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フィギュア スケート コラム 2017年12月19日

フィギュアスケーターのオアシス♪ KENJIの部屋 【with フィギュアスケート・ラボ ~17/18シーズン予習SP~】 完全版_前編

小塚崇彦のフィギュアスケートラボ by J SPORTS 編集部
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スポーツテレビ局J SPORTSの人気番組「フィギュアスケーターのオアシス♪KENJIの部屋」2017/2018シーズン!日本選手はもちろん、海外選手のプログラムも多数手掛ける振付師・宮本賢二さん(KENJI)が、ゲストを迎えて、楽しく、真剣にトークを繰り広げます!

今回は2010年の全日本王者で「フィギュアスケート・ラボ」MCでもおなじみの小塚崇彦さん、現役時代は4回転ジャンパーとして活躍し現在はコーチの中庭健介さん、ISU(国際スケート連盟)のテクニカルスペシャリストとして数々の国際大会で技術審判を務める岡崎真さんをゲストに迎え、五輪シーズンの今季のルール変更のポイントや見どころ、日本選手のライバルとなる各国注目選手について、元選手、コーチ、審判、そして振付師の視点で語り合います。

今シーズンの主なルール変更点・ジャンプ

——今シーズン、いくつかルールが変更されました

小塚:はい、ジャンプからお願いしたいと思うんですけども。

岡崎:大きな変更はないんですけれども、ちょっと二点ほどGOEに関わるところで変更がございまして。まず一つは、ショートの内容でステップからとかフリースケーティング動作から直ちに行うジャンプってのがあるでしょう。で、そのGOEのプラス要素の中に、このステップからだったらプラスがもらえるよ、みたいなものがあったんだけれども、ショートのそれってマストなわけでしょ。ただ無条件でやったのになんかプラスがついてるとなったらおかしいよねっていう話になって。去年から難しいという形容詞がついたんですよね。ショートのそれに限っては、やってるんだけれどもそれが難しいとみなされるものであれば、プラスを与えなさい。

小塚:ただのステップではだめ。

岡崎:そう。それで一年やってみて、じゃ難しいってどこで判断するのか。だいたい難易度見るのって我々テクニカルパネルの仕事じゃないですか。ジャッジはその質を見たりとかコンポーネンツ見たりとかする立場なので、じゃあどれをもって難しいとするかちょっと曖昧でわからないということで、表現が例えば独創的だとか、曲に合ってるのかとかそういうものの、ステップから行われたものに対してプラスを付けなさいよ、というところがちょっと変わっているのかなっていう今年は。どちらかと言うとジャッジの方なんですよね。

小塚:元々ルールに入っているものをやって、プラスになるっていうのはちょっとね。まあ不思議ではある。

元全日本王者 小塚崇彦

——なんかフワッとしてましたもんね

小塚:そこら辺をもうちょっとキチッと明確にしたってことですね。

岡崎:もう一つは、コンビネーションジャンプをショートでやらなきゃいけないっていう要件があるでしょ。それが例えば第一ジャンプで失敗しちゃいましたって時に、単独ジャンプなんだけどプラスコンボという記号が付いて、コンビネーション扱いになる。その場合はマイナス3必ずしなさいよっていう風に限定されてたんですけど、例えばシニアの女子とかって、トリプルダブルかトリプルトリプルじゃないといけないわけで、失敗してトリプルシングルとかになることがあるでしょ。だけどコンビネーションとしては成立しているから、マイナス3にしなくてもいいという解釈も去年まではできてたの。なんだけど今年は、その要件に満たないものをやった段階で最終マイナス3にしなさいと。だからトリプルトゥプラスコンボはもちろんだめなんだけれども、トリプルトゥシングルとになってたり、あとはまあダブルトゥダブルトゥもだめですよね、1つ必ずトリプルでないといけないので。コンビネーションとして成立していても、そのシニア女子なら例えばそのショートプログラムに必要なコンビネーションの要件を満たしていなかったらもう、マイナス3にしなさいよと、いかに質が良いもの跳んでたとしても。というのが今年から変わったところかなと思います。

今シーズンの主なルール変更点・ハーフループ、スピン

岡崎:ハーフループもね、ちょっと今回いろいろ変わったのがあって。三連続ジャンプの間に挟んで使うじゃないですか。先シーズン、ハーフループから始めてハーフループ・トリプルサルコウをやった選手がいて。でもそのハーフループは、コールすべきでないんじゃないかって、トランジション。でちょっとすったもんだがあって、それがだからコンビネーション扱いになっちゃって、コンビネーションが四つになって、結構本来残るべきところが残らなかったから。ハーフループはトランジションでやったらリストにないジャンプで無視しなさいよって前提があるのに、ジャンプになるとシングルループの点数を盛ったりするでしょう。

岡崎:ちょっとなんか特別扱いされている感じがあって、だから今年は本当にそのジャンプとジャンプの間に挟まれた時にだけ、シングルループの価値を持つよって風にちょっと変わったんで、原則として。なのでさっき言ったハーフループ、トリプルサルコウをやった場合は挟まれていないので、トリプルサルコウの青ロジャンプ扱い。例えばダブルアクセルやりました、ハーフループやりました。あ、俺これサルコウ跳ばれへんわってそこでやめちゃっても、結局跳んでないから挟まれてないので、ダブルアクセルのみ。で一応のちのちのジャンプでもう一回そのコンビネーションをやり直す機会があると。

——失敗をしてしまって、止まって降りた形をしてしまった時にはプラスになるんですか?マイナスになるんですかね

岡崎:その辺のジャッジのGOEの付け方がどうするんだろうなっていうのが謎ではある。我々のテクニカルパネルの仕事としては、一応挟まれてないと基本的にコールしないという原則ができてしまったので。

小塚:去年誰かいましたよね。

中庭:名前を挙げると、フランスのシニア女子のルカヴァリエ選手。僕もその映像を見たんですけど、きれいなハーフループやってトリプルサルコウをスパーンって降りる。その件ですね。

小塚:じゃあ今年からは、それはもうステップからジャンプを跳んだっていう風になる?

中庭:そうそう、ほんとにサルコウのみ。

——また意地悪なあれなんですけど、じゃあループしようとしてパンクしてしまったものを、空中でハッと思って左足バックインで降りて、でもう一回ループやったろってなった時は?

コーチ 中庭健介

岡崎:狙ったハーフループなのか失敗してそうなってしまったのかって我々見たらわかるので。三連続の場合はもう完全に狙ったハーフループでしょ。例えばダブルアクセルトリプルループやろうとした、トリプルループが結果的にハーフループになっちゃったという場合は、そのハーフループはコールするかな。そのあとサルコウと繋げばもちろんコールするし。明らかにでもこれはループのパンクでしょうっていう風に見えたら、ハーフループじゃないので。それか狙ったものでね、ハーフループ・ハーフループ・ハーフループで足変えたりしながらやってたら、振り付けの一環だなって考えるので別に無視するけど。

小塚:まあジャンプのつなぎで入れることがほとんどですね。

——ハーフループって言わないんですね?

岡崎:ヨーロッパの方は”オイラー”って。

——じゃあ、次の変更点

小塚:スピンです。

岡崎:これもレベル取るにあたってはさほど。中庭先生もスペシャリストされているんで、さほどレベルを取ることに関しての変更っていうか。あとはあるのはあるんですけど、あまり説明するとちょっとマニアックになりすぎるので(笑)。で、ちょっとこっちもGOEの方なんですけれども、ジャッジがマイナス減点する方の側で、足替えのあるスピン。左右の足の回転のバランスが悪いものに対してマイナスしなさい。例えば片方の足は八周回っているのに、もう片方の足は三周しか回ってないよとかいう場合には、明らかにバランス悪いですよね。一応ルールとしては片足ずつ三周あれば、成り立つルールにはなってるんです。なんですけど、ぎりぎりその三周でなんとかその足代えスピンとして成立をしているけれどもってものに関して、減点しなさいよと、明らかに左右のバランスが悪いので。なんですけど、ひとつ疑問に思ってるのが、例えばすごくすばらしいスピンで、左足10周回りました、右足30周回りました、バランス悪いでしょ?

——それどうなんですかね(笑)

岡崎:ジャッジの人に聞きたいなあと思って。

——めちゃくちゃ速くて、もう全然ブレなくて

岡崎:そうそうそう、すばらしいのに、でも確かにバランスは悪いでしょそれって。でもそれで聞く人バカじゃないぐらいの感じでたぶん、その一般常識的に考えてっていうところはまず前提にあると思うんですけれども。なんかそれでひかれちゃったりしたら、バカみたいだよねって(笑)。

——その辺明確にしてほしいですね

ISUテクニカルスペシャリスト 岡崎真

今シーズンの主な変更点・PCS

小塚:PCSについて変更点、お願いします。

岡崎:明確化されたのは、転倒とかの重大なエラーがあった時に、どの項目に関しても十点満点を付けてはいけないとか、つけるべきではないという一文が出まして。そう言われたらそうだよなと。失敗があったとしても素晴らしいものは素晴らしいけど、やっぱり十点満点って満点なので、ほぼ完全無欠に近いものではないといけないと思うんですうよね。そんな時に大きな失敗をしてるのに与えていいものなのかっていうところはちょっと物議を醸したらしく。

小塚:転倒したのに、プログラムコンポーネンツに十点出てしまう場合があった?

岡崎:今まであったような気がします。だから総合的にはその点数としては出てないかもしれないけれども、つけてるジャッジが中にはいたというケースはあったので、過去。それがもう一切できなくなったのかなと、これで。でもここはいいんじゃないかっていうのがたぶんあったんだろうけど、でもやっぱその失敗していることによってその五項目すべて、スケーティングスキルからインタープリテーションまで五項目すべて何かしら、ちょっとその少し下がっている部分が絶対見られるでしょ、ってことで。

——転倒っていうのも難しいですもんね。手をついても転倒にはならない?

岡崎:ついただけでは。転倒にも定義があるので。これは転倒かどうかっていうのもちょっとモメるケースとかあって。あのパネルに三人の多数決で決めるので。

——でも、まあちゃんと見てはるので。コケそうになったら演技なのかどうなのかっていうのも、もちろん曲の解釈にもよるでしょうけど。そのへんは明確にしてもらったらいいですよね。

今シーズンのみどころ

——以上の変更点をふまえて、今までとどこが違う、今シーズンのみどころになるでしょうか

岡崎:ルール改正って大きな変更はだいたい二年に一回って決まりがあって、で今年はオリンピックシーズンのところもあって、ちょっとそんなに大きなものではなく小さなこまごまとした変更にとどまっているんだけれども。字面で見ると大したことないのかなあって思うけど、実際試合の現場に行ってそれを踏まえて判定がなされた時に、例えばさっきのクラスターもその保険が効いててレベル4が結構たくさん取れてた選手が、一発勝負みたいな時にわりと取りこぼしたりってのが出てくるのかなとか。なんかわりとちょこちょこ選手にすごく影響を及ぼしてくるんじゃないのかなという気はしますね。

——そうですね。すごい綺麗にできたけども、やっぱりちゃんと取れてないと点数は低いし、そこはちゃんとこう理解して応援していきたいですよね

小塚:より細かくなるのかなという、シーズン経るごとにちょっとずつルールも明確化されてくるし。そういったところは昨シーズンよりも今シーズン、来シーズンどんどん変更されていったりとか。わかりやすくなるっていうか、それぞれが理解しやすくはなっているのかなと思いますね。

——コーチ目線ではどうですか?

中庭:プログラムコンポーネンツの十点の話が出たけど、あそこってすごいごく限られた選手のケースが多いんですけど、逆に言うと僕らの抱えている選手も、重大な失敗があるのに関しては十点とかそういう次元じゃないですけども、もう少し低い次元ではプログラムコンポーネンツに与える影響というのは必ずしも出てくると思うので、より完成されたミスの少ない演技を構成から考え直して、試合に送り出すという準備はしないといけないなあってのは感じましたね。

——そうやね。すぐできるもんじゃないしね

小塚:賢二先生、振付師として。

——振付師としてはやっぱり、そのルールをさっきのスピンであったりジャンプのことであったり、ステップのコースであったりを把握しておけば、安心して自信を持って選手に、コーチにそのプログラムを渡せることになるので、しっかりちゃんと把握はしておきたいと思います。点数が高いということは、コーチのレッスンであったり、本人の練習であったり、そのプログラムが完成しているものだなっていうのを見てる人にわかってもらえるように。ただ綺麗じゃなくて、すべて計算しつくしたプログラムっていうのが見れたらって感じがします

J SPORTS編集部

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