ラグビー愛好日記

メルマガ

お好きなジャンルのコラムや
ニュース、番組情報をお届け!

メルマガ一覧へ

最近のエントリー

カテゴリー

アーカイブ

2021/04

S M T W T F S
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

このブログについて

プロフィール写真【村上晃一】
1965年京都市生まれ。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。
ラグビーの現役時代のポジションは、CTB(センター)、FB(フルバック)。1986年度西日本学生代表として東西対抗に出場。
87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者、ラグビージャーナリストとして活動。J SPORTSのラグビー解説は98年より継続中。1999年から2019年の6回のラグビーワールドカップでコメンテーターを務めた。著書に「仲間を信じて」(岩波ジュニア新書)、「空飛ぶウイング」(洋泉社)、「ハルのゆく道」(道友社)、「ラグビーが教えてくれること」、「ノーサイド 勝敗の先にあるもの」(あかね書房)などがある。

2021年04月26日

廣瀬×ハバナ対談。「スポーツを止めるな」が世界からも高評価受ける

ラグビー愛好日記 by 村上 晃一
  • Line

2021-04-26 (11).png

『ローレウス世界スポーツ賞 2021』の「ローレウス・スポーティング・モーメント賞」に日本の「一般社団法人スポーツを止めるな」がノミネートされ、現在、一般投票が行われれている(4月30日まで)。

「ローレウス・スポーツ・フォー・グッド(ローレウス)」は、あらゆる社会問題にスポーツが持つ力で立ち向かうことを目的に2000年に創設されたスポーツ慈善団体。ローレンスの支援者の一人だった元南アフリカ共和国大統領のネルソン・マンデラ氏の「スポーツには他のものにはない方法で人々を団結させる力がある」という言葉を原動力に活動し、現在、世界40カ国以上っでさまざまな支援活動を展開している。「ローレウス・スポーティング・モーメント賞」は、スポーツシーンにおけるフェアプレーやスポーツマンシップ、献身さ、逆境の克服などの側面を称えるもの。

「一般社団法人スポーツを止めるな」は、コロナ禍で大会が中止となり、進学に向けたアピールの場を失った高校生アスリートに向けて、アピールの機会を提供するために、ラグビー元日本代表の野澤武史さん、廣瀬俊朗さんを中心としたメンバーではじめたムーブメント「#ラグビーを止めるな2020」が基になっている。高校生がプレー動画を作成し、上記のハッシュタグをつけてツイッターにアップすると、それを有名選手やラグビーファン、関係者がリツイートして進学のチャンスにつなげるという取り組みは、またたくまに他のスポーツにも広がった。それが世界からも評価されたことになる。

426日、日本のメディア向けに「一般社団法人スポーツを止めるな」共同代表理事で元ラグビー日本代表キャプテン廣瀬俊朗さんと、ローレウス・アカデミーメンバーで元ラグビー南アフリカ代表の名WTBブライアン・ハバナさんによるオンライントークイベントが行われた。

冒頭、廣瀬さんはノミネートの感想を問われ、「ほんまの話かな、と思いました」と関西弁で話しはじめた。「日本の中での活動が世界の人々に認められたことを嬉しく思います」。ハバナさんは、南アフリカ共和国のケープタウンの自宅から参加。「南アフリカではアマチュアスポーツは完全に止まっていますが、ラグビー選手は困っている人たちへ食事の提供などをしてます。世界中のスポーツ選手が慈善活動をしていることを嬉しく思っています」。

日本と南アフリカのラグビーの印象など語り合い、ハバナさんから「2019年の南アフリカの優勝は嬉しかったけれど、日本代表のスコットランド代表戦は素晴らしい勝利でした」と台風が来ている中での勝利について言及する場面も。「スポーツを止めるな」のプロジェクトに参加した日本の高校生たちの質問に、ハバナさんが答えるコーナーもあった。

「大切にしている言葉はありますか」という質問に、ハバナさんは、「私が大切にしているのはポジティブでいることです。毎朝起きたとき、昨日まではどんな状況であっても、新しい一日だ、ポジティブでいようと思います。私がポジティブでいることで、私と話す人もポジティブになれるのです」と笑顔で答えた。

2007年のラグビーワールドカップの舞台に立った時、決勝でイングランドに勝って優勝した時、どんな気持ちになりましたか」という質問には、「スポーツは人生と同じで準備が本当に大事です。イングランド戦にベストの状態で臨むために、4年前から、あるいは15年、20年前から準備をしてきた選手もいました。さまざまなことを犠牲にして、献身的に準備をする。イングランド戦は準備が肝でした」と答えた。「コロナ禍で大きな大会が失われるかもしれないことについては、どう思われますか」という質問には、こう答えた。「パンデミックが私たちに教えてくれたことは、常に自分たちが適応しなくてはいけないこと、常に変革に対して準備をしなくてはいけないということです。チャンスを失った方は気の毒ですが、コロナ禍で適応し変化に応じて行った人が成功しうるのだと思います」

トークイベントの最後は、2人に対してこんな質問があった。「スポーツ、そしてトップアスリートは、世の中に対してポジティブな変化をもたらすために、どのような存在であるべきか、また、どのような変化をもたすことができる存在だと思いますか」。

廣瀬さん「スポーツは、ライブ感、喜怒哀楽を創出できる素晴らしいもの。一生懸命やる姿を見せるのが、スポーツの大きな価値。子供達に対して、アスリートがこんなことを大事にしているといえば、なるほどやってみようというような訴求力も高い。たくさんのアスリートが失敗しながら成長しているのも大事なところ。上手くいかないことでもやり続ける。結果よりも態度やプロセスに注力できると、より良くなっていくと思います」

ハバナさん「廣瀬さんのおっしゃる通りです。プロ選手として得た言葉は、NO1になりたかったら、NO2だと思ってトレーニングしろということです。トップ選手だからといって、おごってはいけない。常に努力を怠ってはいけません。パンデミックの中でそれぞれの強靭性が試されました。アスリートは世界中でより良い世界を作ろうと努力しています。スポーツがツールとして社会を変革できるというのは素晴らしいと思います」

現在、特設サイト( https://www.laureus.com/ja/sporting-moments )にて一般投票を受け付けており、受賞者は日本時間57日未明にオンライン開催される『ローレウス世界スポーツ賞2021』にて発表および表彰される。

  • Line