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【フィギュアスケーターのオアシス♪KENJIの部屋】with フィギュアスケート・ラボ ~18/19シーズン予習SP~ 前編
小塚崇彦のフィギュアスケートラボ by J SPORTS 編集部フィギュアスケートファンの“もっと選手の素顔を知りたい!”という熱い想いに応えるべくスタートした、 J SPORTSの名物番組「フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋」。
10月は、小塚崇彦さん、中庭健介さん、岡崎真さんをゲストに迎えた“シーズン予習SP”を放送! プロの視点から、今シーズンの主なルール変更点などを分かりやすく解説してくれています!
今シーズンのルール改正
——えーと、早速予習していきたいと思うんですけど
小塚:先生が酔っぱらう前にね(笑)。
——酔ってへんし(笑)。あの、今年また大きくルール改正があったんですけれども、そのへんどうですか?
岡崎:僕にとっては、GOE(出来栄え点)がプラス5からマイナス5の11段階になって、すごく得点に大きく左右しそうだなっていうのが一番の変更点かなと感じています。
——なるほど。健ちゃんはどうですか?
中庭:僕はやっぱり男子選手だったこともあって、男子のフリーの時間の変更です。選手からも「結構きつい」とか「大変だ」とか聞くので、そこがちょっと大きいかなと思います。
小塚:それに伴ってジャンプの数が1つ減っているので「ちょっと楽になるのかな」と思いきや、なんとなく噂で聞こえてくるのは「(4分30秒から)4分になってやっぱりきつくなった」って。
——ぎゅっと詰めないといけないからな
小塚:そこらへんね、賢二先生、やっぱり振り付けしてるから。
——それよりも、去年やったものをそのまま使おうとしていた子が今年使えないから、どこをどう切ろうかっていうのがね。やっぱり好きなものをやってるから、どこを切ろうかが難しいなっていうのがね
岡崎:1本のジャンプでは30秒かかんないしね。
——かかんない。15秒ぐらい
今シーズンの主なルール変更点・ジャンプ
——まずは、カテゴリーごとにルール改正をチェックしたいと思うんですけど。ジャンプのほうは、どういうふうに規定改正されたの?
岡崎:男子に関しては、女子に合わせて(フリーの時間が)30秒短くなっていて、ジャンプの本数が8本あったものが7本に減ったので、普通に考えたらジャンプ1本分の基礎点が減ることにはなるんだけれども。まあそれがどういうふうに点数に左右してくるのかなっていうのが、ちょっと興味深くはあります。
——ジャンプ1本違ったらだいぶ違いますもんね。緊張感も1本分違うし
岡崎:構成もちょっと変わってきますよね。「ジャンプ1本ないから、繰り返しをどうしようかな」とか。
中庭:特に、コンビネーションの数はそのまま据え置きだから、ジャンプの7分の3はコンビネーションということになるので、コンビネーションをどう跳べるかっていう。後ろにループが跳べたりとか、そういうのはすごく重要になってくるんじゃないかなと思います。
——しかもジャンプが1本減ったけれども、(GOEは)さっきおっしゃってた11段階になりました。あれ、どうなんですか?最初聞いたとき、マイナス5っていうのはとんでもない転び方なのかなっていうイメージが。もう立ち直れへんぐらいの(笑)
岡崎:自分も最初は、ダウングレードして、軸が曲がっていて、さらに転倒して、合算してマイナス5なのかなと思ってたら、転倒が一発でマイナス5。
——ただ転倒するだけでマイナス5!
小塚:マイナス5だと、点数は確か50%減ですよね?
中庭:そうそう、わかりやすいですよね。(1段階10%の増減なので)例えばマイナス3だと30%減。
——前半・後半のジャンプも、ね?
岡崎:フリーは最後から3本、ショートは最後の1本だけが1.1倍(のボーナス)。きっと、ザギトワさんがルール変えたんでしょうね。
——ま、そういうことでしょうね
岡崎:あれはあれでアリだったかなと思うけど、ちょっとやっぱりあからさますぎたように思われてしまったところもあって。ウェルバランスが良くないっていうふうに。
小塚:最初、(ジャンプを)後半に全部入れるっていうのを聞いたときに「そんなんできるの?」って思ったけど、結局やりきって、オリンピックで優勝しちゃいましたからね。
——僕は振り付けしていて思ったのは、前まではダブルアクセルとかを一番最後にするのが多かったけど、今はコンビネーションを最後にするっていうのが多くなったよね。だからジャンプの構成は変えないとっていう意識がね
岡崎:あとは、回転不足について。今まで、ダウングレードとアンダーローテーションの回転不足のボーダーラインが2分の1で、アンダーローテーションとセーフなもの(回転認定)のボーダーラインが4分の1でした。で、去年まではその4分の1のラインというところが、4分の1「以内」の場合はセーフ、4分の1「より大きい」場合はアンダー(ローテーション)だったのが、今年からは4分の1ジャストはアンダーに入るようになりました。だから今までは「うーん、いいか、許してあげよう」っていうボーダーラインのところで降りていた子が、今年からはアンダー判定になっちゃうので。
——ばっさり!
岡崎:ばっさり。
——だいぶ厳しくなりましたね
岡崎:ほんと、ぴったり4分の1っていうところだから、そんなのめったになさそうなんだけれど、意外とね。
中庭:ありますね。
岡崎:僕たちがスペシャリストとして判定するときに、「ああどっちだろう?」と思ったときにはまあ救うと思うんだけど、「ああ4分の1じゃん」って思っちゃったらやっぱりアウトと判定してしまうのかなというところで、ちょっと大きく左右されそうかな~と。
——でも前は、バシっと降りる子が「すごいね」ってそんなに言われなかったから。これで逆にバシっと降りる子が点数が高くなるっていうね
小塚:もしかしたら、今はちょっと選手にとっては辛いかもしれないけれど、将来的に見たら、このルールのおかげできっちりと回りきって降りてくる選手が増えるかもしれないですよね。
中庭:今までは選手にとってチャレンジというか、フリーの最初のほうには、確率は悪いんだけどやっぱり基礎点ももらえるしトリプルを挑ませようって思っていたのが、これからはやっぱりGOEのこともありますし回転不足の判定が厳しくなったっていうことで、確実性のあるものをできるだけ跳ぶっていうふうにプログラム構成ごと変えないといけないようなルール変更になります。
——うんうん
中庭:跳べるトリプルの種類は少ないんだけれど、1本ずつがクリアで成功率が高い選手のほうが、点数が伸びやすいかなと。そこはコーチとしてはせめぎ合いですね。将来のことも考えてトリプルルッツを入れたいって思っていても、やっぱりそのせいで点数を失ってしまうとその選手の成績が下がる。こういうところのせめぎ合いは、今シーズンはすごくあるなって思いますね。
——そうやろうね。挑戦させることも大切やけど、確実に点数を取るっていうのもね、コーチの役割やもんね
小塚:ハーフループの表記、変わりましたよね。去年まではシングルループだったのがね。
岡崎:オイラー(笑)。
——誰?誰?(笑)
岡崎:英語ではユーラーって言うのかな?カナダやアメリカといった北米では通常「ハーフループ」って言うんだけけれども、バックアウトで降りて1回転してバックインで降りるので、まぁ1回転しているのに「ハーフ」って言うところにヨーロッパ系の人たちはちょっと納得がいかなかったようで。
全員:ははは(笑)
岡崎:それで、今までは「ハーフループ」なのに表記は「シングルループ」ってなってたんだけれども、ループじゃないしな~みたいな。でも、「シングルハーフループ」って言うとまた語弊があるでしょ?ハーフなのに。で、「オイラー」になりました。大文字のEに小文字のuで「Eu」です。ジャンプとジャンプに挟まれているのがルールなので、「ダブルアクセル、シングルオイラー、トリプルサルコー」という感じで、3連続の間で繋ぐ、例えば右足から左足に換えて1回転っていうようなときに、初めてオイラーと呼ばれます。
——シングルオイラー!
岡崎:そう、オイラー。だから表記も変わるので、きっとファンの方とかも「え?」って思われると思うんですけど。
——ねえ、全然聞き慣れない(笑)。じゃ、4回転のやつは?
岡崎:繰り返しがね。去年までは、フリーでは4回転を含めたトリプル以上2種類を2回ずつ繰り返せたんだけど、今年からは4回転(の繰り返し)は1種類のみ。
中庭:例えば、去年は「4回転トウループ2回、4回転サルコウ2回」の4回転4発を構成する選手が結構いらっしゃったんですけれど、今年からはそれができなくなりましたっていう。
——今年からは1個ずつ
中庭:はい。だから、4回転トウループを2回やった場合は、もう他の種類の4回転は繰り返せないので、4回転を4つ入れたかったら3種類の4回転が跳べないといけないという構成になりますね。
——すごっ!
岡崎:だから4回転だけに関して言えば、種類を持っている選手が有利です。
——かなり有利ですよね
中庭:世界の男子のトップ争いとしては、そこに注目ですよね。
——では、ジャンプの基礎点は?
岡崎:変わらないものもあるんだけれども、4回転なんかはほぼ減ってるよね。
小塚:さっきGOEの話もしましたけれど、まあGOEは高くまで点数が上がるようになったものの、基礎点は下がってますよね。GOEで、これまでのプラス3を取った場合と、これからのプラス5を取った場合は、えっと、どうなるんでしたっけ?
岡崎:これからのプラス5を取ったほうがちょっと高いんじゃないのかな。すごくは変わらないと思うけど。難しくなって基礎点が高ければ高いほど付加価値も高くなるわけでしょ?クワトルルッツとかって元々の基礎点が高くて、(GOEでプラス5を取った場合は)さらにその点数の50%が加算されるわけだから。ほんと、ハイリスク・ハイリターンがさらに強くなった印象があるかなと。
中庭:ただ、2試合ほどコーチとして(新ルールを)経験させてもらったんですが、やっぱり大きかったのが、簡単なジャンプでもきちんと加点をもらったら「あ、この子ここまで点数が出るんだ」っていうことはありましたね。逆に言うと、やっぱりミスが多い選手は「ああ、こうなっちゃうんだ」って。明らかに去年と違いが出ていましたね。
小塚:ジャンプシークエンスについては?
岡崎:定義そのものが変わりました。元々のジャンプシークエンスは、①いくつのジャンプによって構成されてもよい、②ホップなどで繋がれている、③行ったジャンプの中からバリューの高い2本を得点とする、というのが定義でした。でも今年からは、①ジャンプ2本によって構成されるもの、②何かしらのジャンプを降りたあと直ちにアクセルの踏み込みエッジに足を踏み換えて行うもの、になりました。だから間にホップとかも入っちゃダメなんですよ。
——へぇ~
岡崎:何か(のジャンプ)を降りて、そのままフォワードで滑れて、アクセルを跳ぶものだけがシークエンスとして認定されます。だから「ダブルアクセル、シングルオイラー、足踏み換えてトウループ」とかっていうのは、去年までは「ダブルアクセル、シングルループ、トリプルトウループ」でシークエンス、そしてダブルアクセルとトリプルトウループの点数を足したものの80%が得点となっていたけれど、今年からはそういうシークエンスがもう定義を満たさなくなるので。
——なるほど。じゃ、(ジャンプシークエンスのジャンプは)2本
岡崎:2本。で、セカンドジャンプがアクセル限定。ホップなし。
今シーズンの主なルール変更点・スピン
——スピンに関してはどうなんでしょうかね
岡崎:難しいバリエーションがあるでしょ?カテゴリーがありまして、そのうちひとつだけ「シットサイドウェイズ」というのがあって。通称「ブロークン・レッグ」、フリーレッグが横にあるスピンです。フリーレッグが横にさえあれば、体重の分布が変わるので難しいバリエーションとして成立していたんですけど、なぜか今シーズンからは、それだけだと難しくないので上半身による付加価値を求めるようになりました。
——ふーむ
岡崎:例えば、身体をひねるとか、倒すとか、上を見上げるとか。あと、フリーレッグを遠くに伸ばすとか。足もね、上半身だけじゃないもんね。体重の分布をより難しくしたり、柔軟性を伴ったり、力強さを伴ったりっていうのがなければ、バリエーションとして満たさないっていう変更があって。ほんと、このカテゴリーだけちょっと厳しくなっちゃいました。
——じゃあこれからはいろんな形が見れるってことですよね
岡崎:まあ確かに、選手たちにやってもらって「実際どう?」って尋ねたら「そっちの方がしんどいです」って言うので、やっぱり難しいんだなあと。
——フリーレッグと反対の方向に上半身倒すと面白そうよね
岡崎:ああ、そういうのも見たことなかったですね。
中庭:女子選手は結構柔軟性が高いので新しい変更に対応できるんですけど、男子選手ってこう…まあ先生はわかると思うんですけど。
——うん(深く頷く)
中庭:男子って女の子座りができないじゃないですか?だから、あれだけでも十分難しいんですよ、男子にとっては。その上で、上半身をひねって上を向けなんて、もはやちょっともう(笑)。だから男子選手は、難しいバリエーションじゃないとシットは8回転が取れないから、今までシットサイドで8回転ばーっと回っていたのも、使えなくなるので。
岡崎:両方で落ちちゃうもんね。
中庭:そう。男子選手は結構きついですよね。
岡崎:もう1個あるんです、コアな感じなんですけど。スピンの横にちらっと「V」っていう記号が付く時があるんですけど(例:CCoSp3V)、ご存じですか?
——あれ、何なんですか?
岡崎:昨シーズンまでは2つ要件がありまして。まず1つめは、ちょっとまたいじゃったり、我々がときどき「フライングちょっと」って言うやつ、浮いたか浮いていないかわからないような、ちびっこがよくやるやつですけど(笑)。ああいう場合に「フライングシットスピン、レベル〇、V」って付くんですよ。2つめは、スピンコンビネーション。スピンの基本姿勢は、キャメル、シット、アップライトのだいたい3つなんですけど、そのうちの2つしか基本姿勢がなくてもスピンコンビネーションとしては成立するんですよね。だけど、3姿勢あるよりも点数が低いからバリューがちょっと下がるよって意味で「V」が付いていたんです。
——うんうん
岡崎:今シーズンはさらにあと2つ要件が増えまして。3つめの要件、これはフリー限定なんですけど、例えば1ポジションのスピンでシットの足換え。左足でシットに入りました、十分にシット姿勢があります、右足に換えました、シットをやっているつもりなんだけれどもずっと腰が高いです、でも回転はしています、という場合。
——はい
岡崎:ショートでは両方の足にシットがあるのが前提だから、これはシットの足換えとしてそもそも成立していないのでノーバリューなんですね。でもフリーでは、一応足は換えているし前の足の点数は残そうかってことで「シットスピンの足換えあり」で「V」を付ける。つまり、後半はシットとしてみなさない分ちょっと点数は減りますよっていうことです。で、前の足でバリエーションをやって8回転しましたよ、とかっていうときは、「チェンジシットスピンのレベル2」で「V」。
——Vは何のVなんですか?
岡崎:足換えあるスピンで「こっちの足には姿勢があるけれどもあっちの足にはないよ、その分バリューを減らしますよ」のVなんです。だから減点のVなんですよ。
——ああ、バリュー(Value)のVか。ビクトリー(Victory)じゃなくてね(笑)
岡崎: 4つめの要件、これもフリー限定なんですけど。足換えのあるスピンって、足換え前の足と後の足に3周以上ないと、足換えスピンとしてそもそも成立しないんです。例えば、左足でうまくいって6周とか8周回ったけれど、右足に換えて2周ぐらいしか回れなくて失敗しましたっていうとき、去年までは最初の足しか考慮していなかったんです。でも今年からは、一応足換えがあるものとして考慮して、「V」を付けて点数を減らすってことになりました。一応足換えを試みたから。
——じゃあまあ救済っていうね
岡崎:救済のほうには進んでるのかなあ。ただ、これはフリー限定なので、ショートで今のような失敗をしたら、問答無用でノーバリューです。
今シーズンの主なルール変更点・ステップ
小塚:続きまして。ジャンプ、スピンときたら、次はステップです。
岡崎:ステップに関してはそんなに変更点はなくて。コリオも、認定するにあたっての変更点はさほどないのですが、基礎点が上がっています。あと、ジャンプ、スピン、ステップに関してはGOEが1だと10%、2だと20%というように(1段階の増減が)10%刻みなのが、コリオに関してだけはそれを上回り(1段階の増減が)0.5点刻みとなります。だから、基礎点が3点で、例えばプラス5を取ると2.5が加わって5.5となりトリプルフリップ以上の点数が付くし、逆にマイナス5を取っちゃったら0.5となりシングルジャンプ1本分、みたいな。
——なんかちょっと、なんちゅうの?今までコリオは「武器じゃない」みたいな感じのところもあったよね
中庭:優先順位はちょっと低かったですよね。
——ちょっと低かったけれども、これからはちゃんと曲を聴いて流れに乗ってやらないとっていう。まあ作る方としてはすごく大事なもんだから
中庭:逆の発想もありましたよね。中には「コリオ要らないんじゃないか、ステップシークエンスがあるから」っていうのも。でも、やっぱりいい人のコリオを見たときに、「これは外したくない」って思わせる人も何人もいらっしゃいますので。
岡崎:みんなでそこを目指しましょうっていう改正なのかなと思います。
——コリオ作ると結構楽しいんですよね。自由だから。なんでもいいっていう
全員:ああ、確かに。
——だからそのためにも得意なものは練習しておいて欲しい。あと、自分がよく言うのは、やらなくてもいい要素、例えばバレエジャンプとか、イナバウアーやスパイラルもそうでしょうけど、「やらなくてもいい」んじゃなくて「やっといたほうがいい」ってね。スケーターなんだから、(振り付けに)入れなくてもできたほうがいい。やっぱり女子はスパイラルを、男子はイーグルを練習しておいてほしい。バレエジャンプも、ロシアン(バレエ)のほうを男子もやっておいてほしい。入れるか入れないかはわからないけど
全員:うんうん
——なんかそれって寂しくないですか?
岡崎:できないと入れられないですからね。確かにそういうことに練習時間を費やすことが少なくなってしまって。やることが多くなりすぎて遊びがないというか。
——そうなんですよね。だからコリオで、例えば激しい音だったら「あなたはバレエジャンプやりなさい、もしも試合前までにできなかったら変える」と。「それまでは一生懸命やりなさい」っていうふうに作ってる感じ
小塚:まあコリオって大事になったので、それだけ時間をかけると思うんですけれども。とはいえ、男子の場合フリーの時間が短くなってるじゃないですか。そこらへんのバランスってどう考えていますか?
——どうなんでしょうね。かといって、これまで4分半だったけど休み時間があったかっていうのはまた違う話だと思うし
岡崎:時間をかけたらかけただけプラスが増えるっていう考え方も、違うような気がするし。シークエンスの語源って、我々は英語がネイティブではないのでなんとなく「連続するもの」というイメージで、1つのムーブメントでは成立しないんじゃないのかって。例えば、スパイラルで1個ぶわーっとすばらしいのをやってもコリオシークエンスとしては成り立つの?みたいなのがあって。
全員:うん
岡崎:今年1月、平昌オリンピックの前にヨーロッパ選手権へ行かせてもらったときに、事前にミニセミナーっていって、セミナーに行かなくてもいい代わりにミーティングがてらプレゼンするみたいなのがあったんですよ。そのときに質問したんです。コリオ(シークエンス)ってあるけれども、語源的に、例えば2つのスパイラルとか、スパイラルとイーグルとか、ジャンプシークエンスみたいに(複数が)組み合わさっていないとダメなんじゃないですか?って。でもネイティブの人からすると、ムーブメントとして継続性がある動き、例えば1つのスパイラルや1つのイーグルでもぶわーっと音を表現して続いている動きがあるのならば、それはそれでシークエンスとして成り立つんじゃないかと。
全員:ふーん。
岡崎:音をどれだけ表現しているか、それを自分で演技としてどれだけ投影しているかってところが大事なんじゃないかと。あまりにも(動きの)サイズが小さかったり「やってないじゃないか」っみたいなのだと困るけどって。
岡崎:我々テクニカルパネルからすると、(そういう動きは)レベルが付かないので、コンファームするかしないかだけの話なんですね。あとはジャッジ頼り。そうなったときに、プラス項目・マイナス項目の中にも、プログラムのコンセプトやキャラクターをすごく生かしたものならプラスして、音に合ってないとか何をやっているかわからないみたいなものはマイナスするっていうのが新たに増えているので。その分GOEの幅もちょっと広げて、基礎点も上げてね。「ただやっつけ仕事でなんかやってりゃいいんだ、点数付くから。レベルも付かないし」みたいなのは見たくないよねっていうことで、大きな改正に出たのかなと思います。内容は一緒なんだけれど、スケーターにはもうちょっとその点に重きを置いてほしいというか。言ったら「見せ場」みたいなの。
——曲のね
小塚:プラスアルファですよね、その選手の。この選手だったらこれっていうようなものがひとつあるとね、コリオシークエンスって作りやすいのかな、と。
J SPORTS 編集部
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