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フィギュア スケート コラム 2013年2月25日

プログラムの振付の重要性

フィギュア通信 by 田村 明子
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プログラムの振付というものが、今ほど注目された時代はないかもしれない。選手が本人の良さを最大限に引き立てるプログラムにめぐり合うとき、スケーターとしての評価がぐっと上がる。

一昔前で言えば、15歳のミッシェル・クワンに世界タイトルをもたらした「サロメ」、アレクセイ・ヤグディンがセンセーショナルなイメージチェンジをはかった「アラビアのロレンス」、さらに2005年に高橋大輔が初のスケートアメリカタイトルを取った、ラフマニノフ「ピアノ協奏曲2番」なども、忘れられない名プログラムである。たとえトップクラスでも、このようなプログラムにめぐり合えないまま競技人生を終える選手も多い中で、こうした人々の記憶に残る名プログラムは、フィギュア史上にキラキラ光る宝石のような存在だ。

今シーズンに限っていうなら、羽生結弦のSP「パリの散歩道」が良い例だろう。振付は2008年世界チャンピオンのジェフリー・バトル。洗練された滑りを見せていたバトルらしく、ゲリー・ムーアのギターの音色を使って、一味違ったお洒落な作品に仕上げた。まだ高校生の羽生は体全体を大きく使ってそれをよく滑りこなし、スケートアメリカ、そしてNHK杯と、SPの歴代最高点を更新してきた。

また浅田真央のSP、「アイガット・リズム」もスランプに陥っていた彼女を再生させた、名プログラムである。振付師のローリー・ニコルは「マオに滑る喜びをもう一度見つけさせてあげたかったので、リンクでかけるたびに元気が出る音楽を選んだ」と言う。彼女が本来持っていた、スケートに対する純粋な愛情と喜びを生き生きと表現させた作品で、大阪の四大陸選手権では、このプログラムで初めて3アクセルを取り入れて、今シーズン女子の最高SP点を叩き出した。

その一方で、今シーズン、プログラムで試行錯誤しているのは高橋大輔である。初のGPファイナルタイトルを手にして、決して全体的に悪いシーズンではないのだが、全日本選手権で2位に終った後、SPをそれまでの「ロックンロール」から、ベートーベンの「月光ソナタ」へと変えた。当初からしっくり来ずに、得点の伸びも今ひとつだったことから決心したのだという。

昨シーズンから高橋は、「五輪のプログラムは大体イメージがあるけれど、来季は何を滑るのか選ぶのが難しい」と語っていたが、その心配どおりに少し迷いが出てしまったようだ。フリーもこれまでの高橋の、のりの良いステップで最後は盛り上げて終る、という構成とは違うタイプの作品である。もちろんこうして五輪の前に様々な試行錯誤をするのは、決してマイナスなことではない。だがやはり五輪の勝負の年は、思い切り高橋らしい、ジャッジも観客もうならせる凄いプログラムを滑って欲しい。改めてプログラムの振付の重要性というものを見せ付けられた、シーズン前半だった。

代替画像

田村 明子

盛岡市出身、ノンフィクションライター。1977年留学のため単身渡米し、現在ニューヨーク在住。長い滞米生活と語学力を生かして多様な方面で執筆活動を行う。フィギュアスケートは1993年からはじめ、これまで15回の世界選手権、3度の冬季五輪を取材。選手のみならず、コーチ、ジャッジ、ISU関係者など幅広い人脈を駆使して多面的な視点から執筆。著書に「氷上の光と影」(新潮社)他。

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