?」「いやいや、そのままでいい」というふうにいろんな案が出ていて、2016年の総会で議案として出てきたのに対して多数決で決まったものが、決定ということになるわけです。

小塚:案としてはもっと前にいろんな方面から少しずつ出てきていて、具体的に何月何日というわけではなくいろんなところで話されていて、2016年の総会で議案として討論され決定した。で、18/19シーズンから正式に採用されるっていうことですね。

岡部:はい。見ている方がより楽しくおもしろいスポーツでなくてはいけない、理解しやすいスポーツでなくてはいけない、というところがあって、そこに向かっていると思っていただければいいです。例えば4分30秒から4分に変更になったっていうのは、1人30秒ずつ短くなることによって全体の競技時間が短くなる、というところを狙ってのルール改正です。

小塚:ま、長い、か…。

岡部:…という声をだいぶ聞きましたので(笑)。

小塚:ということで、全体時間をちょっと短くするにはどうしたらいいかっていうところで議論されて、4分30秒が4分になったわけですね。実際に滑るスケーターの人たちには、どういうものを求めているのでしょうか?

岡部:この後に出てくるGOEや基礎点のことにちょっと繋がってくるんですけれども、より完成度の高いパフォーマンスを見たい。もちろん関係者の我々もそうですけれども、見てくださるみなさんも完成度の高いものが見たいですから、そうするためにはどうしたらいいだろうってことを考えて、GOEや基礎点が少し変わってきました。

【18/19シーズン シングルのルール変更点】

男子FS ジャンプの数が8つ→7つに

小塚:今回は、世界選手権2018のチャンピオン、ネイサン・チェン選手のフリーの構成要素をボードに書き出してみました。この中でジャンプが8つだったのが、今シーズンからはどれかが1つ消えるっていうふうに考えていいですか?

岡部:そうですね。例えばこれをざっと見たときに、一番バリューの低いものを1つ消してもいいのかなっていうのがあります。でもこうやって見ると、どれが一番低いのかなっていうのが一瞬ではわからないですよね(笑)。

小塚:そうですよね、ずっと4回転ばっかり跳んでる(笑)。

岡部:アクセルタイプは1つ入れなくてはいけないので、トリプルアクセルは必ず入れなきゃいけない。それから、1番の構成要素である4回転ルッツはバリューが高いですよね。その次の4回転フリップ+ダブルトウも、さらにその次の4回転フリップも高い。唯一トリプルが入っているのが、10番のトリプルフリップ+シングルループ+トリプルサルコウのコンビネーションなんですけれども、そうは言ってもこれはコンビネーションで、フリップとサルコウがトリプルなので、足せば結構大きなバリューになる。ということで、果たして彼は何をどういうふうに取ってくるのか。このうち1つを削らなきゃいけないんですけれども。

小塚:4分間でジャンプが7つになるんですけれども、これはルール改正されて実際のところどうなんでしょうか?

岡部:明らかに言えるのは、大変になったんではないかと(笑)。1つのジャンプに要する時間は、どう考えても何秒っていう世界ですよね。前後合わせても最長10秒あればジャンプが1つ跳べるのに対し、競技時間が30秒短くなったってことは、選手にとっては相当負担が大きくなったかなっていうふうには考えられます。

小塚:じゃあ結構焦ってジャンプ跳ばなきゃいけないっていうところでちょっとミスが出てきたりとか、体力的に後半がきつくなるっていうところも…。

岡部:そうですね、体力的にはほんとにちょっときつくなったのかなっていう気はしますよね。

4回転ジャンプの繰り返しは1種類のみに

岡部:もう1つ昨年度からの大きな違いというのは、ネイサン選手は2番に4回転フリップ+ダブルトウをして、そのすぐ次に4回転フリップをしており、1種類の4回転が繰り返されています。でも今シーズンからは、4回転は1種類しか繰り返すことができないんですね。なので、6番の4回転トウから7番の4回転トウ+3回転トウのコンビネーションと続いていますが、この繰り返しができなくなります。

小塚:なるほど。ということは、トウループのほうがバリューが低くなるので、今シーズンは4回転トウループの繰り返しを抜いてくるんじゃないかっていうところでしょうね。

岡部:おそらく。なので、そのうちのどちらかの繰り返しをトリプルにするしかない。そうするとたぶん、今回の構成要素にはルッツが入っていないので、もしかしたらルッツにしてくるのかなと。トリプルアクセルも可能性ありますね。構成要素にはトリプルアクセルが単独で1つ入っていますので、7番の4回転トウをトリプルアクセルに変えるかもしれない。

小塚:まあこれだと一番点数が取りやすいですよね。トリプルアクセルが2回被るっていうのは、全然大丈夫なんですか?

岡部:トリプルは、2種類大丈夫です。なので、4回転が1つと、トリプルアクセルが1つ。今までと同じように、全体で2種類しか繰り返しができないので。

小塚:1回しか繰り返せないというのは、4回転だけなんですね?じゃあ3回転は2回繰り返しても大丈夫ですか?

岡部:はい、2回繰り返しても大丈夫なんですけれども、全体で2回しか繰り返せないです。ただ、まだこれジャンプが1つ消えていないので、どれかを消さなきゃいけない。

小塚:なるほど。じゃあ、9番の単独のトリプルアクセルをトリプルアクセル+シングルループ+トリプルサルコウにして、10番のトリプルフリップ+シングルループ+トリプルサルコウを消せばいいのかな?

岡部:そうですね、はい。トリプルフリップは一番バリューが少ないですよね。

1Lo→1Eu(オイラー)に

小塚:もう1個あるんですよね?これ、確か。

岡部:シングルループのところですね?今年から呼び方だけ変わるんですけれども。オイラー。

小塚:オイラー。

岡部:表記としては「1Eu」で、シングルオイラー。ヨーロッパの方はオイラーと呼ぶんですけれども、北米の方はユーラーって呼んでますね。どちらにしようというのはまだ決まっていませんけれども、オイラーさんという方がいらしたみたいで、それでその名前を取っているので、オイラーなのかなと。

小塚:じゃあ日本人はオイラーと呼んでいいんですね?

岡部:はい。

小塚:じゃあ、トリプルアクセル+シングルオイラー+トリプルサルコウという呼び方になるんですね。4回転の繰り返しが、前までは2回までやってもよかったけれど今年から1回しかやっちゃいけないということになりましたけども、その理由というのは?

岡部:ネイサン選手はいろんな種類の4回転を跳べるんですけれども、中には2種類しか跳べない選手もいて。2種類の4回転ジャンプを2回繰り返すことによって、4回のジャンプのうち2種類のジャンプしか跳んでいないことになります。それもまたバランス的にはよくないんじゃないかと。選手には大変な負担だと思うんですけれど、4回転でもいろんな種類の4回転を跳ぶ、もしくは4回転に偏らなくても完成度の高いトリプルでもいいんじゃないかっていうことで、数に制限をかけてバランスをよくしたいっていう意図があります。

小塚:ISUとしては「なるべくいろんな種類のジャンプをまんべんなくいろんなところで跳んでください」というような意図があるってことなんですね。

岡部:はい、そのとおりです。完成度の高い演技をすることによってGOEを+5までもらえると、今まで以上に高い点数を得ることになるんですね。ですので、完成されたジャンプをしてくる可能性が高い、つまり失敗するリスクのあるジャンプはある程度入れてこないのではないか。ということは、それだけきちんとできているものを試合に入れてくるので、少しケガのリスクは減るかなというふうには考えています。

GOE 7段階→ -5~+5の11段階に

小塚:ではGOEの話をしていきたいと思います。GOEというものは「出来栄え点」なんですけれども。

岡部:はい。「Grade Of Execution(グレード・オブ・エクスキューション)」の略ですね。

小塚:これが、去年までは-3から+3までの7段階でしたよね?

岡部:今年からは、-5から+5の11段階になりました。

小塚:0も含めて11段階ですね。これによって、基礎点が少し下がったっていう話が先ほどありましたけれども、GOEが11段階になったことによって、何かジャンプや得点に影響してくるようなところというのはありますか?

岡部:まず、今まではGOEが1つ増える/減るごとに特別な計算の方法があって「GOEで1が付くと、このジャンプに対してこれだけ点数がアップします/減ります」っていうのがあったんです。けれども今年から始まるこの-5から+5は、基礎点に対して10%ずつ増減があるという。

小塚:なるほど。GOEが+1だと基礎点の10%増、+2だと20%増…っていう感じなんですね。

岡部:はい。で、最高で50%、つまり+5をもらうとその基礎点の1.5倍になります。同じように、マイナスも10%ずつ減っていきますので、-5になることによって50%減、つまり半分の点数になってしまう。半分の点数から1.5倍の点数、ジャンプ1個分まるまる変わってしまう。

小塚:おお~、じゃあずいぶん大きな変化になったんですね。ということは、GOEが7段階から11段階になって、しかも10%ずつ変化することによって、基礎点よりもGOEの点数を取る/引かれることで順位の変動が起こり得るようになったんですね。

岡部:そうですね。つまり、1つ1つのエレメンツでさえも完成度を高くしていくことによってさらに高い点数をもらえるというルールに変更したっていうのが、大きなポイントだと思います。例えば、転倒をしてしまうとか、両足で着氷してしまう、ステップアウトする、ダウングレードしてしまうといったような大きなミス/エラーをしたときには、GOEでは+2からしかスタートできないんですね。ジャッジが点数を出すときには、GOEについてはまずプラスの面を見てそこからマイナスのところを見ていくので、いろいろGOEのガイドラインに出ていますけれども、+3からスタートできるものであっても転倒することによって+2からしかスタートできないという。

小塚:うーん、なるほど。いろいろ要素を見ていって、まあ難しいステップ/入りから入っていったりとか流れだったりとかそういうものを見て「ああこれだったら+4や+3がつけられるな」というふうに思ったとしても、転倒やステップアウト、ダウングレードとかがある場合には、これは+2より上には上がらないということですね。

岡部:はい。最初のスタートが+2。で、そこから例えば(重大エラーに対して)-5をすることによって、結果的には-3になってしまう。そこも今までの考え方とちょっと違うところですね。

基礎点の変更

小塚:4回転の基礎点っていうのも変わったと聞いているのですが。

岡部:4回転だけではなくて、いろんなものの基礎点が変わりました。4回転の基礎点は少し低くなりました。この変更の大きな意味合いの裏側には、ジャンプというかテクニカル重視ではなく、やっぱりコンポーネンツとテクニカルとのバランスがいいものを目指す。つまり私たちは、コンポーネンツが50%でテクニカルが50%というものがバランスがいいと考えているんですね。しかし、ネイサン選手のようなトップ選手がものすごい数の4回転を入れてくると、テクニカルが55%でコンポーネンツが45%という感じで、少しバランスが悪くなるんです。

小塚:フリーの場合、100点満点とすると…。

岡部: 50-50になればバランスがいいんですけれども、それがちょっと今変わってしまっているということですね。

小塚:どちらかというと技術点のほうが点数が高くなりがちだから、じゃあ技術点のほうを少し抑えたらこの2つのバランスの差が埋まるんじゃないか、っていうことでルール改正をしているというのもあるんですね。

岡部:もしこれがトップ選手じゃなくてずっと下のほうの選手までそうであれば、議論の中には「コンポーネンツのファクターを上げてもいいんじゃないか」っていうふうな話もあったんですけれども、結局これが起こり得るのはたぶんトップ6の選手ぐらいまでなんですね。後はもう、コンポーネンツもテクニカルも同じぐらいか、逆にコンポーネンツが上というケースも出ているので。全員の点数を計算してちゃんとデータを取ったうえで「コンポーネンツのファクターをいじるのはまだ早い」ということになって、それじゃあどうしたらいいかっていうことで、少し4回転や3回転などの基礎点を変えることによってその差をちょっとでも縮めようとするルール改正です。しかし、きちんとやることによって、今まで以上の点数ももらえる、ということです。

小塚:今までよりも点数が取りやすくなった、高い点数になる可能性もあるっていう。

岡部:4回転トウループを見てみると、昨シーズンまでの基礎点自体は10.3、今シーズンからは9.5なので、ちょっと差がありますね。でもGOEで最大+5をもらうと、これまで+3をもらったときよりもっとたくさん点数が入る。失敗したときも同じように、マイナスをもらってしまうことによって、最悪の場合基礎点が単純に半分になってしまうと思っていただければ。

小塚:そうですね、50%減なので半分になってしまう。これまでは3点ぐらい引かれていたというふうに考えると、かなり大きな差になってくるのかなと思いますね。

後半のジャンプボーナスの本数の変更

小塚:後半のジャンプにも改正が。

岡部:はい、そうなんです。このときのネイサン選手のプログラムでは6番から10番までのエレメンツが後半に行われたジャンプで、この5つのジャンプに対して1.1倍のボーナスがもらえたんですが、今年からは後半に行われた最後から3つまでのジャンプエレメンツのみにしかボーナスが付きません。

小塚:ということは、ジャンプが7つになり10番のエレメンツが消えたと考えると、この7番から9番の3つのジャンプにしかボーナスが採用されない。ということは、6番は後半じゃなくなる…?

岡部:ま、後半に入っているのですけれども、ボーナスの対象ではないということですね。まず最初にこのボーナスが付けられたのにはやっぱり理由があって、難しいジャンプを前半に全部持ってきて後半はスピンとステップしかない、という偏ったバランスの悪い演技/プログラムがたくさんあった時代があったんですね。それを見て、後半のジャンプにボーナスを付けることにより、後半にもジャンプを持ってきてバランスがよくなるだろう、というふうにルールを一度改正したんです。

小塚:はい。

岡部:で、それが昨シーズンまであったんですけれども、今度はそれをやはり作戦として考えて、全部後半にジャンプを持ってくればそのすべてに1.1倍のボーナスが付くだろうという選手が増えてきて、逆にバランスが悪いという現象が起きてしまいました。

小塚:後半にばっかりジャンプがいっちゃった、ってことですよね?

岡部:はい。という現象が起きてしまったので、じゃあそれを阻止/緩和するためにはどうしたらいいだろうっていうことで考えられたのが「フリーでは後半の3つ、ショートでは最後に行われたジャンプエレメンツのみにボーナスが付く」というこの改正です。

小塚:じゃあショートも後半に(ジャンプを)3つとも持ってきていたプログラムがあったんですけれども、後半に3つ跳んだとしても、最後の1つしかボーナスが付かなくなったってことですね。

岡部:そうです。で、これは日本から提案した内容です。

小塚:ああ~そうなんですね。

岡部:はい。ある振付師の方がわざわざ私のところにきて「ありがとう、日本がこれを提案してくれて」って。そうすることによって、よりバランスのいいプログラムを見ることができるので。

小塚:すべて「完成度の高い演技」というところに繋がっているわけですね。前に偏っていてもだめだし、後ろに偏っていてもだめだし、全体にバランスよく散りばめられているようなプログラムがいいだろうっていうことですね。

回転不足判定の概念の変更

小塚:あとジャンプで変更点はありますか?

岡部:今までは、アンダーローテーションは4分の1回転「未満」でした。つまり4分の1のライン上に降りてきたときはオッケーだったんです。ところが今年からは、4分の1のラインがだめになりました。

小塚:おっ、あらっ、なるほど(笑)。

岡部:例えばですね、9時きっかりに出社しなきゃいけないとすると、9時に「おはようございます」って入って来た人はもうだめだよっていうことでしょうか(笑)。

小塚:なるほど(笑)。ちょっと余裕を持って出社しなさいよっていう。わかりやすいですね。

岡部:そういった意味では、ちょっと今年は選手にとって厳しいシーズンになるかな~と。

小塚:特に女子ですよね。

岡部:そうですね。でも、ちょっと思い起こしてみると、例えばロングエッジのことを考えてみると、最初のうちはみなさんロングエッジ、ロングエッジって大変だったんですけれども、だんだん跳び分けするようになり、きちんとできるようになってきた。つまり、技術的にレベルアップするっていうことに繋がっていますので、まあそういった意味合いも込めてこの改正に踏み切ることになりました。

小塚:ルールが変わることによって、それを目指して練習をするっていう環境ができて、どんどん環境ができることによって技ができる人が増えていき、全体的にみんな正しい技術になっていく、という意味では、このルール改正っていうのはすごくいい方向に向かっていくのかな~っていうのは感じます。

岡部:はい、そういうふうに願っています(笑)。

コレオ・シークェンス

岡部:コレオ・シークェンスの基礎点が、今まで2.0だったんですけれども、それが3.0に上がりました。さらにはGOEが増すごとに、コレオ・シークェンスだけは10%以上の点数が付いてくることになったんです。

小塚:じゃあ、基礎点に対してプラスになったりマイナスになったりすることによって、より多く点数が稼げるし、逆に点数が引かれちゃうし、っていうことになったんですね?

岡部:はい、そうなんです。我々が考えているのは、コレオ・シークェンスが見ていてよりわくわくするような、おもしろいものを滑って欲しい、というところで。まあときどき見かける選手の中には「コレオ・シークェンスのところで休んでいるのかな~」っていう人がいたりするんですけれども(笑)、そうではなくて「コレオ・シークェンスも頑張ることによってたくさん点数がもらえる」というところを目指しました。

小塚:じゃあ、ジャンプだけじゃなくて、コレオ・シークェンスっていうのが華やかな1つの見どころになる可能性が高いですね。

岡部:はい。

ショート・プログラム

小塚:フリーの話をずっとしてきましたけれども、ショートでは何か変更点はありますか?

岡部:要素的には特別大きな変更は何もないんですけども、1つ変わったのは、これまでは「ソロのジャンプをする前にステップあるいはフリースケーティング動作から直ちに行う」っていう文言がありましたし、小塚さんもやってきたと思うんですけど(笑)。

小塚:コネクティングステップってやつですね?ちっちゃいころからやってきましたね(笑)。

岡部:それが、なくなったんです。

小塚:なくなっちゃったんですか?え~(笑)。

岡部:それをしなくてもよい、と。ただ、それをすることによって、プラスのGOEがもらえるということには繋がっていくんですけれども。今までは、全くしなかった場合はマイナスになってしまうということがあったんですが、それはなくなりました。

小塚:それは、なぜ?

岡部:その部分を忘れてジャンプだけ見てしまって点数を出しているジャッジがいるとかいうことで(笑)。そうであろうという選手側の意図もあったりとかしますけれど、そういうふうな不公平感がちょっと出てきていたので。そうではなくて、それがあったときにはプラスのGOEに働くようにしようではないかということになりました。

小塚:でも今はほんとに選手たちもいろんなステップからジャンプを跳ぶようになっていますし、そこに関しては、このルールが抜けたからといってじゃあステップから跳ばないかといったらそんなこともないですよね。

岡部:そんなこともないと思います。

小塚:やっぱりGOEの高得点を目指していくうえでステップというのは欠かせない1つの要素だと思うし、ショートプログラムに関してはそういった文言が消えたっていうだけで、大きな変更っていうのはないと。まあ後半のジャンプボーナスが1個になったっていうぐらいで、それ以外は大きな変更はそこまでないというふうに考えていいですね?

岡部:はい。

J SPORTS編集部

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